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転生魔導師奇譚  作者: Hardly working
第一章
31/47

Vol:29 転生魔導師と反省会?

登場人物紹介

リズ(リーゼリット) - 主人公。天才的な魔導師が自ら転生した、金髪黒眼の美少女。


ニア - リズの義姉。爆焔姫と呼ばれるCランクの冒険者。


セナ - パーティメンバー。剣術は我流のもの。装備新調を考えている。


ナーシャ - パーティメンバー。オールラウンダーの弓使い。斥候としても優秀。

「セナ!ナーシャ!周囲を警戒して!」


 指示を出しながら、私は急いで木から落ちたニアの元へ向かう。

 一応返事はしていたし変な落ち方はしていないと思うけど、処置が早いに越したことはない。


「ニア?聞こえる?」

「うぅ…。う、腕が…。」


 腕?確かに青くなっている。目に見えて折れているわけではないが、良くても骨にヒビが入っているかもしれない。

 外傷は擦り傷くらい?ほとんど無いのでそっちは問題ないだろう。


「他に痛む場所は?」

「大丈夫…多分。」

「わかった。ポイントヒール。」


 回復魔法ヒーリングは対象をその名の通り回復させる魔法だが、対象の魔力も同時に消費し、相応の負担がかかる。負傷者の状態によってはそのまま死に至る場合もあり、実は危険な魔法だ。

 ()()()()()()ポイントヒールは、魔法の効果範囲を最小まで限定し、お互いの魔力消費量をそぎ落とした効率的な魔法だ。

 なお教会からは大不評だった。


「あれ、痛みが引いた?」

「ごめん、回復使った。調子はどう?」

「悪くは…。でもダメだよ…」

「説教は後で受けるから、まずは死体を処理しよう。」


 そうやって軽く誤魔化しながら、作業を始めた。




「すごい臭いだぁ…。」

「うへぇ…昼飯が心配になる臭いだな…。」


 猪の死体を焼く臭いでニアとセナが悶絶している。うん、確かにこれはヤバい臭いだ。燃え広がると大惨事まっしぐらなので、土魔法で窯を作って内部に風を送っているが、それでも臭う。

 ちなみにナーシャは見回りをすると言ってちゃっかり離れている。


「あー…ほんとにただ焼くだけなのが口惜しい。」

「このスゲェ臭いの中でそういうこと考えられるのニアだけだよ。」

「だって猪だよ!?豚だよ!?」

「知らねぇよ。そもそも魔物だろ。」


 まあ魔物でも食べられるやつはいるので、その考えに至るのも無い話ではない。

 ニアの場合は異常の域だけど。



 最後の死体を焼却した辺りで、ナーシャが戻ってきた。


「終わったー?」

「終わったから帰ってきたんだろ。」


 依頼の報告用に、焼け残った骨から牙を一対ずつ抜き取っていく。


「ナーシャ、一応聞いておくけど周囲の状況は?」

「うん、問題なし。群れはあの五体だけみたい。血肉の臭いに釣られてくる魔物も確認できなかったわ。」


 セナの質問に答えたナーシャの報告を聞き、私たちは帰路に就いた。





 昼時。街に戻ったあと、報酬を受け取りに行ったまま流れるようにギルドの食堂へ入った。

 それで良いのかと毎回思うが、冒険者という職業柄、質と量と値段だったら量と値段に偏るのは仕方ないわけで。


「いやーあの臭い嗅いだ後だから飯が入るか心配だったけど、そんな事は無かったな。」

「全然食べれるよ!」

「ニアは何があっても食べれそうだけどね。」


 ニアとセナは真っ昼間から夕食に食べるようなデカさの肉の塊を頼もうとするくらいには食欲があった。

 これからもう一個仕事を受けようかとか話をしていたのに、そんなものを食おうとするとか胃袋鋼鉄なのだろうか。

 ナーシャと私はそんなもの食べられないので、夜にしようと話をして、今はそこそこの量で抑えている。


「でも、ニアに怪我がなくて良かったよな。木の上から落ちた時はひやっとしたぜ。」

「そこはリズがすぐに回復魔法をかけてくれ…た…。」


 そこで語尾が尻すぼみになっていった。

 思い出しちゃったか。


「あーーーーー!!!!忘れてた!!!リズ!回復魔法を使ったらダメだって!!」


 そう言いながらニアは私の肩をぽこぽこ叩いてきた。

 右肩を叩くのでフォークが揺れる。食べられないじゃないか。


「へぇ、リズ回復魔法まで使えるのか。」

「助かるわ。ポーションを多く買う必要がなくなる。」

「そうじゃない!そうじゃないじゃん!聖職者以外が回復魔法使っちゃダメじゃん!」


 あれ、なんかもっとこう、色々と言われると思っていたんだけど…。

 意外と肯定的だ。


「そうは言ってもなぁ。大体私は国が違うから何も思わないし。ナーシャは?」

「私は思うところはあるけど、それ以前に出費とリスクが…。」


 肯定的ではなくて現実的なお話でした。


 ポーションは高い訳ではない。グレーティア教が不当に吊り上げたことはあったが、今ではそんなこともない。しかし危険と隣り合わせになる冒険者は、数が必要になることがある。必然的にそこに割く金額が増え、更には荷物を圧迫する。移動拠点として使えるような馬車や荷物持ちをするキャリアーなどのサポーターがいれば話は別だが、嵩張る荷物というのは危険要素の一つだ。故に回復魔法を使える者は重宝される。


「でもーでもー!!」

「でもじゃない。私も思うところはあるけどって言ったでしょ。」


 これは…説得までまだ少しかかりそうだなぁ。

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