残金…
こうして俺は今日、財布の中身がからになるくらい金を使った。いや、正確には使わされた。主に愛姫に…。あれも欲しい、これも欲しいでどんどん俺の金がなくなっていった。三千円くらいは入っていたんだが…。俺は少し落ち込んだ。こんなに使う予定ではなかったのにと…。
「そーくん、大丈夫〜?」
「ああ、大丈夫だ…」
はっきり言って全然大丈夫ではない。たった一日でこんなに金を使うことは滅多にない。例えあるとすれば、それはだいたい高価なものを買うときだけだ。だが、今日は自分が使いたいわけでもないのにどんどん減っていったのだがら…。そもそも、お前が変なことを言ったから、俺は何故かこんな気持ちになってるんだよと心の中で思った。
「じゃあ、僕はここで」
「うん、また明日ね」
「じゃあな」
交差点で俺と愛姫は鶫ちゃんと別れた。家の方向が違うんだろうと思った。そしてそれぞれの家の方向へ歩き出した。
「そう言えばなんで鶫ちゃんは自分のこと僕って言うんだ?」
俺は少し疑問に思ったので聞いて見た。
「ん〜、わかんない」
俺が悪かったよ…。なんでお前に聞いてしまったんだ…。
「そうか…」
気になったが、別に女の子が僕って言ってもおかしくはないので、俺はそこまで気にしなかった。
俺は自分の部屋で今日どのくらい金を使ったか計算していた。計算して、ノートに書くのだ。でないと俺は金を使い過ぎてしまうのだ。簡単に言えば、金遣いが荒い。やっと計算結果が出た。今日だけで、3450円使った。これはなかなか辛い出費だった。まあ、そんな日があってもいいかと俺は今日のことを軽く流そうとしていた。
「そーくん」
愛姫が呼んでいる。昨日のことを考えると、流石に無視はできない。それに愛姫は覚えてないらしいが、いろいろと面倒になってくる。だから今日は返事をしてやった。
「何だ、用事か?」
俺はドアを開けて返事をした。今回はドアに頭をぶつけないように少し下がったところで立っていた。
「あのね、今日おごってもらった分なんだけど…」
「あ〜、それね。それがどうした?」
愛姫がいきなり金の話をしたので、俺は少し意外に思った。
「うち、どのくらいおごってもらった?」
「え?どうして?」
「いや、今日はだいぶおごらせちゃったから返そうと思って…」
意外だ、とても意外だ。ゲームセンターではバンバン金を使っていそうな愛姫が、おごってもらったのを返そうとするなんて…。
「どうしたの?」
「ああいや、金なら返さなくていいよ。今日は俺のおごりでいい」
「ホントに?」
愛姫は聞き返してきた。
「ああ、本当だ」
「ホントのホント?」
なかなかしつこい。
「本当に本当だ」
「そう…、わかった。今日はありがとね」
やっとわかってくれたらしい。思ったよりしつこかった。愛姫にこんな一面があるなんて考えもしなかった。
「ああ、今度またみんなで行こうな」
「うん!」
愛姫は返事をしたあとすぐに部屋に戻っていった。俺も少しゆっくりするか。俺はベットで横になってテレビを見ようとした。だが、その時にドアをコンコン叩く音が聞こえた。そのあとには
「そーくん、今思い出したんだけどさ〜………」
と聞こえた。ついさっきまで話していたのにまだ何か用があると言うのか…。俺は仕方なくドアを開けた。
「どうした、まだ何かあるのか?」
「昨日の夜のこと何だけど…」
あー、覚えていたか…。別に俺は悪いことをしたわけではない。むしろ、愛姫を気遣ってやったことだ。
「俺がお前の部屋にいたことか…」
「そ、そう。それ!」
「昨日の夜はお前、俺に宿題を教えてもらおうとしていたよな?」
俺は昨日あったことを説明するために順を追って説明しようと思ってた。
「そうだよ、わからないとこがあったんだよ。けど、それがどうしたの?」
「今から説明してやるから落ち着け」
俺は早く真実を知りたい愛姫を一回落ち着かせた。愛姫は深呼吸をして、落ち着いたようだ。
「でな、俺はお前を無視していたんだ」
「何それ!起きてたんだったら返事くらいしてくれても良かったじゃないか!」
「ごめんごめん。昨日は寝たかったんだよ」
こればっかりは俺が悪いだろう。愛姫を部屋に入れると面倒くさいことになると思ったからいれなかったのだから…。
「う〜、まあ終わっちゃったことだからもういいや。それより何でうちの部屋に居たの?」
「順を追って説明するとだな…」
それから愛姫は黙って俺の話を聞いた。
「まず、お前が俺の部屋に尋ねて来る。だが、俺は寝たかったために無視した。そしてお前は眠くなって俺の部屋の前で寝てしまった。そして俺はお前が風邪を引くといけないと思ってお前を部屋に運んだ。そうしたらお前が起きてしまったというわけだ。わかったか?」
「うーん、うちがそーくんの部屋の前で眠くなったまでは覚えているんだけど…」
むしろその後を覚えていたら、お前は寝ていなかったことになるが…。それか寝ていても起きている時みたいに頭が働いているとか、いろいろと凄いことになるぞ…。
「当たり前だろ。覚えていたら寝てないことになるぞ」
「あっ、そっか」
こいつは本当にバカだと俺は思った。
「それ以外は理解できなかったのか?」
できていなかったら、俺が長々と話した意味がなくなる。
「ん〜、そーくんはわざとうちの部屋に入ったわけではないってことくらいかな〜」
よろしい。俺が言いたかったのはそこだからな。他がわかっていても、そこがわかってなければ意味がない。だが、逆にそこさえわかってくれれば後はわからなくてもいい。
「良かった、何とかわかってくれたんだな」
「うん、ごめんね」
「別にいいよ。あれはただの事故だったんだし。それに俺が悪いのが大半だからな」
一応俺が悪いということにしておいた。真実だから別に隠すつもりはない。
「いや、うちも悪かったよ。そーくんが出て来るまで待ってようとしたんだもん」
おい、スゲぇな。だから、あそこで寝ていたのか。俺はやっと愛姫があそこで寝ていた理由がわかった。
「じゃあ、今回はお互い様ってことにしよう」
「そうだね」
やっと俺はわかってもらえてホッとした。あのまま忘れていてくれても良かったが、俺の気持ち的に嫌だった。だがら、愛姫と和解ができてよかった。




