表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
反転世界  作者:
35/66

ノルマを終えて帰り道

俺は今日も授業後に生徒会室で総務である愛姫の手伝いをする事になっていた。正直言って、面倒くさい。愛姫はそこまで頭も良くないし、作業もとても遅い。俺が一人でやった方が良いのではないかと思ってしまうくらいだ。本人が遅くしようとしているわけではなく、頑張ってもこれ以上ペースが上がらないようだ。

「そーくん、ごめんね〜。うちの仕事にいつも付き合わさせて」

「いや、気にすんなよ」

内心、とても気にして欲しい。この時間のせいで、俺が休める時間が大幅に減ってしまうのである。

「愛姫さん、僕も手伝いましょうか?」

こう言ったのは、会計の鶫ちゃんだった。この子はもう自分の仕事を終えたらしい。

「手伝ってくれるの?ありがとうね、みっちゃん」

また変なニックネームを…。この子の名前はつぐみだぞ?何故名前の最後の文字を取るのだろう。俺にはこいつのセンスがわからなかった。

「このくらいは平気ですよ。僕も愛姫さんに早く仕事が終わって欲しいですしね」

なんて偉い子なんだ。自分の事より、相手のことを考えれるなんて…。人間としてとてもできていると俺は思った。

「鶫ちゃんは偉いな。人のことまで考えれるなんて」

「いえ、そんなことないですよ。ただ、僕がやりたいだけですから」

俺はもしかしたら、この子はメイド希望の子かもしれないと思った。というより、メイドに向いてると思った。どんな事でもしっかりとこなして、主人に好かれるタイプだと思った。こうして、今日は愛姫の手伝いを俺と鶫ちゃんでやる事になった。

「愛姫、それ終わったか?」

「まだ〜」

愛姫はさっきからずっと一枚目で手こずっているようだ。だが、隣に座っている鶫ちゃんはだいぶ進んでいて、任原さんと同じくらいのペースで終わらせていた。

「愛姫さん、そのペースだとあと一時間はかかりますよ」

いやぁ、凄い。今の計算は単純だが、本当に単純計算すると三十分くらいで終わる。だが、鶫ちゃんは愛姫が手こずる時間ややってない時間なども含めて、一時間と言ったのだろう。

「う〜、終わらないよ〜」

「とにかくやるんだ。そうすれば、いずれかは終わる」

そう、やらなければ終わらないが、少しでもやって行けば、必ず終わるのだ。宿題だってそうだ。量が多すぎて、終わりそうにないと思っても、やって行けば必ず終わる。だから、とにかくやるしかないのだ。

「わかったよ〜」

そう言って愛姫は作業を再開した。こうして話している間にも鶫ちゃんは一枚の書類をやり終えていた。


一時間後

「終わった〜」

愛姫が伸びながら言った。

「やっと終わったな」

「お疲れ様でした」

鶫ちゃんは頭をペコっと下げた。今考えると、本当に一時間かかった。ペースが上がったり、下がったりしていたが、時間はあの時から一時間だった。

「本当に一時間で終わっちゃうとは、鶫ちゃんの言った事は本当に正しいよ」

俺は褒めるように言った。

「恐縮です」

俺たちが年上だからかもしれないが、敬語は絶対に忘れない。俺としては、敬語であろうがなかろうが、あまり気にしないのだが。

「みっちゃん、ありがとう手伝ってくれて」

愛姫がお礼を言った。

「いえ、自分がやりたいと思っただけですので」

この子はこんな面倒くさそうな仕事をやりたいと思ったわけか。愛姫が面白いにしか興味がないのと原理は同じなのかなと俺は思った。だが、愛姫は人に迷惑をかけるが、鶫ちゃんは逆に人を助ける。どっちが良いなんてすぐにわかる。

「おし、今日はもう帰ろうぜ」

「そうだね、今日はみっちゃんが手伝ってくれたおかけで、だいぶ早く終わったしね」

さりげなく、俺が手伝うのがあまり前になっていると俺は思った。俺はただ、瑛子と約束をして、それを守っているだけなのだが…。

「そうだ、寄り道して行こうよ」

「そうだな、鶫ちゃんもどう?」

俺は一人で帰ろうとしていた鶫ちゃんに声をかけてみた。

「良いんですか?僕なんかがついて行って」

「もちろん良いよ」

「そうそう、そーくんがおごってくれるって言ってるし」

愛姫は俺の肩を叩きながら言った。もちろん俺は一言もおごるとは言っていない。だが、後輩相手だ。多少おごるくらいなら、別に問題はない。

「少しくらいならおごってやるよ」

鶫ちゃんはとても嬉しそうな顔をしていた。

「ありがとうございます。僕、友達と寄り道とかした事ないから、嬉しくて」

そう言うと、一滴の雫が頬を流れていった。そこまで嬉しい事なのだろうか?俺は少し不思議に思ったが、あえて口に出すのをやめておいた。

「早く帰る支度しよっ」

愛姫が言った。少しテンションが高くなっているらしい。愛姫はこのテンションが通常モードなので、これより低いと俺が心配してしまう。こうして俺たちは今日、家に帰る途中に寄り道をする事となった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