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転生魔導師奇譚  作者: Hardly working
第一章
41/47

vol:39 転生魔導師のダンジョンアタック その4



 とりあえず、残った足場とも言える部分をぐるっと回ってみた。完全に円形闘技場といった雰囲気だね。

 特に他の罠はないらしい。これといった点も特に。

 そして足元に格納されたゴーレム。

 これも最初に目に入った一体だけで、他の箇所には何もなかった。

 が、

 このゴーレム、見ると銀色の金属光沢とは別に微かながら光を放っている。この特徴を持つ金属はミスリルだ。


 ミスリルとは、高い魔力により高硬度に変質した銀の事である。

 重量は銀と変わらず同じ大きさの鉄よりも重い。が、ミスリルの方が頑丈で、同じ形状に加工しても鉄より強度があるため、鎧などに使われることが多い。まあそもそもが銀なので相当お値段は張る。

 あのゴーレム、実は相当な成金趣味の塊だったりする。



 それはいいとして。

 問題はアレをどう倒すかだ。

 セナとナーシャは攻撃力の観点から除外される。あの装甲をどうにかするには今の装備じゃまず無理だからね。

 かといって、ニアの魔法でも火力が足りない。


「――ということで、あのゴーレムの破壊は私に任せてほしいんだ」

「え、それって大丈夫なの?いや、リズの魔法がニアより強いのはわかるんだけどさ、アレを倒せるくらい強いの?」

「ダンジョンの中だから制限はあるけど、まあ何とかなるかな」

「リズが勝てるって思ってるなら大丈夫じゃないか?」

「まあリズが勝てないって言う相手が正直想像できなくなってきたよね…」

「同感。ニアの師匠って聞いた時から若干思ってはいたけど」



 と、三者三様の許可をもらえたので、私はゴーレムを倒すための算段を立て始める。


 まあ、金属だし火炎魔法、火力を上げて光炎魔法を使った溶断を狙うのが妥当だろう。


 風魔法で落下制御をしながら降り立つ。

 着地と同時にゴーレムが起動した。私を感知したのか。

 おおよそ3エンクほどの成金ゴーレムが、こちらに走り出した。

 意外と俊敏なゴーレムだ。装甲を薄く作れるから、重厚そうな見た目に反して軽量なのか。

 しかも出力は一般のゴーレムと変わらないのだろうか、重量を動かすエネルギーがそのまま速度とパワーになっているらしく、牽制に作り出した岩壁が殴り一つで破壊された。そこそこの硬度に仕上げていたと思ったけど、ゴーレムの攻撃力が想像してたより高い。

 ちょっとうまくいくか心配になってきたな。


 ゴーレムは速度こそ落としたものの、とうとう私の前に到着し、そのままの勢いでこちらを右足で蹴り上げた。

 殴ってくるかと思いきや、蹴り。ブラストで後方に飛び退き更に距離をとるものの、振り上げた右足を踏ん張って、叩きつけるような左拳が降ってくる。ならばとゴーレムの背面を取る形で左側に回り込んだところ、今度は横薙ぎの左足がすっ飛んできた。

 なんて動きだ。従来のゴーレムは殴るか踏みつけるかぐらいしか能がないというのに、こいつは可動域をフルに活用してこちらを確実に追ってくる。

 私は再度後方に飛び退き、相手から十分に距離をとった。


 左腕を股の間に挟み込むような動きだ、もつれて倒れるだろう。


 と思いきや、足の振りを上へ軌道修正して、遠心力と腕の力で飛び上がって普通に着地する。

 イカれた平行維持能力と出力だ。それに加えて的確に殺そうとするような動き…古代にこんな化け物を造る技能があったとは。


 とか考えている場合じゃなかった。

 体勢を立て直したゴーレムが、再度私へと迫り来る。正直言って、こいつに遠距離攻撃手段が搭載されていなくて助かった。今のところブラストを使って高速移動していれば追いつかれる心配もない。

