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転生魔導師奇譚  作者: Hardly working
第一章
32/47

Vol:30 転生魔導師と遠征①

登場人物紹介

リズ(リーゼリット) - 主人公。天才的な魔導師が自ら転生した、金髪黒眼の美少女。


ニア - パーティメンバーでリズの義姉。爆焔姫と呼ばれているが、爆焔しているところをてんで見ない


セナ - パーティメンバー。ニアの食欲は彼女に当てられて増していったらしい。


ナーシャ - パーティメンバー。パーティの中では常識人。ただしパーティの良心というわけではない。


ロジャース - 冒険者ギルド ヒュレス支部 副部長。お気に入りの茶葉の流通が滞っているらしく、少し危機感を覚えている。


 食事を終え、再び掲示板の前に戻ってきた私達は、手頃な依頼がないか探していた。しかし…


「無いね。」

「ね。」


 4人して掲示板を覗きながら、今朝のように悩んでいた。”手頃“というのを諦めれば依頼はそこそこにあるけど、全行程1週間弱はかかりそうな採取だったりという、まあ時間のかかりそうなものばかり。


「んー。これは幾つか下のランクを受けるしか無いか。」

「だとしてもどれを?」

「まあ中でも難易度高めのやつだよね、怒られるし。一応相談してくる。」


 ランクがCであってもD、E、Fランクの依頼は受けられる。

 ただし適正ランクの人達優先となるので、基本的にはギルドの人と相談して受けることになる。

 上位の人が(こぞ)って下位ランクを受けていたら、適正の人たちが受けられなくなっちゃうしね。

 このパーティにおいて交渉などはナーシャが行なっているようだ。


 しばらくして、カウンターで話していたナーシャが戻ってきた。


「どうだった?」

「え、うん。なんかね…ロジャースさんが仕事の件で呼んでるみたい。」

「「「は?」」」


 私の質問に対する返答は予想外の物だった。





「あーべつにお叱りがあるわけじゃないから変に緊張すんな。」

「え、じゃあ何で呼んだの?」

「いや、仕事を頼みたくてな?」

「ほーん?」


 聞けば、隣国に向かう商人の護衛をしてほしいんだとか。

 目的地は南。海に面し、海路で4ヶ国、陸路で3か国をつなぐ商業国家ヴァレニア共和国。その首都であるクーデン。

 クーデンは河口に作られた都市なので船で行けば相当な時間短縮ができる。しかし依頼主は陸路で他の街にも立ち寄るらしく、それで護衛が必要なんだとか。到着予定はおよそ一週間後ぐらいかな?

 そしてこの依頼、実は私指名で来たものだった。


「へ?私?」

「ああ、なんでも前に腕前は確かめたから、今回お願いしたい。とか」


 ?

 前に?

 あ、もしかしてここに来た時に一緒にいた商人の人かな?

 確かあの人にはお菓子を…


「やる。」

「リズ!?」

「えらい即決だなおい!?お前らはそれでいいのか?」

「よくないよ!リズ!ちょっとは相談しない?」


 むぅ、しょうがない。


「わかった。詳細だけもらっていっていい?」

「いいぞ。先方には『前向きに検討している』って言って大丈夫か?」


 私はロジャースから依頼書を受け取ると、三人を連れて一旦宿へと向かった。




「で?どうするの?」

「私はやる。この人だったらちゃんと依頼料も払ってくれるし、目的地は海の方だから美味しいものいっぱいだよ?」

「「やろう!」」


 食い意地の張った二名が同意した。

 ナーシャ完全に諦めた顔をして、午後は旅程の確認と遠征の買い出しなどに費やすことになった。


 あとでアイリーンとウルの所に顔出しとこ。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 2日後。


 街の外にて、私たちは依頼主である商人のカイルさんと合流した。


「いや、まさか本当に受けてくださるとは。しかもかの爆焔姫とパーティを組んだのですね。これは安心して旅ができそうだ!」

「ええ、安全な旅をお約束します。ところで、今日は乗り合いじゃないんですね?」


 私は横の馬車を見た。以前のように乗合馬車ではない。

 所有している二頭立ての馬車らしく、見た目こそただの幌馬車だけど車軸にはサスペンションが取り付けられており、乗り心地はそこまで悪くなさそう。


「あの時は修理に出しておりましてね。仕方なく乗合を使ったのです。では、一名は御者席に、残りの方は車内にお乗りください。」

「わかりました。順番で交代しよ、最初誰が前乗る?」

「あたしが乗る。出やすい方がいい。」


 ということで、セナが立候補したので

 御者席にセナとカイルさん、中に私、ニア、ナーシャが乗り、馬車はガタゴトと進み始めた。

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