五杯目 魔王と狐さん
狐巫女族、豊穣と商売のご利益が有るとされるウカノミタマという神をお稲荷様と呼び祭る種族で通常の狐同様に希に黒や白の個体が生まれるとされる、基本的に侵略に対する防衛面は前代魔王による支援でブルードラゴンという、どう見ても緑色にしか見えないドラゴンを狐巫女族達と国を守護する様にと授けた為に鎖国されたこの大国はグリーンドラゴン大国とされ現在も世代交代を繰返し緑の竜に護られているが歴代魔王とその関係者等が入国可能だがこの現代魔王は律儀な為に入国申請までして土産物も持ってくる為に、魔王は世代交代の度に優しく成って行ってると言われている、恐らく次かそのまた次の世代くらいには可愛い幼女の魔王にでもなってるんじゃないかと噂されている
――――稲荷大社――――
魔王が挨拶の為、到着すると 狐巫女族の若妻、狐塚 秋穂 が『魔王様、ようこそ御出くださいました、百年前に家の道楽息子が失礼を……』 と土下座をしてきたのです 『な? 何だ!? 表を上げい、我は土下座をされる様な覚えなぞ無いぞ!!』 秋穂が申し訳なさそうに言います 『家の息子が……魔王様を化かしてしまい……お腹を空かせた童を偽り……菓子を騙し盗ったそうで……どのような罰でも……』 魔王は驚いたが言った 『あ……おお! アレか……アレは……我があげたのだ! 気にするで無い、また買えば良いのだ』 魔王は寛大過ぎて和平交渉がスムーズに進む為に殆どが同盟国である 『え……ですが……』 さすがに怒りの感情の欠落を疑うレベルの発言に驚きを隠せない秋穂に魔王は言う 『それに、我に一敗喰わせようとする勇気と度胸は感心して嗟歎の声を贈らざるおえぬ』 Satanの嗟嘆、ギャグが成立している事
に気付いたゾーラは肩を震わせ笑いに耐えていた
『ゾーラ!? どうしたのだ!? 体調が悪いのか!?』肩を震わせるゾーラに気付いた魔王は心配した、ヤバいゾーラは思った……どう弁解しようと、だがゾーラは意を決して言った『魔王様の寛大さに思わず感激してしまい……』 一か八かもうどうにでも成れ、ゾーラの目には涙が浮かんで零れ落ちていたがサングラスを架けている為、零れ落ちた涙のみが見えた 『恥ずかしいからよすのだ……照れるではないか……』 魔王が照れくさく、はにかむ
――――大社境内――――
ほのぼの系魔王達が話している間、アリシアは子ギツネ達に遊ばれていた、
『ヒラヒラのお姉ちゃん〜これ何〜?』 と狐耳のケモロリ幼女の秋常 稲穂がアリシアに聞く 「これはダガーです、危ないので遊んではいけませんよ、代わりにこの牡丹餅を差し上げますので御返しください」 稲穂がアリシアに返そうとした瞬間突如として、やんちゃで悪賢そうな顔の生意気な雰囲気を漂わせるショタ狐の狐塚 銀之助がダガーと牡丹餅を稲穂から掠め盗ったのである『へっへーん♪ いっただき〜!! ……んぐんぐ……うめぇー!!』 そして牡丹餅を食べた 『わああん!! 牡丹餅返してよ〜!!』 泣きじゃくって牡丹餅の返却を求める稲穂 「ダガー返してください」 冷ややかな声と毅然とした態度と表情を崩さぬまま告げる、だがどこか覇気を纏っているかの様に側にいる稲穂の肌がピリピリと痺れを訴える 『ヒッ……』 稲穂の本能も危険を訴える、ニゲロニゲロニ
