表の世界の情報⁈
「奏太くんだっけ?」
白羽さんが聞いて来た。
「はい、そうです。あの、今から何をするんですか?」
俺は白羽さんに聞いた。この部屋はグチャグチャで、何をするかもわからなかった。それに何か特別なものがあるわけでもなく、ただ紙がいろいろと散らばっていた。
「まあ、とりあえずこれを見てくれ」
俺は白羽さんから数枚のプリントを渡された。そこには表の世界のことが書いてあった。
「あの、これ⁉もしかして、表の世界についてですか⁈」
俺はとても興奮していた。こっちの世界に来てから一度も表の世界の情報が入って来なかったからだ。
「ああ、そうだよ」
白羽さんは普通の顔で答えた。俺はプリントを凝視していた。どれだけ見ても俺がわかるものはなかったが、とにかく全てを見たかった。
「どうだ?これが俺が調べた成果だ」
「これ、全部白羽さんが一人で調べたんですか⁈」
「だいぶ時間はかかったけどな…」
プリント数十枚に及ぶことをたった一人で調べたらしい。俺は『表の世界の書』は読んでいないが、たぶんそれ以上のことが書いてあるだろうと思った。
「あの、俺、全部知りたいです!」
俺はただ知りたかっただけだった。表の世界のことならどんなことでもいい、どんなに些細なことでも良かった。
「ここは交換条件といかないか?」
今の俺は表の世界のことを知るためなら何でもする。もし、その交換条件が自分にとって不利になる話でも承諾するだろう。
「その交換条件って何ですか?」
俺は内容を聞いてみた。その内容が、俺にとって不利になりすぎると流石に承諾することはできないからだ。
「入部してくれたらそのプリントをしっかり解説してあげるよ」
何だ…、そんなことだったか。そんなの表の世界の情報と比べたら安いものだ。
「わかりました。入部しましょう、その代わりしっかりと約束は守ってもらいますよ」
これで教えてくれなかったら、俺は白羽さんをぶん殴ってしまうかもしれない。
「もちろん守るさ。これが入部届けだ」
白羽さんは俺に入部届けを渡した。俺はその入部届けに名前を書いて、白羽さんに返した。
「ありがとう、来れて奏太くんは地球研究部のメンバーだ」
普通は部員だと言うのではないかと思ったが、俺は別に気にしていなかったので言わなかった。
「それで俺は何をすればいいんですか?」
そう、白羽さんはプリントを見せたが、特に何かをやっているわけではなかった。だが、これだけプリントが散らばっているということは、図書室にでも行って調べるのだろうか?
「奏太くんは特にやることない。ただ、今日はプリントのことを聞いてもらおうかな」
白羽さんはニコッと笑って言った。確かに俺はあのプリントを見たが、さっぱりわからなかった。別に文字が読めなかったわけではなく、とても物理学的なことが書いてあったからだ。実は俺は物理がとても苦手なのである…。だから、そんなものを見ても俺がわかるわけがないのだった。
「俺、物理とか全くできないですけど大丈夫ですかね?」
一応聞いてみた。でないと、物理が必要だよって言われた時にとても困ると思ったからだ。
「ああ、なるべくわかりやすく話すよ。それに奏太くんにやって欲しいのは、俺が作った理論で表の世界行けるかってことだからね」
と言うことはつまり、俺は実験台だよって言われたわけだ…。どんなに危ないことをするかわからない。
「その実験に危険はないんですか?」
俺はつい実験と言う言葉を使ってしまった。事実上はそうだが、相手に失礼だったと言ったあとに思った。なんせ相手はそんなことは一言も言っていないのだから…。
「実験って人聞きの悪い。表の世界の人間は君が初めてなんだから仕方がないだろう?」
「そうですよね、すみません…」
やっぱり言われた。
「でも、簡単に言えば実験台になってもらうってことだがな」
そうだよな。表の世界の人間は俺しかいないんだもんな…。それに俺が表の世界に戻るためには、たぶんその実験をやらないといけない気がする。ここはしょうがないが、俺は実験台になる覚悟を決めた。
「俺、やります!俺も表の世界に戻りたいし」
不安がないわけではない。だが、それ以上にあのプリントに書いてある情報もわからずじまいに終わってしまうことが嫌だった。せっかくここまで来たのだから、少しでも情報が欲しかった。
「良かった。じゃあ、プリントの解説をしていくよ」
白羽さんはプリントの解説を始めていった。もちろん俺は、物理は全くできないので、ほとんど理解することができなかった。途中からは、頭がパンクしそうだった。
「あの、俺全然理解できなかったんですけど…」
一応伝えておいた。でないと、俺が理解してくれたと思って、どんどん進んで行くと俺自身が辛いからだ。
「始めにも言ったけど、奏太くんにやって欲しいのは、俺の理論の裏付けなんだよ。だからそれが理解出来てなくても、俺がサポートするから大丈夫」
良かった、本当に良かった。もし仮に、プリント数十枚を覚えて来い何て言われたら死んでしまうところだった。不安もあったが、それ以上にプリントの内容を聞けたので、だいぶ情報が集まった。
「今日はもう遅いから、これで部活は終わりだ。片付けは俺がやるからいいよ」
白羽さんはそこら編に落ちている紙を拾いながら言った。
「俺も手伝いますよ。もう、部員なんだし」
俺は先輩にこんなことをやらせてはいけないと思って言った。だが、白羽さんは今日はもう帰って頭の中を整理するといいと言ったので、俺はそれに甘えて今日は帰ることにした。
「お疲れ様でした」
俺は部室のドアの前で白羽さんに向かって軽く礼をした。そうしたら白羽さんは軽く笑って言った。
「お疲れ、明日は授業が終わったらここにくればいいから」
明日のことも教えてくれた。
「わかりました。お先に失礼します」
俺は部室を出た。何か今日はとても頭を使った。やっぱり物理は俺に向いてないと思って家まで歩いていった。




