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転生魔導師奇譚  作者: Hardly working
第一章
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Vol:17 転生魔導師と依頼説明

 私とアイリーンはニックに半強制的に連れられて、冒険者ギルド支部の会議室に来ていた。


「なんでー?ねぇなんでー?なんで私も連れてこられたのよーニックー答えなさいよー。」


 あまりにも手持ち無沙汰なので、私はニックにダル絡みを始めている。


「うるせぇぞリーゼリット!お前そんな性格じゃなかったろ!」

「アイリーンに年相応が一番かわいいって言われたんだもーん(言われてない)。」


 これが年相応かどうか聞かれると正直疑問ではあるけど。


 ニックは「ホントか?」みたいな顔でアイリーンの方を見るが、彼女は微笑みながら肩をすくめるだけだった。

 残念だけどアイリーンは私の味方だよ。



 それにしても、あと数組の冒険者が来ている…オーガの拠点強襲に参加するのだろうか。


 なんかすごい見られているのを感じる。


「おいニック!嫁さんとガキ連れて参加たぁ随分余裕だな?」

「黙ってろケイン!これのどこが俺の子供に見えるんだ!」

「お?てっきり仲睦まじい親子の微笑ましい光景だと思ってたぜ。」

「言ってろ!」


 ヤイヤイと言い合うニックとケインという男をほっといて、私はアイリーンに気になっていたことを聞いた。


「アイリーンとニックって…知り合いだったんだね?」


 どういう関係?って聞くのは流石に憚れるところがあったので、あえてそう聞いた。


「まあ簡単に言えば冒険者仲間よ、見ての通りね。昔同じパーティで行動してたの。で、紆余曲折あって解散しちゃって、私はおばあちゃんの店を継いだってわけ。」

「へぇ…。」


 じゃあ何であいつ(ニック)はこの街にいるんだ?



 惚れたか?



 などと邪推していると、会議室の扉が開かれ厳つい顔のおじさんと他数名が入ってきた。


 うわーこわーい。何だあのおじさん、顔に傷入ってるじゃん。


「よし、みんな集まってくれたな。では作戦会議を始めよう。ロジャース!」

「ここに居るんだから叫ぶんじゃねぇよ。よし、皆この地図を見てくれ。」


 ロジャースと呼ばれた男は一枚の地図を広げた。この周辺の地図だ、何度か見たことがある。

 机がでかいから私でも埋もれることなく見れた。

 この街の場所に印があり、そこから離れた山の中にも印がつけられている。


 あれ、あそこはメノーの村か?メノーと印、そしてそして印とヒュレスの距離は同じくらいだ。


「先遣隊が見つけたオーガの拠点はこの位置だ。やたらと整備されているらしい。ニックが言っていた通り、山賊の拠点を奪ったもののようだ。」


 それ私が提供した情報。


 ニックを睨むと彼は手を合わせてこっちを見た。

 今度なんか奢らせよう。高いものを。


「とりあえず今回集まってもらったのは、クラスBもしくはそれに匹敵する奴らだ。これだけ揃えば、この規模でも問題ないだろう。明日馬車で出発し街道を沿ってここまで。ここで一時的に休息を取ったらそのまま敵地に向かって制圧する流れだ。」

「制圧は殲滅か?」


 冒険者の中から質問が上がった。


「そうだ。オーガはそもそもこの辺りに出没しない。残してしまうと何が起こるかわからん。基本的に全滅を目的とする。他に質問がある者は?」

「参加はクラスBもしくはそれに準ずる者って言ってたな?」


 また別の者から質問が上がった。


「ああ。」

「じゃあなんだこのガキは?」


 まあ至極真っ当な疑問よね。


「ニックのお墨付きだそうだ。以前ニックが請けた護衛任務の時に、オーガ討伐の援護をしてくれたらしい。」

「あー、あれか。でも今回は乱戦間違いなしな上、敵地乗り込みだし移動まである。大丈夫なのか?」

「問題ないわ。」


 アイリーンは答えた。


「移動に関しては不安があるけど、そこはニックと私でサポートする。でも戦闘面に関しては私より上よ。」


 やめてくれませんかね私の異常性を情報漏洩するのは!


「はっ!冗談はやめろよアイリーン。戦闘面でお前より上な魔法使いなんて、冒険者じゃまず見ねぇんだぞ?」

「信じるか信じないかはあなた次第よ。」

「ヒューおっかねぇ。せいぜい巻き込まれないように気をつけるさ。よろしくな、魔女見習いさんよ。」


 あーはいはーいせいぜい巻き込まれないでくださいねー




「ニック!!!!!!!!!!!!!」

「リーゼリット!すまん!」


 会議が終わり、人がいなくなった会議室で私はニックに詰め寄っていた。


「すまんじゃないわよ‼︎すまんじゃ!私の情報を自分の手柄にするし、いきなり連れてこられたと思ったら明日出発ってどういうことよ!!!!!!!」

「情報に関しては伝えたらそうなっちまったんだよ!それから…アイリーン助けてくれ!」


 助けを求められるも、アイリーンは手を上げた


「こればかりは自業自得よ、昔から変わらないわね。あと私も少し頭にきてるから。私前から言ってるわよね、急に話を持ってきて連れて行くのやめてって。」

「う…く…」




 結果としてニックは街で一番高いスイーツを二人分奢ることになった。

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