 とりあえず、こいつの倒し方は思いついた。が、それにはおそらく時間がかかる。何とかして足止めをする方法を考えないと。


 いや、あまりあれこれ考えるよりシンプルに行こう。



 私が移動をやめると、ゴーレムは待ってましたとばかりに私を叩き潰しに来る。

 それを避け、ブラストを使ってまた距離をとると、やはりゴーレムは私を追跡し始めた。

 が、踏み込んだ所で足を滑らせてつんのめった。

 攻撃手段は多彩だが根幹は愚直らしい。あらかじめ凍結させておいた床に足をとられたのだ。そういうのを感知する機能は無かったらしい。

 が、この化け物、前方に手をついて転回(ハンドスプリング)の要領で体勢を立て直そうとする。

 しかし氷の範囲を広めに仕掛けておいたので、手が滑ってそのままこけた。

 恐ろしい。範囲を広めにしておいてよかった…

 転んだとはいえ、無力化できたわけではない。岩石魔法を使い、四肢を固めていく。


 待って、固めてるそばからバキバキ言ってるんだけど!?

 ヤバい。早く次の段階へ行こう。


 ゴーレムの首を光炎魔法を用いて溶断する。

 ゴーレムというものは基本的に頭部に制御回路を、胴部に原動力を配置する。

 そのため、胴と頭を切り離せば制御不能になって機能を停止する。

 しかし、ただの光炎魔法ではミスリル、もとい銀を溶断するには、温度が足りない。

 なので、熱量を収束させる。


 要となるのは光炎魔法「ソリス」

 強力な熱線を放つ純粋な魔法である。

 そしてそれを、ウォーターボールの形を変えることで屈折、収束させ、熱量を一転に集中させることでミスリルを溶断できるような熱量に仕立て上げるのだ。いわゆる収斂(しゅうれん)火災の原理だ。前世でガラスの水差しが太陽光で収斂火災を起こし、資料が幾枚か燃えたことがある。


 欠点としてはソリスは言わずもがな、ほぼ常時蒸発し続けるウォーターボールの維持にも魔力がかかりすぎるという点だ。そこに加えて破壊される四肢固定用のの岩を随時修復している。

 私の総魔力量からすれば消費量は大したことないけど、今生でワーストの魔力効率なせいで脱力感が半端じゃない。超強引な解決方法を使っているから仕方ない所だけど。


 と、そうこうしているうちに溶断を開始している右半身が動かなくなった。おそらく制御用の回路が切れたのだろう。

 と、右半身の固定を無くしたところ、もう半分の膂力を以て体を持ち上げ暴れ始めた。この野郎。

 仕方がないので、右半身の固定を再度施し作業を続ける。四肢の制御回路の位置はある程度分かったので、一度止めて今度は左側から溶断を再開する。

 それほど時間もかからずに、左半身の制御も切れたようだ。抵抗が完全に無くなった。いや、嘘だ。人間でいう腹筋と背筋に関してはまだ制御されており、多分拘束を外したらクロウラー(いもむし)のごとき

 動きを見せるだろう。結局全身をがっちり縛り付けておくことになった。


 ただまあ、こうなればもう後は作業だ。溶断の感覚もつかめたので完全放置。壁の上へ戻る。


「え、終わり?」

「そうね、あとは首が落ちるのを待つくらいかな」

「首が落ちるのを待つ、ってすごい恐ろしい文章だな…」


 ここまで完全作業の戦いになるとは少しも思っていなかったので、待ち時間が発生して手持無沙汰になってしまった。

 仕方がないのでセナとナーシャの魔法の面倒を見つつ、時間をつぶす。


 そしてついに

 ゴーレムの首がゴトリと落ちた。

ダンジョン編、終わり!!!終わりだ終わりだ!

次回は戦利品をあれこれしたり色々あったり色々するんだわ!!




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