六杯目 完全無欠の失敗作
名前をキーワードを入れたら出て来るサイトで[きつね]という文字を入れてそれっぽいのを狐巫女族のパッと出のキャラクターに付けたのですが、やってしまった……女の子が戦車に乗るアニメの犬みたいな某忠犬の女の子と名前が1つ違いだった……でもあのアニメ好き
修正してやったぜ〜フハハハ
とある王城の眼鏡を掛けたタラコ唇をしたテングザルに奉公する事になった、三馬鹿で囂しいメイドは言った……【完全無欠の失敗作アリシアが行けなかった王宮よ?】 と……完全無欠……完璧に造られた存在である人工生命体は生命の範疇に収まるのであろうか? アリシアは完全無欠に造られ超越したが存在故の失敗作である、アリシアは人間でもモンスターのどちらでも無い……アルケミスト達が挙って完璧な生命を作る事を目指してホムンクルスを造ろうとする……よくある話だが、アリシアは錬金術だけで造られた存在ではなかったオーバーテクノロジーとマッドサイエンスとその他、非科学的要素の融合による研究と開発の末に改造を重ねアリシアは誕生したのである
――――稲荷大社参道――
『フハハハハ!! 時は来た!! 楽しい時間の始まりだ!!』 喜喜として魔王は高笑いをした 『ハイハイ〜魔王様ね〜ピクニック楽しみ何ですね〜アハハ……ハ…………』 微笑ましい魔王を前にして、漏らすわ、鬼気漂うアリシアの未知数な驚異的とも言える様相を目の当たりするわ、散々な目にあった事によりゾーラは疲弊仕切っていたのだが、それをも一時でも忘れさせてくれる魔王は癒し要素であった 『ほんにのぅ〜楽しみじゃわい』 白刃面 詠が行く気満々で準備万端だ 「お荷物をお運び致しましょうか?」 アリシアが言うと魔王は『自分自身の荷物を持つのもまた、ピクニックの醍醐味なのだ……我が荷物は我自らが持つ、ゾーラか詠がバテるか、持って欲しいと言えば持ってやるがよい』 と言い、ゾーラは『私……この巫女服っての慣れて無くて……動けなくなったら、もういっその事見捨てていいですから』 ゾーラは運の悪さに覚悟をキメている魔物娘の
顔をしている 『見捨てなぞするか軟弱者!! 我が背負ってでも連れて行くぞ!!』 魔王が尊大な態度で言うが言っている事は格好いい台詞である、だが姿は完全にアウトドア大好きなサンタクロースの様なモフモフお髭のホワイトタイガーの耳が生えたお父さんにしか見えないのだから……何時もの見た目だけはあった威厳は何処へやら 『相変わらず、モフモフの白いポメラニアンかサモエドかスピッツか解らぬ見た目じゃの』直球で言い切る詠に魔王は言った『我は犬ではないぞ!!』 『そうですよ!魔王様はどちらかと言えばモフモフの白いチンチラか白いラグドールか白いノルウェージャンフォレストキャットか白いメインクーンです!!』 ゾーラも負けじと反論する 『そういう事では無いぞゾーラ!! 我は猫でもない!!』 「日が暮れてしまいますよ」 アリシアは言った事で魔王は気付いた 『しまったぞ!! 長々と話し込んでしまった!!』 魔王は驚愕した 『案ずる
で無いわい、泊まって明日も楽しめば良いじゃろ?』 『日帰りの予定だったのだが……』目に見えてショボ暮れる魔王……『1日くらい大丈夫じゃろう』 詠がそう言うとゾーラは言った『暗くなると足元が危険ですよ……』 それに対して天然魔王は『我は夜目が効くぞ?』と言った、そういう問題ではない
――境内来客男性用寝間―
結局一晩明かして早朝に出る事にした
『いや……アッアリアリシリアシよ……汝は……おなごで間違い無いよな?』魔王は戸惑いしどろもどろだ、当然である……「はい、ご覧の通りですが?」 既に入浴も晩餐も済ませ歯も磨き寝るのみな魔王が焦るのは布団にアリシアが寝巻きで入っていたからである 『女ならば我は男なのだぞ!! 男でもある我と寝るつもりか!? 羞恥心が無いのか貴様!!』魔王には珍しい激昂である 「いえ、詠様に……来客用の寝床が二枚しか無いんじゃ! どちらか片方の寝床を二人で使って寝てくれぬか? と仰られたものでして」 アリシアのレコーダーの様に完璧で秀逸な声真似に触れる事無く魔王は目を丸くして開口一番に『ゾーラと寝ろ!!』 と言った
――境内女人来客用寝室―
「〜〜という訳が御座いまして」 完璧な尾羽がリラという楽器に似た鳥、Lyre Birdに匹敵する声帯模写で会話を完全再現してアリシアは説明した 『もう、本当アリシア……もう、本当にもう、アリシアはどうなってるんですかもう……』 ゾーラも、しどろもどろになった 『例えアリシアが翼生やして飛んだとしても、何しても驚かない自信がありますよ……次は何ですか巨大化ですか?』 自棄っぱちゾーラにアリシアは言う 「ご一緒に床を共にしても不都合は御座いませんでしょうか?」 ゾーラは『良いですよ……此方へ……』と言いながら掛け布団を捲る……キマシ