ゲロと……だがそれに反して足が動かない……稲穂の足が、動け! このポンコツが! 動けってんだよ!! な状態であるにも係わらず、銀之助は相も変わらず舌を出して、『やーだよ』っと言っている、これは将来大物になるか革命でも起こしそうである 「最後通告です、危ないのでダガーの返却を求めます」 銀之助はまだモンスターと人間の違いを理解しておらず、人間の耐久力は脆く簡単に命を落とす事もあれば、しぶとく苦痛に悶えつつも中々死ねない程の中途半端な身体であるが、モンスターは個体が様々で命を落としても、魔力が濃い溜まり場があれば復活を遂げるが魔力を散らさず吸収する勇者の使う意思を持った精霊の宿る伝説の剣はモンスターを完全に消し去り魔王の復活をも長きに渡り阻害する為に、超危険物として封じられている……その認識が出来ていないのである 『そんなに返して欲しければ返してやらぁ!!』 銀之助はダガーを投げ、投げたダガーをアリシアは足で蹴り弾いて、くるくると回転をするダガーの持
ち手を器用に掴んだ、アリシアで無ければ刺さり、命を落としてたであろう、その投擲は見事で魔王が一目置いた、狐塚 秋穂の息子とは何を隠そうこの銀之助である、銀之助はアリシアの底知れぬ毅然で整然とした乱れぬ様相に好敵手を見つけたかの様な昂然とした笑みを浮かべた
――――魔王とゾーラ――
茹でた枝豆を、すり鉢で塩を入れて潰しながら少しずつ砂糖を足していきペースト状のやや粒が残るまで練り潰した物のシェイクと、それを餅に塗りつけた食べ物が魔王に差し出される
『お……おお! ずんだ餅とずんだシェイクではないか!! これは……食べても良いのか?』 魔王が眼を輝かせて言う、『はい、勿論ですわ魔王様、ゾーラ様もよろしければどうぞ』 この温度差である…… 『わ……私……ちょっと甘いもの控えてまして……良かったら魔王様、私の分もどうぞ……私は散歩がてら子ギツネの面倒を見ているアリシアを見てきます……あの子狐達があまり表情を変えてる所を見たことが無いアリシアを恐がっているかもしれませんので……』 ゾーラが魔王にそういうと魔王は無邪気な笑顔でそれを美味しそうに食べた後『うむ……迷わぬ様にな……』 と取り繕った
――――境内――――――
一方その頃境内は闘技場と化していた……
き゛んのすけ は きつねひ゛をはなった▽
『当たれえぇぇ!!』 Missアリシア はこうけ゛きをかいひした▽ 幾度の攻撃をアリシアは回避する涼しい顔で……
ゾーラが境内に行くと目にしたのは……雪国ではなくガチバトルロワイヤルでした…… 『えぇぇ!?』 子ギツネ達が『やれやれ!!』だの『ギンに二口賭ける!』や『ヒラヒラ女に三口!!』と賭け事をしていた 『そこの蛇のお姉ちゃん、賭けてかない? 一口稲荷鮨ひとつだよ〜』商魂たくましい子ギツネまで居た 『いや……私は遠慮するわ……』 さすがにこれには顔が引き攣るゾーラです 『チェッ……つまんないの……御神酒にお茶〜』 売り狐さんが離れて行こうとする 『ちょっと……お茶を売ってくれません?』 ゾーラは脂汗がだらだらでもう喉もがらがら蛇である 『まいどー』
お茶を購入して飲むゾーラ『ぷは……アリシアは凄いわね……』
アリシアは身軽に避ける……しかもゾーラに気付き、一礼をして一切、銀之助を見ずに避け続けている 『嘗めやがって!!』 銀之助はアリシアに何をしても優雅に避けられるので苛立たしい様だ 『ギンが疲れてバテて負けるのに三口追加した僕勝ちそうー!!』『戦いの蚊帳の外にいる稲穂が残って不戦勝に四口賭けた私の可能性もまだ……』 銀之助対アリシアの賭けは大いに盛り上がる変化が現れた、『うるせえ!! お前ら! 気が散るだろ!!』 銀之助は余裕が無くなって来た為に怒鳴る……八つ当たりだ 「このままでは当たり散らして周りに被害者でも出そうですね……ゾーラ様、保護者を呼びに行ってもらってもよろしいでしょうか?」 その時である『その必要はありません、上には上がいるという事を道楽息子に解らせてあげてくださいませ』 秋穂が、いつの間にかゾーラの背後に立ってアリシアに声を掛けた、目を細めているが雰囲気では怒っているのであろう、という事が解る殺気の様な気配に
