2人で。。
夜はマンションに戻り、猫を入れるバスケットを持って来た。
「支度出来たかな?」
「うん。ノエル大丈夫かな。」
夜は、優しく猫をバスケットに入れた。
猫はか細く鳴いたがまだ大丈夫そうだった。
女の子を見ると暖かそうなコートを着ていた。
足下も厚手のタイツに靴下を履いていたので、夜は安心した。
「行こうか。」
「うん。」
女の子の家を出て、駅の向こうの獣医さん迄歩いた。
猫のケガは足の部分で、骨折はしていないようだった。
「良かった!」
女の子は涙目になっていて、夜は良かったなと思った。
受付で女の子は、塔野雨と呼ばれていた。
「ありがとう、あなたのおかげです。」
「ううん。骨折していなくて良かった。」
女の子の家に帰って、夜はそうっと猫を揺り椅子に寝かせた。
女の子は、紅茶を淹れてくれた。
紅茶の良い香りがした。
「あの、甘いものは好き?ガトーショコラ焼いたの。甘いものは食べられる?」
「ありがとう、頂きます。自分でお菓子焼いたの?」
「うん。お菓子作りが好きなの。」
そう言って女の子は、恥ずかしそうにガトーショコラを持って来た。
「美味しいかどうかわからないけれど…。」
「ありがとう。いただきます。」
夜はフォークで一口切って食べた。
「どう?」
「美味しい。とても。」
「良かった!人に出すのは初めてなの。ありがとう、あなたの名前を教えて?」
女の子は嬉しくて顔を綻ばせている。
「蒼海夜。あなたは?」
「塔野雨。また来てくれる?」
「うん。」
雨は、嬉しそうにガトーショコラを食べている。
夜は家の中を見渡した。
広々としたリビング。
でも、人の居る気配がしない。
この広い家に一人で住んでいるのだろうか。
「夜って呼んでもいい?」
「いいよ。私も雨と呼んでもいいかな。」
「うん。夜も猫を飼っているの?」
「うん。あの子はノエルというの?何かあげる?」
夜がそう言うと
「うん。ササミ食べるかな?あげてみるね。」
雨はガトーショコラを食べ終わって、紅茶を飲んで席を立った。」
冷蔵庫からササミを取り出すと、揺り椅子の上に寝かせた猫の側に座り一口ずつに裂いて食べさせた。
「どう?食べてる?」
「うん!食べてるよ。良かった!」
夜も猫の側に立ち、ノエルがゆっくりササミを食べるのを見ていた。