【魔王様……聞こえますか? ゾーラです……今、私の心の中で助けを求めています……緊張して眠れません!! タスケテッ】 アリシアはエルフの様な美貌も持ち合わせており、すぅすぅと寝息を立て、ビスクドールの如く整然と整った顔で眠るアリシアは同性で有ろうと無かろうとドキドキさせる容姿なのである
――――翌朝ァ!!――――
霊山の麓山道にて
『良い空気だな!! フハハハハ! なぁお前達?』 魔王は快眠して元気だ 『そうですね』 ゾーラは隈が出来ている、殆ど眠れなかったのだ、当然であるアリシアは起きている時はクールだが寝ている時はプリティーでその体臭は仄かな甘い林檎の香りがするのだ、匂いに眠りに誘われ眠りに落ちてふと気付けばアリシアに抱き付いていて驚き興奮で目が覚めてしまい寝てないのです、キマシ
(何で……無防備で寝られるんですかアリシアは……魔王様とも平気で寝ようとしていたらしいですし……魔王様が紳士じゃ無くて私が男なら危ないですよコレは……) 「如何なされました? お顔が蒼白い様ですが……」 アリシアが体調が不調そうなゾーラに尋ねる、誰の所為だと思っているんですか!! ……と思いつつもゾーラは言った 『大丈夫よ……ちょっと……枕が変わって睡眠不足なだけよ……』そこで魔王は追及するかの様に『本当かゾーラ? 偽ってはイカンぞ? 本当は興奮していたのではないか?』 ゾーラがドキッとしたが魔王は不敵に笑みを浮かべ言った『ピクニックが楽しみ過ぎて興奮して眠れなかったということはお見通しだ!!』 ビシィとゾーラを指し言った、それに対し 『違いますよ、魔王様じゃないんですから……』 そもそも魔王様が私に押し付けた所為じゃないですか……と思いつつもゾーラは言った 『何を言う!! 我は快眠であるぞ!!』 と何処かずれてい
る魔王は言い返す 「心配ご無用です、ゾーラ様も詠様と同様にお身体が優れ無い様でしたら私がお運び致しますので」 アリシアが中型のリアカーを軽々引き、リアカーには詠が乗っていた 『すまぬの……ピクニックが待ち遠しくて一睡もしておらぬ……あふぅ〜』欠伸のあと、うたた寝を始めた詠、魔王がアリシアに言った 『大丈夫なのかそれは……重くは無いのか?』 ゾーラは呆気に取られて恐る恐る聞いた 『アリシアはどれくらいの重さまでなら持ち運べるんですか……?』 知ら無い方が幸せなこともある、アリシアは言った 「土砂崩れの除去と道の整備の仕事の経験も御座いますので……1000キログラム以上行くのではと予想いたします」 『オーウ……ストロング〜ガール……』 とゾーラはお顔が青大将になるほど血の気が引き口走った 「ゾーラ様も魔王様も、無理はなさらないでくださいませ……何時でもお乗りください」 魔王は言った 『それに我が入るのはギリギリではないか』
それにアリシアは言った「問題ありません、どなたかを背負えば良いのです」
『我は相当重量が有るのだが……』 魔王 推定体重恐らく80キロ前後です
――――霊山の中腹―――
ゾーラと詠はアリシアのリアカーに居た
『ごめんなさいアリシア……意識が朦朧としてしまって……フワーッ』ゾーラは大きな欠伸をした 『もし重荷ならば、わしは降りた方が良いかの?』「いえ、私は今まで何かを過重に感じる事はありませんでしたので、重さによる苦痛は解りませんが大体の重さを測定する事は可能です」 二人との会話に対して、とんでもない事を自然に口にするが、ゾーラは流石に、まぁ……アリシアなら普通ですね ……と慣れてしまっている
『さて……ワシはそろそろ歩くとするかの〜』 仮眠をとった詠はリアカーから降りて歩き出す……荷物はリアカーに置きっぱなしで
「止まれ!!」 と怒鳴り声を上げて山賊が現れた!!
山賊は剣を抜いて恫喝している 「いいか!? お前〜えっと……サモエド野郎!! 命が惜しくば荷物と女を寄越しな!!」 『我はサモエドではない!!』魔王は反論した、アリシアは山賊に近付いた 「なんだ……へへ自分から来るたァ利口な奴だぜ、中々いや、それ以上にそそる顔してるじゃ無えか」 アリシアは無言で山賊の剣を掴みに掛かる 「ってお前何してんだ!! これ刃物っ!!」 山賊は剣の刃の部分を掴まれそうになり慌てて引っ込めた 「いや、お前マジ何なの!? 何で刃の部分掴みに来てんの? 俺はこの剣を使って脅迫しに来てんだよ!? 解る!?」 アリシアは頷き「はい」 と一言返答をして、刃の部分を掴もうと手を伸ばした 「だからァ!! 何で掴もうとするんだ!! 危ないだろ!! おいお前!! そこの毛玉!! お前だよお前!! どういう思考してんだよ腕が惜しく無えのかコイツ!! ぶっ飛んでるぞこのヒラヒラ女!!
