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エッセイ  作者: 鳧本樹
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幻想

黒い黒すぎる。目を開けているのに閉じているかのようだ。壁を見つめること10分もう少しで朝礼が始まる。続々と登校してきた奴らは一列に並び先生の話を聴いているふりをしている。なかにはちゃんと聴いている奴も居るのだが、私の中では聴いているふりをしているということにしている。


一番後ろに並んだ、前の子の後ろ姿で視界は遮られる。さっきまでの黒とは違って、目を開けていることがよく分かる。朝礼が終わり遊びの時間だ。外で遊ぶものもいれば室内にそのまま残る子もいる。私は外でサッカーをするのが日常であったため、その日もその流れに逆らわなかった。


ボールを蹴る。パスなのかシュートなのかよくわからない強さで。楽しかった、面白かった。今でこそそう思っているが、本当にそうだったのか。そもそも私はサッカーをしていたのか、この記憶は私が創り出した幻想に過ぎない可能性もある。


そう思って卒園式のアルバムを手に取り、覗き込んだ。

そこに映る子どもの中に私の名はなかった。


私は幼稚園なんて行ってなかったのだ。

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