「自己紹介」という文言に虫唾が走ります(苦笑)
ぶつくさと不自然に感じた文章に対するエッセーです。
感想は読んでいますが、返答はほとんどしませんので、ご了承ください。
「なろう」の異世界ジャンルにおいて、ほぼ全部の物語で出てくる「自己紹介」という文言がある。
では、現実社会で「自己紹介」という文言は頻発するだろうか。
いくつか例を示してみよう。
部下Aが新規開拓した会社に挨拶をすることとなった上司A。
相手先の担当者及びその上司Bとの面談をする際。
「この度は、お時間をいただきありがとうございます。自己紹介をさせていただきます。○○会社の営業部課長の△△と申します」
などといった挨拶を行えば、応対する社員は心中「こいつ、社会常識あるのか?」という思うだろう。
通常ならば、まず部下Aが「弊社の上司であるAよりご挨拶させていただきます」などと紹介をし、おもむろに上司Aが挨拶を行うものである。
つまり、ビジネスルールにおいては、まず知古の物が初対面の者を紹介するというのが、当たり前であるのだ。それほど、実社会において「自己紹介」という文言は、使いづらいと言えよう。
自己紹介が起こる場面として想起されろるのが、学校における紹介、それも新入時であろう。見も知らない生徒たちが一つの教室に集まり、それを監督する教師もまた初めて学生と顔を合わす。そういったお互いを全く知らない状態において、それぞれの個性を他者に表明する際に初めて「自己紹介」なる文言が使われる。
つまり、本来ならば学生全員の氏名や出身学校、そのたの個人情報を知っているはずであり、紹介者としての資格を持つ教師が、学生個々人を他の学生に紹介するのが社会的なルールとなる。
だが、そうした紹介をすると時間がかかるため、教師はあえて自分が紹介することによる時間のロスを考え、「自己紹介」をさせることで、他者を紹介する面倒と時間を省いているのである。
これは多体多を紹介し合うことの煩雑さを避けるための合理的な帰結である。
だが、少数間の紹介であるならば、自己紹介をすることは、不自然である。
普段、我々が自ら紹介をする場面において使う一般的な文言は「挨拶」であろう。
挨拶とは、「こんにちは」などといった、独立語を交わすことだと勘違いしている人が多いのではないか。挨拶とは、単に独立語を交わすだけでなく、自分の姓名や所属団体、そこでの地位を表明することを含め、「挨拶」とするものだ。
ところがなぜか、「なろう」異世界ジャンルでは、筆者が社会経験(それもかなり深い)があったと推測されたとしても、なぜか安易に「自己紹介」なる文言を使ってしまうことが多いのである。
私見であるが、こうした自己紹介という文言を安易に使うこと自体が、「なろう」異世界ジャンルのお約束になっており、その呪縛を自然に受け入れているからではないだろうか。
同様な事例に『冒険者のギルドの受付嬢、個人情報(名前)をさらけ出すのが当然』とか、『宿屋の受付、個人情報ry』などもある。これらについては、後日問題提起をしていきたい。
結論として、もう一度、声を大にして言いたい。
「自己紹介」という文言を使うのは、延髄反応に似たに等しい無意識な使い方である。
少なくとも筆者はその文言を見る度、読む度、違和感を感じてしまうので、「挨拶をする」とか「名乗る」といった言葉に変えていただきたいと、強く望むものである。