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反転世界  作者:
4/66

天才メガネ少女現る⁉

「さあ、着きましたよ。ここが図書館です」

「相変わらず馬鹿でかいわねぇ」

「で、でけぇ…」

学校自体もとても大きいのだが、この図書館もとても大きかった。ただただ、大きかった。

「さ、早く行きましょう」

「あ、ああ」

俺は少し呆気に取られていて、反応が遅れてしまった。

「どうやってこんなでかい図書館から、目的の本を見つけるんだ?」

「そういう機械があるんですよ。キーワードとなる言葉を入力して…」

後ろからクスクスと笑い声が聞こえた。

「あんた、そんなんもわからないの?ぷっ」

笑うのを堪えているらしい。俺としては、いっそ大声で笑ってくれた方が良いのだが…。

「悪いかよ。図書館なんて行かねぇからな。全くわかんねぇよ」

「あたしでも図書館くらい行くわよ?」

「あの、お姉ちゃん?お姉ちゃんもそんなに変わらないと思うよ。私について来た、一、二回しか来たことないんだから…」

俺は思わず笑ってしまった。上から目線だった奴が自分とほとんど変わらないなんて…。ぷっ、笑わずにはいられない。

「もー、伶華。そういういらないこと言わないでよ!あたしが馬鹿みたいじゃない。こんなのと一緒にされるなんて侵害だわ」

顔を赤らめて言った。

「俺も一緒にされたくない。こんな馬鹿とは…」

図書館でもやっぱり喧嘩になってしまった…。喧嘩してる時間はないのだが…。

「あの、少し静かにしてもらえないですかね?」

うるさ過ぎたため、誰かに注意されてしまった。

「ここは図書館です。他に人もいるので、配慮して下さい」

「あ、ごめん」

メガネをかけて、手には本を持っていた。以下にも文学少女ですという感じが伝わってきた。

倉田(くらた)さん。もういたんだね」

「伶華さん、集合時間より少し遅れてますよ」

「ごめんなさい…」

集合時間?用事というのはこのことだったのか。っと、俺も本来の目的に戻らなければ…。

「ねぇ、妹ちゃん。さっき言っていた機械はどこにあるの?」

「それなら、あそこにあります」

通路の向こう側を指差していた。指で指している先を見ると、ヘンテコな機械がちょこんとあった。

「あ、あれか。ありがと」

「いえいえ」

「ねえ、この人誰?」

不思議そうな顔をしていた。当然だろう。なんせ、こっちの世界には数時間前いなかった人間なのだから…。

「この人は表の世界の人ですよ」

「そうそう。このヘッポコは表の人間なのよ」

妹ちゃんのあとに続いて姉が言った。『ヘッポコ』はいらないと思うのだが…。

「ヘッポコ?」

あー、そっちに反応しちゃったか〜。なんて奴だ…。俺はがっくりと肩を落とした。

「いや、ここはやっぱり表の人間に反応しましょう」

くそっ、こっちの気持ちがもて遊ばれてるみたいだ。実際そうなんだが…。

「で、この人が表の人間と…。なるほど、そういうことね」

たった数秒考えただけだった。

「何がわかったんだ?」

「何であなたがいるか」

「嘘つけぇい」

「わかるんです。倉田さんはわかってしまうんですよ。私たちとは思考回路が違うっていうか、何と言うか…」

妹ちゃんが言うのなら本当だろう。全くもってこの世界には、とんでもない奴がいたもんだ。いや、裏の世界に来てからまともな奴に会ってない気がする…。口に出そうだったが、それは心に留めといた。俺は目的の本探しを始めた。


「お、あったあった。これか。『

表の世界の書』なんか怖い感じだな。いかにもって感じだし」

俺はやっとのことで、帰れる方法が記されている本を見つけることができた。とても分厚く、古ぼけた本だった。とても読む気にはならなかった。

「見つけたの?探してた本とやらを」

「何か用か?」

話しかけて来たのは、双子の姉の方だった。

「監視するって言ったけど、何もしないし、つまんなくなってきちゃった」

確かに、こいつは僕が本を探しているとき、一人でボーとしていた。流石、図書館に全然来ない人だ。自分もそのうちの一人なんだが…。

「あ、そろそろ時間ですね」

「そうね。今日はもう終わりにしましょう」

奥で勉強していた、双子の妹ちゃんとメガネの少女が話しているのが聞こえた。妹ちゃんはこっちに歩いて来た。

「あの、本見つかりましたか?」

「ああ、おかげさまでな」

「良かったです」

「この本をまだ全然読んでないんだが…」

見つけて終わりなんて悲し過ぎる。何としても、中を読まなければならない。

「借りればいいじゃないですか」

「借りる…?」

頭の上にはハテナマークが出ているだろう。図書館初心者なんてそんなものだ。

「どうやって?」

「私の名前でその本を借りましょう」

「そうね。それが良い考えだわ」

メガネの少女が便乗して言った。


まー、俺がわからないことが行われた。内容はさっぱりわからない。俺はもう、頭がパンクしそうだった。

「はい、どうぞ。一日だけ借りることにしました」

「お、おう。ありがとう」

「いえいえ、頑張って下さいね」

「もちろん!できることは何でもやってやるぜ」

そのくらいの勢いがないともう戻れない気がしていた。時間ももうない。寝る時間を惜しんでやるしかないみたいだな…。


学校から出てくると、双子の姉がもう真っ暗だと言っていた。もちろん、俺には真っ黒にしか見えないので、朝か夜かなんてさっぱりだった。

「最後に良いこと教えてあげる」

こう言ったのはメガネの少女だった。

「この子達の髪の色は金色よ」

何を言っているのだろう…。メガネの少女はクスッと笑ってどっかに行ってしまった…。たぶん、家に帰ったのだろう。

「私も教えてあげましょう。私の目は青色です」

「あたしは赤よ」

彼女たちは何を言っているのだろう。ふと今見たら、髪が金髪だった。さっきまでは黒だったのに…。と言うか、そう思い込んでいた。

「じゃあ、またいつか」

「もうあんたとは会いたくないわ」

双子がそれぞれに言った。そして二人は走っていった。少し離れた場所でもう一度振り返って、妹ちゃんは手を振ってくれた。姉はべーっと舌を出していた。そのときに少し、ほんの少し見えた。目の色が…。姉は赤、妹は青だった…。もしかしたら気のせいだったかもしれない…。

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