身体がゾクッとした、まるで血を抜き取られる様な感覚をゾーラは背中に受け『あ……ぁぁぁ……』 お漏らしだ……
「すぅ……ふぅ…………」 次の瞬間アリシアが目を瞑り石化したかの様にうごきを止めた 『今だ!! 喰らえ!!』 攻撃が当たりそうになる刹那、アリシアが消え銀之助の背後を取り頭を撫でた……『んな!?』 突如頭を撫でられた銀之助は戸惑い焦ったが振り向いた……アリシアの左眼は青ではなく神々しく光る黄金の鋭い輝きを放ち、右目は赤々とおぞましく光り、目の光が弧を描き、髪は淡い白光を放つ白狐の様な白髪になり、アリシアの動きが残像を残して増えて見える錯覚を覚える銀之助は……気が付けば床に伏していた 『え……? ハッ!?』 銀之助は立ち上がろうとした 『オレはまだ負けてな……』が、グググと立ち上がろうとした時に『それまでじゃ!!』 幼女の様な見た目の九尾処ではない20本もの尻尾を持つ狐の女の子が居た 『『『族長様!?』』』 子ギツネ達が声を揃え驚いた 『銀之助よ、御主の負けじゃ、認めよ』族長の詠が銀之助に
諭す 『だけどオレまだ戦え……』『たわけ者めが!! あの女子がその気になれば御主は死んでおったわ!!』銀之助はおどおどと言う『で……でも死んでも復活するんじゃ……』『戯け!! 狐巫女族はモンスターではない!! 獣人の一種じゃ!! 人間ども同様死ねば蘇らぬ!!』 詠は銀之助に怒鳴り付けた
『アリシア……その姿は……?』 恐る恐るゾーラはアリシアに尋ねる「そんな事よりも、ゾーラ様新しく御召し物を御用意致しましょうか?」 スゥーと一呼吸の内にアリシアは元の平常なアリシアに戻り言った
「これはダガーです、危ないので遊んではいけませんよ、代わりにこの牡丹餅を差し上げますので御返しください」 稲穂がアリシアに返そうとした瞬間突如として、やんちゃで悪賢そうな顔の生意気な雰囲気を漂わせるショタ狐の狐塚 銀之助がダガーと牡丹餅を稲穂から掠め盗ったのである『へっへーん♪ いっただき〜!! ……んぐんぐ……うめぇー!!』 そして牡丹餅を食べた 『わああん!! 牡丹餅返してよ〜!!』 泣きじゃくって牡丹餅の返却を求める稲穂 「ダガー返してください」 冷ややかな声と毅然とした態度と表情を崩さぬまま告げる、だがどこか覇気を纏っているかの様に側にいる稲穂の肌がピリピリと痺れを訴える 『ヒッ……』 稲穂のFOX本能もMAXヤバいと危険を訴える、ニゲロニゲロニゲロと……だがそれに反して足が動かない……稲穂の足が、動け! このポンコツが! 動けってんだよ!!
な状態であるにも係わらず、『ハァァァ……昏昏!!』 稲穂の狐巫女族の先代の血筋が覚醒、攻撃しろと命令し本能のままに放った狐拳は銀之助の腹部に深く突き刺さる『グッハ……ま……まさかお前が伝説の狐拳を……何故ェ……』 オーディエンスが沸き立つ……『乾坤!! 魂破!! 空狐手刀斬!!』 アリシアにも向けられた狐拳はアリシアのメイド服を切り裂く事すら敵わず、手首を掴まれ止められた 『覇砕脚!!』 稲穂は蹴りを繰り出し覇気を打ち消し動けなかった脚をアリシアの腹部に突き上げる様に撃ち込んだ……メキメキと身体が音をたてる最中沈み混む脚を平静な顔で掴んだ、だが自由に成った稲穂の幼女特有の可愛らしい腕は、アリシアのメイド服に収納されたダガーを抜き取り、深く鳩尾に突き刺したのだ……その一瞬で跳躍によりアリシアと間合いを離す稲穂、何時もの泣き虫な稲穂はもういない……闘志に満ちた戦士の顔をしていた……
アリシアは深々と突き刺さったダガーを引き抜き平然な顔付きのまま血反吐をぺっと吐き……物の数分で傷が治癒されていく…… そしてクイックイと指で挑発した「仕方がありません……手加減は致します、貴女の体力が尽きるまで……御相手致しましょう」
ってんな話有ってたまるかい!!