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反転世界  作者:
33/66

事故

「そーく…痛っ」

俺は珍しく早起きだった。そして俺がちょうどドアを開けたときに、愛姫が俺を呼ぼうとしていたらしい。おかげで愛姫にドアが勢い良くぶつかった。そして愛姫はデコを押さえてしゃがんでいた。

「ごめん、わざとじゃないんだ…」

「う〜、痛いよ〜」

「だからごめんって」

半泣きの状態で顔を上げていた。いつもは見れない顔だった。この愛姫が泣いている顔なんて全く想像できない。だが、それがとても可愛いかった。

「うわっ、可愛いっ」

やばっ、つい口がスベった。俺は慌てて言い直した。

「お、おお、おし、朝食でも食べに行くか」

まだ瑛子が呼びに来ていないが、毎日呼びに来させるわけにはいかない。

「そーくん、今うちのこと…」

「早く行こうぜ」

愛姫が言いかけたときに俺はそれをかき消すように言った。

「どうした?」

「うちのこと…、いや、何でもないよ。早く食べ行こ」

俺の気持ちを悟ってくれたらしい。愛姫がしっかりとわかっているかはわからないが…。とはいえ、何でスベったんだ思った。可愛いと思ったのは本当だが、言おうと思ってないのに、口に出てしまうのは良くないと思う。今更だが、俺は心の中で自分の口を叱った。

「あら、今日は早いじゃない」

瑛子は朝食を食べ終わり、コーヒーを飲んでいた。

「まぁな、たまには早起きもするさ」

俺は基本的に寝坊はしないタイプなのだが、こっちの世界に来てからは一日一日にいろいろな事があり過ぎて、本当に疲れが溜まって朝起きれないのだ。

「瑛子、おはよ〜」

愛姫がデコを押さえながら歩いてきた。

「どうしたの?おデコを押さえて」

瑛子はとても気になったようだ。とても赤くなっているし…。

「そーくんがドアを開けたときにうちがドアの前に立ってたんだよ…」

どっちにも悪気はなかった。ただ、俺が今日たまたま早く起きたがための事故だ。

「そう、それはどっちが悪いなんて言えないわね」

「うん…」

愛姫は軽く頷いた。何回も言っているが、俺はわざとやったわけではない。たまたまだ。

「早く食べて学校に行こうぜ」

自分でもわからないが、いつになくテンションが朝から高かった。

「そうだね」

愛姫は席に着いて、朝食を食べ始めた。それに続いて、俺も朝食を食べた。


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