目的
そして家に着いた。
「遅かったわね。何かやってたの?」
家に帰って来ると瑛子がすぐに聞いてきた。生徒会室で別れてから結構時間が経つので心配してくれたのかと俺は思った。
「ああ、部活をやっていたんだよ」
瑛子はそうと言ってどっかに行ってしまった。人には聞くが、瑛子は自分のことはほとんど言ったことないよなと俺はその時にふと思った。
「そーくん、おかえり〜」
今度は愛姫がやって来た。この家の住民は誰かが帰って来ると寄ってくる習性があるらしい。
「どうした?」
俺は要件を聞いてすぐに立ち去ろうとした。
「やっぱ、かんちゃんはおかしいよ」
いきなりキツイ。いきなり直球できた。
「どこがだよ?今日見て確信でも得たのか?」
愛姫は白羽さんとはあまり会っていなかったのだろう。なんせ不登校だったんだから…。
「うん、やっぱおかしい」
根拠はないのかよ…。
「理由は?」
聞いてみたが、答えは期待していない。
「そんなのうちの直感だよ!」
ほら、こんなのは信じれる訳がない。
「まあ、頭の片隅にはおいとくわ」
俺は愛姫の言いたいことを聞いたので、足早にその場を離れた。
「気をつけてね〜」
と後ろの方で言っていたが、俺は後ろを見なかった。確かに俺も白羽さんと一緒に居る時は少し違和感を感じる。こっちに来てからは感じたことない違和感だった。他の人とは違う何かが…。愛姫みたいな直感ではないが、わずかに感じるのだ…。まあ、今のところは普通だから気にはしなかった。
ふぅ、また今日でわかったことが増えた。わかったことを前書いたプリントに追加した。
・自分で唯一見えるようになった肌色
と書き加えた。本当に役に立つかはわからないが、何もわからないよりましか…。俺は部屋に戻ってベットの上でボーッとしていた。どうでもいいようなテレビをつけてただ目をつむって聞いていた。冷静に考えると電気代がもったいないな…。
「そーくん、ご飯だよ〜」
もうそんな時間か…。どのくらいボーッとしていたのだろう。単純に今の時間からさっきの時間を引けばいいのだが。面倒くさいな…。
「そーくん、寝てるの〜?」
愛姫に俺は返事にしていなかった。
「起きてるよ」
こうでも言っておかないと勝手に入って来るかもしれないからだ。
「だったらすぐに返事してよ〜」
愛姫が力の抜けた声で言った。
「悪い悪い、すぐ行くよ」
俺はすぐに起きてテレビの電源を切り、行く支度をした。支度と言っても家の中なので、そこまでのことではないのだが…。
「寝てなかったのね」
瑛子が椅子に座ってこっちをみて言った。手には毎回のようにコーヒーを持っている。朝コーヒーを飲んで、夜もコーヒーを飲んでいるのか…。飽きることはないのだろうかと俺は思った。
「考え事をしてただけだ」
今回は一応頭の中でまとめれているので、まだこの前よりいい。この前は本当に頭がパンクすると思ったほどだったからな…。
「夕食をお持ちいたしますね」
斬谷さんが三人が揃ったのを確認してから言った。この人は抜かりがない、流石だ。
「夕食をお持ちいたしました」
そう言って運んで来てくれた子は任原さんだった。
「お、任原さんだ」
この家でメイドをしている姿は今日初めて見た。最初に会った時にしかメイド服を着ている姿を見ていなかったので、俺には少し新鮮に見えた。
「メイド服似合ってるよ」
俺は率直に思っていることを言った。
「一度見たことがあるかと思いますが…」
そうだな、見たことある。けどいつもは制服だし…。
「久しぶりに見たから」
会ってからそこまで日にちは経っていないが…。俺には一日一日がいろんなことがあり過ぎて長く感じるから…。
「でも、嬉しいです。この服に見合う人になるのが私の目標ですから」
任原さんは自分の目標をしっかり持っていて、それに向かって努力をしている。俺もしっかりと表の世界に帰ると目標を立てて、そこからしっかり努力しなければと俺は思った。そしてご飯を食べ始めたのだった。




