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転生魔導師奇譚  作者: Hardly working
第一章
34/47

Vol:32 転生魔導師と海の街

ちょっと遅れました。



登場人物紹介

リズ(リーゼリット) - 主人公。天才的な魔導師が自ら転生した、金髪黒眼の美少女。


ニア、セナ、ナーシャ - 書く内容がテンプレ過ぎて一纏めにされたリズのパーティメンバー。


カイル - 商人。護衛をリズたちに頼んだ。


 街が近付くにつれ、吹き寄せる風に微かな潮の香りが混ざり始めた。


「おー!海が見えたぞ!!」


 セナの声を聞いて前方を見ると、視線の先がキラキラと輝いている。

 少し丘のような場所になっているここからは、その光景がとてもよく見えた。


 まぶし…


 ヴァレニア共和国首都クーデン。

 豊かな大河の河口付近に作られたこの街は、陸路と海路で様々な国をつなぐ、大陸南部の貿易中心地として栄えている。

 そのためか、街の中には独特の食文化が育っているらしい。




「では我々の護衛はここまでになります。こちらの書類にサインをお願いします。」

「はい、ありがとうございました。お陰様で快適な旅でしたよ。私の一存では報酬に色を付けることはできませんが、店に来ていただければサービスしますよ。」

「ありがとうございます。都合がついた際に立ち寄らせていただきますね。」


 ナーシャは大人な対応ができるんだなぁ。


 これといったアクシデントに見舞われることもなかった私たちは、昼頃に目的地であるクーデンへ到着した。

 カイルさんにサインを貰い、ギルドへと向かう。


「すごい街ね。ヒュレスどころか、グレースでもここまで賑やかじゃないわ。」

「商業都市だからね。世界中の品物がここを通るんだよ。」

「そういえばカイルさんって、なんであの辺にいたの?」

「クラル村のあたりでしか栽培していないお茶が人気で、直接出向いて買い取っているらしいよ?」

「あーあのお茶って、メノーじゃ育ちにくいんだよね。なんでだろ?」

「なーそんなことよりも早く金もらって飯にしようぜ?」

「「「…。」」」


 セナの一言で、私たちは良さそうな店を探しつつギルドへと急いだ。


「やっぱ魚だよね。」

「まあクーデン来たら食べないと。」


 そんなわけでささっと報告を済まし、いい額の報酬を受け取ったところで店探しを続行中。

 ここのギルドの食堂でも良いものは出しているが、報酬が入ったので少し背伸びをしたくなったのだ。


「で、ここか。」


 着いたのはギルドの受付の人からきいた中の一つ。値段もリーズナブルでおいしいし、いろんな料理が食べれるとか。

 店に入ると、そこそこ賑わってはいるけど混雑しているというわけでもなく、スムーズに席へ案内された。


「メニュー読んでもわかんね…。」

「ペ、ペシェ・ア…アラ?」

「これ、どんな料理なんだろうね?へぇ、魚はその日による?今日は鯛だって。」

「あたしタコのマリネが気になる。」

「じゃあそれも。パスタはシェアサイズらしいから、一つでいいわね。リズはどうする?」

「セナ、タコはやめておいた方がいいと思う。」

「えー!気になる!!」

「知らないからねマジで。すいませーん注文お願いしまーす!」


 まあ、そういうのも一つの成長ってことでいいか。


 注文を終え、みんなで今後の予定について話し合っていたところで、料理が運ばれてきた。

 最初に運ばれてきたのは、分かっていたがタコのマリネだった。

 セナは目に見えてドン引きしている。

 ぶつ切りになったゆでだこの足と、玉ねぎ、パプリカ、オリーブの実がマリネ液で和えられており、普通においしそうだ。


 まあそれは(前世とはいえ)食べたことのある人間だから言える話なわけで。初見の人間からすれば、タコはどう見ても魔物の類だよね。クラーケンって魔物もいるし。

 見ればセナだけでなくニアとナーシャもちょっと引いている。


 私はため息を吐き、料理を取り皿に分け始めた。


「あーリズ?あたしはその…少なめでいいぞ。」


 セナがそう言った瞬間に他2名の視線が彼女に向いた。

(お前が食べたいって言ったんだろ)

 殺気すら感じる気がする。


「何が?少ないとかダメだから。全員均等になるようにするよ。」


 3人の顔が青くなったのは気のせいじゃないだろう。


 私は分けたマリネを一口食べた。


 んーこのタコのクニクニ感、そして吸盤のまた違った食感。見た目はアレだけど、食べると美味しいし、食感がクセになるんだよね。

 マリネ液は少しレモン果汁を入れているのか、爽やかな香りがする。

 玉ねぎも辛く無く、全体的にさっぱりと食べられる様に出来ている。


 私がタコの食感を楽しんでいると、それを見てセナは覚悟を決めたのか、フォークでタコ足を突き刺し、食べた。


「…うま!!!」

「え!?」

「ウソ!?」


 残りの二人も、信じられないという顔をしつつ料理を口に運ぶ。


「「…!?」」


 どうやらお気に召した様子。結局次の料理が来る前に、マリネはきれいさっぱり無くなってしまった。


 そこからはあまり間を置かずに料理が運ばれてきた。

 ニアの注文でペシェ・アッラックア・パッツァ、ナーシャの注文でペスカトーレ、私の注文でチョッピーノスープが運ばれてくる。

 ペシェ・アッラックア・パッツァって何かと思えばアクアパッツァとかいう魚のスープ煮みたいなやつだ。前世で食べたことがあるけど、アレはなんとなく味が薄かったような…。

 というか全体的に赤い。そりゃそうだ、全部トマトと魚介の何かだから。

 まあほかのメンバーはそんな事を気にするそぶりもなく(ナーシャは気にしてそうだが)、自ら料理を取り分けて食べ始めた。


 私はナーシャからアクアパッツァを取り分けた小皿をもらうと、一口食べてみた。


 おいしい。ちゃんと味がする。あのとき食べたやつは何だったのかと思うくらいにはおいしい。まあ世の中には人から又聞きした料理を作って、客がオリジナルを知らないからと変な料理を売る店があったりする。それに当たっただけだろう。


 その後も非常においしい料理を楽しみ、大変満足して店を後にした。

 ギルドの受付さんにお礼言っとかないとね。

面白い、応援したいと思っていただけたら星5評価をお願いします


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