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転生魔導師奇譚  作者: Hardly working
第一章
22/47

Vol:20 転生魔導師と後始末

遅れて申し訳ございません。


「死体の焼却処理も済んだようだな。二次的な災害は防がれたか。」


 近くにあった岩に腰掛けてぼーっとしていると、ロジャースがそう言いながらこちらに来た。


 魔物討伐後の二次災害とは、主に死体が腐敗することによって発生するものだ。

 さらなる魔物を呼び寄せたり、死霊系の魔物として再び暴れ始めたり、碌なことがない。

 なので倒した魔物の死体は焼却処理をするのが基本となっている。


 ただ今回に至っては…


 私はロジャースの顔をチラリと見上げた。


 顔が引き攣っている。


 それもそのはず、ロジャースが目にしているのは眼前に広がる半径3エンクほどの大きな窪みである。縁は融けてガラス化しており、高温に曝されたことを物語る。オーガアルファは骨すら残らず燃え尽きてしまった。

 言わずもがな、その高温は私の混成魔法「プルガトリウム」によって発生した熱だ。


「街に戻ってから報告書を作ろうかと思っていたが、今ここでやってしまおう。説明してくれるな、リーゼリット君?」

「やだ。」

「君には説明責任がある。先ほどの大規模魔法、君が召喚したフェンリル、見たことのない剣の魔法。見た目こそ少女だが、姿を偽っている可能性もある。ギルド登録は一種の身元証明にもなっているから、どの国でも詐称は重罪になるぞ。」


 幼気(いたいけ)な少女捕まえて身元詐称の重犯罪者呼ばわりは酷すぎない?

 と思っていたら、アイリーンから指摘が入った。


「ロジャース!重犯罪者呼ばわりなんて、本当にただの女の子だったらどうするつもりなの!?」

「重犯罪者とは言っていないだろう。」

「いいえ!さっきの言い方はどう考えてもそのニュアンスを含んでいたわ!」


 いいぞーアイリーンもっと言っちゃって。


「黙っていろアイリーン。身元の確認は義務でもあり権利でもあるんだ。邪魔をするな。」


 ロジャースの言葉でアイリーンはシュンとしてしまった。さっきまでの威勢は?

 しかしこうなってしまったら仕方がない。


「わかったわよ、全て話すわ。その上で報告書に書くかどうかちゃんと考えてね。」

「内容による。カードを出せ。」


 私は自分のギルドカードを差し出す。

 これには誕生日や出身地、登録日、現在のランクなどが魔法により刻印されている。基本的に偽装は不可能だ。


「誕生日が空欄だが?」

「孤児だから知らないわ。」

「なるほど…?出身は…メノーか…メノーだと⁉︎」


 私の出身を見るなりロジャースが慌て始めた。

 どうしたのだろうか?


「お前まさか、メノーの魔女か⁉︎」


 な に そ れ

 まあ言葉の感じからして私の事だろうけども、なんとも嫌な称号だ。


「ニィィィィィック‼︎こっちに来い‼︎」


 困惑する私を尻目に、ロジャースはものすごい剣幕でニックを呼びつけた。

 なんだなんだとざわめき立つ討伐隊の一同。

 ニックは疲弊した表情でこちらにやってきた。


「なんか用か?」

「テメェ何回目だコラァ!報告は正確にしろって言ってるだろうが!」

「俺の報告になんか問題があったか?」

「大ありだ馬鹿野郎、報告書には『メノーの魔女』に遭遇したなんて一文字も書いてなかったぞお前!」


 遭遇って、人を魔物かなんかみたいに言って…


 それにしても、『メノーの魔女』か…とても嫌なあだ名をつけられてしまった。

 噂の流れは川のそれよりも速い。

 変な話が流れてなければいいけど…


「いや、すまなかった。まさかキミが有名な『メノーの魔女』だったとは。」

「そのあだ名嫌なんで2度と言わないでほしいですけどね。」

「そ、そうか。」

「それで、どうするんですか?報告書は。齢10ほどの少女に魔法で助けてもらいましたって書きます?」

「いや、それは…メノーの魔…きみを連れていたとはいえ我々の面子もあるので…。」


 お?

 これはどうやら事を大きくせずに済みそう?


「であればこうしましょう。私の補助を受けてアイリーンが混合魔法を行使。それによりオーガアルファを討伐するに至ったと。」

「ふむ、確かに彼女なら街でも魔術師として有名だ。」

「いやっ!ちょっっと待って!」


 ロジャースと私との間で固まり始めた方針に待ったをかけたのはアイリーンだった。


「どうしたのアイリーン?」

「その方向性で行くと今回の功労者は私という形になるわよね。」

「まあそうだな。」


 ロジャースが答えた。

 そりゃ当然だ。


「報告書の内容からするとクラス6魔法を使って倒したと。そういうことになるわね?」

「正確には私の補助アリだけど。」

「無理よ!無理無理!私クラス5すらビギナーなのよ!?クラス4もラーナーだし、マスターしてるのは3までしか…それなのにクラス6なんてとても使えないわ!!」


 アイリーンは頭を押さえて屈み込んでしまった。

 そうか、そうなるとアイリーンのクラスは4ということになる。確かにそのクラスではクラス6を使うのは無理だ。しかし、手はある。


「大丈夫だよアイリーン。」

「何が!?」

「クラス3を扱える魔法使い三人で、プルガトリウムは疑似的に再現できるの。」

「「「は?」」」」


 私の発言に、アイリーンとロジャースだけでなく、ニックまで目を剥いていた。

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