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ほんとはつよい最弱騎士団  作者: 藻太郎
プロローグ
1/8

プロローグその1

王都シルヴァナの大通りを1人の青年が駆け抜ける。

「畜生、何で僕がザコ騎士団にっ!」

今年、騎士学園を卒業する少年は王都の真ん中で叫んでいた。




少年ーーーハルトは平民の生まれながら、

狭き門である騎士学園の一般推薦枠を勝ち取った優秀な生徒である。

在学中も真面目に座学、実技に取り組み、

トップは取れないものの、常に上位の成績をキープしてきた。

彼が努力してこれたのはひとえに、「花形の騎士団、『レッド』に入りたい!」という少年として、至極当然な動機故だった。


そんな彼を待ち受けていたのは残酷過ぎる

現実であった。

彼の配属先は「雑務専門のザコ騎士団」と呼ばれている花形から最も遠い騎士団、

「ブラック」となってしまったのだ。


「僕は今までどれだけ努力してきたと思っているんだっ!」

彼の目には涙が浮かぶ。

当然だ、彼は今まで「レッド」に入るために同級生が遊んでいる間も鍛錬に勤しんできたのだから。

「こんな仕打ちないだろ」そう言わずにはいられず、涙をこぼしながらこれからの憂鬱な将来を案じる。

「これじゃアイリスとの約束を守れないっ」

少年は唇を噛み締め、また走り出した。




しかし、王都の誰もがバカにする騎士団、

「ブラック」は・・・その他の騎士団長

全てが尊敬する騎士団中の尊敬の的であった。



そんな事を知らないハルトは泣きながら

王都を走り続けるのであった。















その頃、「ブラック」騎士団寮にてトップ2人は雑談していた。

「ブラック」団長のグランツは疲れ切った顔で新入団員の名簿を見ながら「今度の新入団員はどうだ?アル」とコーヒーを淹れている隣の副団長アルレンツに問いかけた。

「数人は()()と思います。特にこの子や、すぐに馴染むと思いますわ」

「にしても珍しいな、お前が新入団員を指名するなんて」

「いや、この子は特別なんですわ。彼はええ子やし、真面目なので」

「それが特別か?」

「ええ、彼の真面目さは異様なんです」

グランツはコーヒーを飲みながら苦笑した。

「まあ、お前がそう言うのなら期待できるのだろう」

「期待したって下さい」

アルレンツも笑いながら答える。

「彼らが来るのは2週間後からか」

「そやと思います」

「ならその日の鍛錬は「ウチらはいつも通りやりますよ?」

「・・・いや新入団員との親睦をだな?」

「何言ってるんですか団長はん。いつも通りやりますよ?」

「・・・そうか」

より一層疲れた顔をしてグランツは諦めたようにため息をついた。


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