二杯目 魔王様と一緒!
メイドのアリシアが魔王に仕える話です
魔王城の庭には花が咲いている、魔王は花と可愛いぬいぐるみが好きなのだ、魔王城内部にはゴミ箱が設置されている、魔王は綺麗好きなのだ。
魔王が廊下を掃除している
「魔王様? どうして掃除をしていらっしゃるのですか?」 魔王は掃除の手を止めアリシアの質問に答える
『おお、アリシアか実はな本来は側近のインプが当番なのだが……アイツは何時もサボるのだ! だから我が代わりに掃除をしている!! アリシアは今日は当番ではないし、来たばかりだからな、休んでて良いぞ……クククッ……クハハハハハッ!!』と魔王っぽく笑う魔王にアリシアは言った「私が代わりに掃除を致します、魔王様の方こそお休みください……」魔王は驚き言う 『良いのか? 魔王城は広いぞ? 無理せず出来る所までで良いぞ!?』 アリシアは答える 「問題ありません、私はメイド・オブ・オール・ワークですから」魔王はアリシアに言った『では我も一緒に掃除をやろうではないか!』 「大丈夫ですからご休憩なさってください」ヒョイと魔王を抱き抱え部屋へと運ぼうとすると魔王は言った『わっ!? わ……おい! 降ろせ!! わかった!! 見てるだけ!! それでは側で見ているだけでよいだろう!?』 魔王は降ろされ恥ずかしさの余り顔を隠す 『うぅ……屈辱的
だ……我は恥辱を受けた……それもメイドに……』
――――掃除中―――――
魔王は疲れを知らず掃除を黙々と続け部屋も廊下も1人で手早く綺麗にしていくアリシアを目を丸くして見ている、
そこへ件のインプがスナック菓子を食べ溢しながら歩いて来る、アイアイとスローロリスを混ぜ合わせて蝙蝠の翼を生やした様な見た目そっくりのインプがポテトチップスを食べながら言う 『あれ? マオーさまじゃないっすか! どうしたんでふ?』 魔王はインプのアイリス(魔王命名)に言う『お前コラ……めっ!! 何をやっておるのだ!! アリシアが頑張って掃除をしてくれていたのだぞ!!』この魔王は本当に魔王なのか…… 「いえ……また掃除をすれば良いだけですから、お気になさる程のモノではございませんが」 メイド・オブ・オール・ワークのアリシアにとって、この程度は本当に支障無しなのである 『アイリス!! お前!! 許さんぞ!! 罰を与える!!』インプのアイリスは怖じ気づく、あっこれマジギレだヤベェそう思った『ひぃ……魔王様!! 何卒お許しを〜』 魔王は言った『駄目だ!! 貴様は罰を受けなければならぬ! 我は本気だ!! そのゴミ
はゴミ箱に捨てろ!! それが罰だ!!』 インプは拍子抜けしたが言った 『そんなぁ殺生なぁ〜めんどくさいよぉ〜』 そこへ通り掛かりのゾーラが来て言った『いや、それ当たり前ですよね? 魔王様も魔王様で甘過ぎますよ……糖尿病になるレベルですよ?』『激甘だぜぇ?』『ちょっと石にしたくなって来ました……』アリシアはゾーラに質問します「ゾーラ様は石にする事が出来るのですか?」 そう言いながらアリシアはじっとゾーラを見る『はいできますよー、私の目を見ると石みたいになるんです……って見ないでくださいぃ……』魔王はツッコミを入れた『お前が石みたいになるな!!』
―――――厨房―――――
魔王城の厨房では魔王は頻繁に趣味でお菓子を作る、魔王は甘いものが大好きなのだ、魔王は時折作ったお菓子を妖精に配る事がある、魔王は喜んでくれるのが大好きなのだ。
