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転生魔導師奇譚  作者: Hardly working
第一章
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Vol:8 転生魔導師と契約

「――っは!!」


 目が覚めると、そこは知らない天井があった。眠っていたのか…?いや、眠っていたわけがない。俺はあの時、クソガキの魔法で死んだ筈だ…!

 でも、手足の感覚はしっかりあるし、何より──


 あのクソガキが横に座ってこっちを見ながらニヤニヤしてやがる。

 なんなんだコイツ…少女の皮を被った悪魔かなんかか?

 あのレベルの魔法をバカスカ撃って疲労の色すら見せねぇ。

 それに俺はどうして生きているんだ?


「何もかもが分からないという顔をしてますね。」


 悪魔が口を開いた。相変わらず笑みを浮かべている。


「順を追って説明していきますね。まず、私の名前はリズ、リーゼリットです。この教会で孤児として暮らしています。頭領さん、貴方は?」

「ギルバートだ。」

 その悪魔は俺を殺す──俺に攻撃が当たる直前にあの氷を砕いたそうだ。曰く死体処理がめんどくさいから。

 聞けば部下達も全員生きているらしい。末恐ろしい子供だ。


「で、急な話なんですが、この村で警備として雇われませんか?」


 悪魔は俺に契約を持ちかけてきた。マジモンの悪魔みたいなことを言う。


 何を言ってんだコイツは?

 俺たちを警備に?雇うだと?


「今回の襲撃事件、子供の奴隷を入手するにしてはやり方が雑過ぎる。おそらく切羽詰まった末の決断。連れてきた人数がだいぶ多い点から…拠点で何かありました?」

「なっ!?」

「当たりみたいですね?」


 全くもってその通りだった。俺たちの拠点は突如進軍してきたオーガの群れに襲われたのだ。


 というかなんでこの歳のガキが奴隷やそのやり方の良し悪しなんてわかるんだ…?10歳…くらいだよな?ほんとにそんな歳かコイツ…?


「情報収集も兼ねて、何があったか知っておきたいんです。」

「オーガだ。」

「オーガが…個体?それとも群れで?」


 俺はことの経緯を詳しく話した。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「オーガが群れで…。」

「あぁ、異様に強い奴までいやがって、結果俺たちは拠点を捨てるしかなかったってわけだ。」


 オーガは鬼人とも言われ、大きな体躯で肉食。額からは角が生えているという「魔物」の一種だ。

 知性は人族程度にはあるが凶暴性、攻撃性が比ではなく、うちの村なんかに入りこんだら一体でも全滅させられてしまうくらいには危険な魔物だ。ま、私以外ならってとこだが?


「かなり不自然…オーガの大移動なんて、そう簡単に起こっていい事じゃない。」

「よくわかるな。お前ホントに子供か?」

「精神年齢が30超えてるって言ったらどうしますか?」

「お前のその思考からして何らおかしくないって思う自分がいる。」

「ふふふ、でも女性に歳を確認するとかマジで失礼なので片方の鼻の穴に氷詰めときますね。」

「ぐああああああああ!!くそ!いっぱいいっぱいに詰めやがったな!」


 それにしてもオーガが群れで移動ね、この村とかに来なければいいけど。


「それで、どうしますか?さっきの話は。」

「雇われた際の報酬は?」

「この村を襲った上でその言い方…と、言いたいところですが。報酬は安定して生活できる住居と各種ギルドへの登録…と言ったところですかね。」

「少な過ぎねえか?」


 こいつ…


「一つ言っておくと貴方達には従属と磔刑(たっけい)の呪いを施しています。この村でやろうとした事を考えれば奴隷同等の扱いをしてもいいんですよ?」

「ぐっ…やっぱり悪魔だなお前。」

「まあこの村を出てやって行くのもありですけど、呪いの影響でまともには動けないと思いますよ?殺略(さつりゃく)は禁止しているので。ギルドの登録も難しいですね、身元証明できないでしょうし。」


 ギルバートは歯噛みをした。


「仕事内容は?」

「この村の警備ですよ。魔物の危険度が低いだけで、襲ってこないわけではない。貴方達の拠点がオーガに襲われたのであればそれに備えておくのもありですからね。あとまあ、ジャックに剣術とかを教えてあげてもらえれば…」

「ジャックってのは誰だ?」

「私と同じ孤児の少年です。教会が襲撃にあった時に勇敢にも立ち向かったんですよ?秒でボコられて伸びてましたが。」


 勇敢っていうか蛮勇ね。ま、馬鹿ではあるけど護ろうとする心意気は買うよ。


「選択肢潰した上で“どうする?”なんて聞きやがって。そもそも手放す気はないんだろ。」

「賢いですね。ではよろしくお願いします。」


 そう言いながら差し出した私の手を、ギルバートはすごく嫌そうな顔で握った。



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