1.当たり前のように転生前の物語
初作品です
とりあえず書いていきます
ふと気がつくと暗い空間に寝転んでいた。起き上がり、辺りを見渡すと狙ったようなタイミングで明かりがつき、目の前には幼女がいた。
「落ち着いて聞いてください。貴方は一度死にました。」
突然幼女に死亡宣告をされ、戸惑いながらも頭の中ではしっかりと思い出していた。
ここに来る前の記憶、そう死ぬ直前の記憶である。
俺は同級生に刺されて死んだのである。ハサミでお腹にずぶりと。
発端はイジメが原因だった。イジメられっ子がいてイジメ集団がいて。イジメは徐々にエスカレートしていき、逆上したイジメられっ子が逆上してイジメ集団のリーダーにハサミで刺そうとしたのだ。そこにすかさず間に入りこみイジメ集団のリーダーを守って死んだ。
結果としてはこんなオチではあったが、実はイジメを引き起こしたのも逆上して人を殺害させるのも全て裏で俺が動いていた。
イジメ集団を裏で操りイジメられっ子を影から支える。そして自分の想定通りに物事が進み俺は死んだのだ。
どうしてこんなことをしたかと言われたら簡単だ。日常が飽きたから異世界転生したかったのだ。
「思い出して頂けましたか?まあ、貴方の考えてる事はここに来る前に書類で目を通したので知っていますが」
「考えてる事がわかるならこのまま地獄でも行くのか?それとも赤ちゃんからやり直しってか?」
あえて挑発するような言い方で今後の事を聞いてみたが帰ってきた答えは違うものだった。
「いいえ、人間の語る天国や地獄というものは存在しません。確かに本来なら転生して見知らぬ赤子からです。」
しかしと言って少し黙った後にゆっくりと話してきた。
「あなたの場合は、今までの人生において悪意そのものであり転生をしても貴方の悪意はその赤子に移ります。そしてあなた以上の悪意となります。その悪循環を阻止するためにあなたは今ここにいます。」
とりあえず俺は今のままで生きていけるらしい。死んでいるが。
「あなた方でいう異世界に転生させます。その世界で生き延び悪意のない人となってください。お話は以上です。」
なんだかんだで俺がしたいようになっていた。日本と違い異世界ならばもっと色々な事が出来るだろう。そう考えると悪い気はしなかった。
「ちなみに悪意あるまま異世界で死亡するとその世界で転生します。生まれ変わりたければ真っ当になってください。ですが、死んでも平気だからといって自分の命を粗末に生きないでください。死ねば死ぬほど全てにおいて劣化しながら生まれ変わります。最底辺以下で無限に生と死を繰り返すのはあなたの為ではございませんので。」
「それは気を付けるよ。そういや転生するならなにか貰えたりとかあるだろ。魔剣とか超絶スキルとか。」
「残念な事にそういったものはございません。あくまであなたが反省し、悪意なき人間になる為の試練ですので。」
「はぁ?そんなんだとすぐ死ぬに決まってるじゃねぇか!なんか寄越せよ!」
そう言いながら近づくと身体が唐突に動かなくなった。
「これだから悪意の塊なんですよ。もう時間が無いので強制的に転生致します。もう二度と会うことのない事を祈っております。」
そういうのと同時に身体が粉のようになり消滅し始めた。文句を言いたくても身体が動かない。なす術なく俺はいなくなった。
「本当に二度と会いたくないのでしっかりと反省してくださいね。日本と違って厳しい世界ですから。」
そう言い残し、幼女は闇の奥に消えていった。
誰が見るんだこんなもの