『ムッ!? 蜂蜜とチョコレートが無いぞ!! 何処だ!?』 はいそうです勿論インプです 『ギブミーチョコレート!! やぁボク、インプーさんだよ〜はぁちみつたぁべてるんだぁ〜』 『アイリス!! またお前か!』 「如何なされました? 魔王様」 大声にゾーラがやって来ました『何事ですか!? 魔王様!!』 魔王は答えます『うむ、アイリスが板チョコとハチミツを食べたのだ……これでは菓子が作れん! という訳で留守番を頼む、我は町まで買い出しに行くぞ』 ゾーラは呆れ言います『魔王様がお菓子の買い出しで出歩いては大騒ぎになります!! ここは食べたアイリスに行かせるべきですよ?』インプは言います『嫌だよ!! インプなんて人間にとったらレベルアップの為の経験値だ!! 殺られちゃうよぉ!!』 アリシアは「御使いならば、私が行きましょう」と言いました ゾーラは『それでは私は魔王様が心配せぬようにアリシアと一緒に行きましょ
う、何度もラスボスが簡単に出歩かれては困りますから』と言いアリシアをお供に買い出しに行く準備をします
『怪しい勇者にパーティーに誘われても一列になって付いて行くな!! 勇者は招かれてもない家に勝手に入り箪笥を漁ったり、貴重品保管箱を勝手に開けて持って行ったりする頭のおかしい集団の集まりなのだからな!! 希に現れるのだ……我のポポちゃん……捨てるなら持って行くでないわ……』
「それでは行って参ります」
―――――道中―――――
『ねえ、アリシア……』
「はい、如何なされました?」ゴルゴンとヴィクトリアン時代のメイド服を着用した女の子が話している珍しい組み合わせである
『魔王様って過保護過ぎる時が有るのよね、普通は魔王様と言えば……ワイングラスに葡萄酒か赤ワインか血液を入れて飲んでるイメージでしょ? でも魔王様はブドウジュースとかをお花とミツバチのマグカップで飲んで行商人と契約して頻繁にブドウジュースやらクランベリーとかラズベリーにストロベリーやブルーベリーの入った見た目だけは血液みたいなベリージュースを売りに来るのよ、ベリージュースをワイングラスに入れて飲んだりする為にね』 アリシアはゾーラの身内の話に相槌を打ちながら話の終わりに言いました「部下を気に掛ける良い上司じゃないですか」 ゾーラが、まあね〜と言っている最中である突如として剣士が来たのです 「おい! そいつから離れろ!! 石にされるぞ!!」 その声と共にゾーラへとアイアンソードの刃が襲いかかる、だがそれはアリシアのアダマス製の金属板が仕込まれた靴によるハイキックにより防がれた 「な!? 蹴りだと!? 何故邪魔をする!! 足が惜しく無いのか!?
」冷静にアリシアは答える「この靴は至るところにアダマスが使われています、勿論靴以外もアダマス製の物はあります」 アリシアはアダマス製のダガーナイフを出し再び繰り出された攻撃をいなす、連続でパリィをする等アリシアには造作無い行為なのだ
「な……何ぃ!? 全て防いでいるだと!? その腕が有りながら何故魔物の味方なぞ!!」 アリシアは平然とした態度で言いました
「私は魔王様にお仕えするメイドですので……」
意外な強さを魅せるアリシアに剣士もゾーラも驚きを隠せません
『連続parry……魔王様なら一撃位貰ってるレベルを無傷で……』 剣士はダガーに気を取られ隙が出来ていた所をアリシアが蹴りのフェイントを掛け手刀の一撃により意識を奪った
ゾーラは賞賛している『鮮やか!! お見事です! さて、やることが増えましたね』 アリシアは言いました「止めですか? ご命令とあれば」 ゾーラは慌てて否定した『違いますよ!! 教会へ転送するんです!! 人間がモンスターに負けて教会で甦るのは実は死なない様に手加減して転送させてるんですよ、魔王城の政経は教会が復活料金として徴収したお金を分けてるからなんですよ!』
ゾーラがアリシアに説明をする、モンスターに負けると教会へ送られ治療後に目覚める、そして魔王城の経済力になるシステムを、逆に人間に負ければ止めを刺され経験値になるがモンスターは魔力溜から復活する、なのでモンスターは尽きないが痛いのは嫌なので魔王城は魔材不足なのであるという事情を
ゲームで何気無くやっている勇者特権は盗賊と変わらず、教会等で復活はモンスターが教会に運んでる、そう考えるとモンスターサイドはほのぼのしてますね