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反転世界  作者:
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部活

今日の学校もいつも通りに終わった。それにこっからの時間が今日は楽しみだった。地球研究部に行って、表の世界の情報を少しでも多く集めるのだ。それでしっかりと安全がわかったら実験に参加するつもりだ。俺はこう思いながら部室に向かった。

「こんにちは」

俺は部室に入ると同時に挨拶をした。

「おう、来たか」

そこには白羽さんが居た。もちろん、白羽さん以外は部員がいないので、これで全員だ。

俺は隅にバックを置き、白羽さんに尋ねた。

「今日は何をするんですか?」

「そうだな…、俺が考えた実験を聞いてもらおうかな」

んー、俺にはたぶんわからない。何たって昨日のプリントのことですら理解できなかったのだから、俺が表の世界に戻る実験方法なんて聞いてもわからないだろう。でも、一応どんなのをするのか知りたかったので、わかりましたと答えた。

「じゃあ、始めるぞ。まず、こっちの世界から表の世界に行くことはもうできる」

俺もそれは知っている。

「はい、知っています」

白羽さんは少し驚いたように尋ねて来た。

「何で知ってるんだ?」

そっか。まだこの人には言ってなかったか。

「瑛子が表の世界に来ていて、戻ろうとした時に突然消えたので、追いかけたらこうなったんですよ」

俺はこっちに来た理由を短くまとめて話した。

「そうだったか。瑛子が原因でこっちに来たのか…」

「そうですね。あの時はいきなり消えたので、とても焦っちゃいましたよ」

俺は軽く笑って答えた。

「まあ、知ってたなら早い」

白羽さんは話を元に戻して、実験方法をまた話し始めた。

「俺はそれをヒントにして、表の人間がまた表に行けるように理論を立てたんだ」

なるほど、こっちの世界から行く方法を表の人間にも利用しようと言うわけだ。だが、俺はここで簡単な疑問が浮かんだ。

「あの、こっちの人間が表に行けるんだったら、それで俺も表に行けるんじゃないですか?」

そうだよ、それだったら俺も戻れるのではないか?だってこっちの人間が行けるんだから、表の人間が行けてもおかしくないだろう。

「そうなんだ、俺も始めはそう考えていた。だが、それで実験をしたらその人は存在がなくなってしまったんだ…」

白羽さんは前にも実験をやっていたのか…。俺が今言ったことをもうすでに試していたのか。え?最後の方、なんて言った⁈

「あ、あの。存在がなくなったって⁈」

俺は慌てて尋ねた。存在が消えたってどう言うことだ?死んだってことなのか⁈

「存在が消えたって言うのはな…」

白羽さんはとても言いづらそうだった。

「表と裏の世界の狭間に行くことだ。死ぬわけではないが、そっからは絶対に出ることができないんだ…。だから、俺たちは存在が消えたって言うんだ」

表と裏の世界の狭間に…。そんなことがあるのか?行ってしまった人はいるが、それを証明することは出来ているのか?それに最後、俺たちって…。頭の中ではもうすでに、ぐちゃぐちゃの状態になっていた。

「表と裏の世界の狭間に行ったっていう証明は出来ているんですか?そっから絶対戻れないこともわかってるなんて…。それに俺たちって何ですか?」

俺は思っていたことを全て言ってしまった。少しは自分で考えることも出来たが、つい言ってしまった。

「そんなに一気に質問されても答えられないよ」

そうだな。少し焦り過ぎた。

「すみません」

「いや、別に気にすることではないよ。じゃあ、順に説明しよう」

俺はこっからとても凄いことがありそうだと思った。

「まず、俺は表の世界を調査する団体に入っているんだ。そこで、お前より少し前に来てしまった人がいたから、表の世界に戻そうとしたんだ」

俺より少し先に誰かが来ていたのか。だが、瑛子に見つかったら殺されていたかもしれない。

「あの、この世界には表の人間を殺すっていうルールが…」

俺は殺されそうになった時のことを思い出して言った。

「ああ、そんなルールはないよ。ただ、戻る時には記憶を消させてもらうけどな」

なるほど、瑛子が俺に言ったことは半分あってたわけだ。

「話を戻すぞ。それでさっきも言ったが、実験は失敗したんだ。それでその人を狭間から助けようと色々なことをやってみたんだが、結局なんの手がかりにもならなかった…」

そうか、色々と試していたんだな…。それでも何もわからなかったというわけだ。

「それで俺たちはそのことを秘密にしたんだ」

「そうなこと俺に言って良かったんですか?」

そう、いくら部員でもそんなに大切なことを聞いてしまって良かったのかと俺は思っていた。

「ああ、いいんだよ。お前は知っておかないといけない人間だからな」

知っておかないといけない人間?

「それって、俺もそうなる確率が少しでもあるからですか?」

「そうだ」

やっぱり、理論上は安全でも少しはなるかもしれないという不安が残っているのだ。

「でも、安全なんですよね?」

俺も不安になって聞いてしまった。

「もちろんだ」

力強く白羽さんは答えた。俺としてはそんなに危険なことを話されてやる気はだいぶなくなっていた。自分の存在がなくなるなんて…。考えただけでも恐ろしい。

「それで、実験方法だが………」

そっから戻るための実験方法がダラダラと長く説明された。だが、俺はほとんど聞いていなかった。なぜなら、自分の存在がなくなるということをずっと考えていたからだ…。


「これで終わりだ。大丈夫か?」

実験方法の説明が終わったらしい。白羽さんは俺の顔を覗き込むように言った。

「あ、はい」

俺は力なく答えた。もう、何がなんだかわからなくなっていた。

「すみません、俺もう帰ります…」

「そうだな、時間もだいぶ遅いし」

こうして今日の部活は終わった。今日はとても色々と説明されたが、頭の中に残っているのは、表と裏の世界の狭間で存在がなくなるってことしか鮮明に覚えていなかった。俺が考えたことを実際にやったら…。ダメだ、考えるだけで吐き気がする。プラス思考で考えよう。理論は出来ているんだし、絶対大丈夫だ!それに表と裏の世界の狭間なんて存在する訳がない!存在する訳が…。ダメだ…。完全にナイーブになっていた。俺は帰り道を肩を落としながら、とぼとぼと歩いて行った…。

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