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ヒーロー協会のゆるキャラ。  作者: 銘水
祭り編
34/68

『開幕』

 今年もこの日がやってきた。

 ヒーロー協会の夏の風物詩、“大英雄祭ヒーローフェスティバル”開幕だ!!


 久しぶり!影の薄いヒーロー、雷電だ!

 皆、忘れてないよな?出番はなかったけど、ちゃんと仕事してるからな。むしろ、祭りのために身を粉にして働いてたぜ!


 大英雄祭は三つの特設会場で、五日に渡って行う一大イベント。

 悪の組織が放っておくわけがないから、オレ達ヒーローは、予知・予言課の指揮のもと、一丸となって悪の組織の拠点を潰した。かれこれ2ヶ月、昼夜を問わず戦ったんだ!

 おかげで平和になったぜ!一時的だけど。


 どうして一時的かっていうと、悪の組織って、キリがないんだ。

 台所のコバエみたいに、倒しても倒してもすーぐ新しいのが発生する。有名なセリフあるだろ?

『私を倒しても、第二第三の悪が現れるだろう……』って奴。まさに、それ。いたちごっこだ。

  

 そもそも、悪の組織・怪人の起源は“魔族”と呼ばれた伝説の種族。

 人間の負の感情をエネルギーにするから、数は減っても根絶することはないっていうのが協会の見解。

 魔族の脅威に対抗するため、人間は進化してきたって。


 脅威って言っても、そう大したことは無いけどな。現在、悪の組織のほとんどは、命に関わらない程度の悪さしかしないんだよ。人間が滅びたら、糧をなくして怪人も滅びるし。

 たまーに暴走するのもいるけど、そういう輩は徹底的に駆逐されて終了。人間なめんな。


 話しを戻すけど、ここ十年は悲惨な事件も起こらず、そこそこ平和だっつーことで、今回の祭りは盛大にやるらしい。

 今日は大英雄祭の“前夜祭”。

 店のプレオープンみたいなもので、準備期間中に功績を上げたヒーローや傘下組織のメンバー、協会の関係者やその家族、他には児童擁護施設の子なんかが、特別に招待される日。

 

 フル稼働で働いたオレももちろん招待されたぜ。

 頑張った甲斐があったー!!

 今オレがいるのは第一会場。主に、食品やグッズを販売してる。限定品多いし、ヒーローやゆるキャラのイベントは大抵ここでやるから協会が厳選した店ばっか並んでる。


 さっきひーらちゃん饅頭食べたけど、正直屋台とは思えないクオリティだったぜ。販売の子も皆可愛いかったし!

 明日からは夏休み期間中ということもあって、大勢の老若男女が芋洗いのように押し寄せるんだろうけど、前夜祭の今日は余裕がある。快適快適!


 他の客も見知った顔が多いけど……ウルフナイトがいないな?あいつも招待されてるはずだけど、なにせ会場が広すぎる。


 あっ!いたぞ!


 ちょっと遠くて見づらいけど、ひーらちゃんのぬいぐるみを抱えた狼なんて、あいつしかいねーよ!

 氷の彫刻が等間隔で立ち並ぶ通路を、オレは駆け抜けた。

 何をするかって?宣戦布告・・・・に決まってる!


 大英雄祭の期間中はイベントが目白押し。金持ちがこぞって競り落とすオークションとか、ヒーローの講演会とか色々あるけど、一番の目玉は二日目から始まる“闘魂祭”だ!!

 ヒーロー達がトーナメント方式で武を競う、熱い戦いの祭典。


 優勝すると、最強のヒーローの称号が手に入る!

 エントリーせずにはいられないだろ?

 ヒーローが全員参加は無理だから、ふるい落としはあったけど、幸いオレとウルフナイトは残ってたんだ。打倒ウルフナイトを掲げるオレにとって、またとないチャンス!!

 こんな日のために開発した新必殺技を見せてやるぜ!


「ウルフナイト!」

 声を張り上げたら、数人の客と一緒にあいつも振り向いた。

 どうせ軽くあしらわれるんだろーが本番前に、オレの気合いを見せてやるぜ!


「雷電か。……お前も闘魂祭に出るようだが、いいか、優勝するのは俺だ!!お前も他のヒーローも、全員ぶっ倒すから首を洗って待っていろ!」

…………………………えー。言いたかったこと、全部言われた!?

 つーか、どうしたウルフナイト!?瞳が燃えてるぞ。いつの間に熱血キャラにクラスチェンジしたんだよ!?キャラ被っちゃうだろ!?

 

 ツッコミたいのに、あまりのことに呆然として言葉もないオレ。

 ウルフナイトはマントを翻し、颯爽と去っていった。

 くそ、早くも負けた気分だぜ。しかし、あいつが熱くなるなんて……何があったんだろ?謎だ。


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