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強敵に追われる

  大学の屋上から真西に向かう。

  いつ境界線にあたってもいいように、なるべく低空を飛行する。境界線を越えたら自分は無力だ。


  靖国神社の上空を通過するのはなんとなく悪いような気がして、少しよけて行った。

  白秋と出会った日、バイクでの飛行中に透明な糸のような膜のようなものとぶつかった。

  あれは、もしかしたら皇居上空への入り口だったからかもしれない。


  境界線だ。

  神楽坂。

  道路上にふわりと着地する。

  地図を広げて点を記す。


  そして、また東に戻る。あの世界へ自らの意思で入った。

  今度は真北だ。


  真北に移動しようとしたその時、背後から冷たい視線を感じた。


  黄色い巨大な龍が、こちらを見ていた。


  前回のラスボスだ。

  前回戦った時には自分の力ではとうてい歯が立たない。RPGゲームで例えると、自分がレベル25だとしたら相手はレベル60くらいだ。

  ヤバい。


  とっさに真北へ全速力で逃げる。


  境界線まで逃げれば自分の勝ちだ。


「うぐっ」


  一目散に逃げていると、肩の装甲に熱いものを食らった。

  黄色い龍が口から黄色い直線上の気を吐いたようだ。


  黄竜は慟哭しながら速度を上げて自分を追ってくる。えーと、あれ、これじゃね?ピンチじゃね?


  黒い羽根で上手く攻撃を交わしながら真北へ移動する。


  自分の黒い羽根が消える。


  ーー境界線だ。


  その瞬間、全身に電流が走った。耐えがたい痛みが自分をおそう。

  視界が黄色に染まる。


  あ、これヤバイやつだ。


  黄竜の攻撃を真後ろからモロに受けてしまった。


  意識が遠のく。


  無力な人間体のまま、自分は宙に放りだされた。




 ***



 黄竜の黄色い光に全身を支配された自分は、どう帰ったのかまったく覚えていない。気がつくと家の布団の中にいた。



 全身を包む倦怠感。


 なにもやる気が起こらない。


 起きあがりたくない。


 なにか、友人に伝えたいことがあったような気がする。


 それに、探らなければならない大事なことがあったような。


 だけど、もういまはもう考えるのも面倒だ……。


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