マトモじゃねえ!!」 山賊は魔王に怒鳴り散らす『刃物を振り回し、他者から奪う事でしか生きれぬ貴様の方がマトモではない!!』 魔王は山賊を一喝して叱責 「俺は剥き出しの刃の部分触りに行かねえぞ!!」 しびれを切らした山賊は魔王に剣を振り被って突撃するが降り下ろされる瞬間、アリシアが右腕でガード、魔王を庇った 「何でだよお前……何してんだよ……」 アリシアのメイド服は切れず、中の右腕が切れて服から飛び出しそれを左手で受け止める 『キャアアアア!?』 とゾーラが悲鳴を上げ 『む……惨い』 と詠が悲愴な表情で顔を背けた 『アリシア……お前は何をしておるのだ……我は勇者がのみが扱える伝説の武器デュランダルやクラウ・ソラスかカラドボルグでなければ命は落とさぬのだ……なにもお前が傷付く必要はないぞ!!』 ゾーラは思わず言いました『ちょ……魔王様!? 何自分の弱点暴露してるんですか!?』 あっしまった……とい
う顔を魔王はしたがその直ぐ後 『因みにゾーラの弱点は何じゃ?』 とさりげなく詠が聞いた 『ハルパーかな……って!! 何を言わせるんですか!! それよりもアリシア腕は!?』 アリシアは右腕の切断目を当て行い、腕は速効で癒着されていた 「問題ありません、破損箇所を修復しました」 アリシアは隠し持っていたジャマダハルを取り出し装備した 「な……なんだ!? 何故血も出ず直ぐに治るんだ!? 何故服は傷ひとつ付かないんだ!? この女……化け物だ!!」 アリシアは堂々と言った「血が出ないのは蜥蜴が尻尾の切断時に血が出ないのと同じ理由です、服が切れないのは特殊合金製の繊維で作られた服ですから抗菌と防虫に加え火耐性と防刃と防弾の特別仕様だからです」 ゾーラはそれに対し言った『でも……アリシアの体にダメージは入るんですよね……?』 アリシアは平然と言った「はい、ですが私は外的損傷や内部からの損傷に対して例え激痛であっても苦痛に感じ
る様な事はありませんが、痛みは解ります」 ゾーラは怯えた『ヒェッ』 魔王は心配して言った『おい……それでは痛いって事ではないか!? 無茶はするな!! もっとこう……自分の身体を大事にしろ!!』 こんなモフモフ紳士魔王なら世界を支配しても咎められるのは魔王を倒そうとする者だろうな的な事を詠やゾーラは思っていた 「私は魔王様に忠誠を誓うメイドです、それに平気ですから心配は無用です、そうですね……魔王様は私の身体をもっと御信用くださいませ」 魔王は申し訳なさそうに言った『すまない……我は自分の従者や配下達を心配するあまりに信用が足りてないと思わせていたのだな……我はただ傷付いて欲しくなかっただけなのだ……』 キューンと子犬の様な悲しげな声と共に耳も下がる 「魔王様が気に病む必要性は皆無です、魔王様の寛大なる配慮深いお心遣いは確と理解致しております、只私の身体は簡単には朽ちません、例え真っ二つにしたところで当て行えば損傷度合いにより数秒から数分で癒着
致しますので……それに別に当て行わなくとも再生も致しますので」 詠が、は!? という顔で聞いた『待たれい……侍女よ、御主は真っ二つにすれば増えるのか!?』 当たり前の様にアリシアは 「はい、切り方によりますが」 『プラナリアですか!!』 ゾーラはツッコミを入れた 『逆にどうやれば死ぬんじゃ!?』 詠が驚いた 「刺された程度や70%前後の損傷からの再生経験も御座いますので……不明です」 山賊の標的がアリシアに変わった「化け物め!! 殺られる前に殺ってやる!!」 アリシアはジャマダハル(アダマス製)で応戦する、山賊では相手にすらならない、「ゼェ……ゼェ……駄目だ……くっ…………殺せ! 止めを刺せ!!」 野郎のクッコロに需要は無い、山賊の持久力は銀之助の足元にすら及ばなかった、銀之助ならば半日中戦うだけの体力だけはあるが、山賊は5分でバテた 「止めを刺すかの判断は魔王様次第です」 魔王は言い
ました『生きろ、命は粗末にしてよいものではない……』 戦闘に勝利した、山賊はよろよろと逃げて行った 『足下が覚束ないではないか……家まで送った方が良いのではなかろうか? 』 山賊を送り届け様とする魔王を詠が掴み言った『そっとしておいてやるんじゃ……』