表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
反転世界  作者:
30/66

ノルマ

「鶫さんは私たちの一つ下の学年ですが、勉強はとても良くできる子なんですよ」

「伶華さん、褒めすぎですよ」

少し顔が赤くなっていた。

「じゃあ、私はこれで失礼します。伊調さん、ありがとうございました」

「いえ、頑張ってね」

「はい」

伶華ちゃんはお礼を言ったら、生徒会室を出て行った。まさか本当に言い当てるとは…。これはなかなか凄い人と出会ってしまったらしい。

「会長、言われていたもの全部終わりました」

「そう、ありがとう」

本当に凄いな…。俺より年下なのに俺より全然できるなんて…。自分が少し情けなく思えなてくる。可愛い上に仕事もしっかりできる子か。俺の中ではとても好印象だった。

「今日はもう、鶫がやることはないわ。お疲れ様」

「はい、お疲れ様です」

隣では死にそうになりながら、書類を片付けている愛姫がいるのだが、それは手伝わなくて良いのだろうか?まあ、俺が手伝っているし、下級生にそこまでやらせるのはダメか。しかし、愛姫はほとんど進んでいない。さっきからずっと同じ書類を見ているだけだ。何でこいつが生徒会に選ばれてしまったのか…。

「では、お先に失礼します」

鶫ちゃんはドアの前でペコっと礼をして出て行った。何とも礼儀正しいんだ。愛姫にも見習って欲しいものだ。

「そーくん〜、手伝ってよ〜」

もう既に手伝っているのだが、俺にこれ以上何を手伝わせる気なんだ…。生徒会なんてやったことすらないのに。

「どうした?」

「漢字が読めないよ〜」

はぁ、そんなところでつまずいていたのか…。辞書で検索でもしたらすぐに出るだろうに。

「辞書でも持ってこいよ」

「え〜」

嫌なのかよ。全く、こいつは面白いと思わない限りやろうともしないな…。

「愛姫、早くしなさい。あなただけ今日のノルマが終わってないのよ。そんなんだと、どんどん溜まってくだけよ」

「ノルマなんてあるのか…」

「そうよ」

他の奴は終わったて言っていたが、それは簡単だから早く終わったのではないか?俺は確認するために瑛子がやった書類を見た。

「何だこれ?」

何て書いてあるかすらわからない。漢字が読めないどころの騒ぎではない。文字が一つも読めない…。

「どう?これが私がやった書類よ。愛姫のとは比べものにならないくらい難しいでしょ?」

「ああ、全然読めない…」

「愛姫のは一番簡単だもの。他の会計や、書記も相当難しいわよ」

頑張れ愛姫。お前ができないって言っているのはこの生徒会の中では一番簡単な仕事だぞ。他のを回されたらひとたまりもないぞ。

「私も今日は帰ろうかしら」

瑛子が言った。時間は昨日よりだいぶ早い。下校時間まではまだあったが、仕事が終わったので帰ろうというのか。俺と愛姫を残して…。

「私はお屋敷での仕事も残っているので、早く帰ることに意義はなしです」

任原さんが言った。そうだよな、お前はメイドもやってるからしょうがないよな…。でも、いなくなるとますます終わる気がしなくなるのだが…。任原さんは愛姫の仕事をちょくちょく手伝っていた。俺と愛姫があまりにもできないので、やったの量は任原さんが一番多い。俺たちは何て使えないんだ…。

「じゃあ、ノルマ頑張って終わらせなさいよ」

「失礼します」

瑛子と任谷さんが生徒会室から出て行ってしまった。ああ、ノルマとか聞いてないぜ…。

「愛姫、ノルマのどのくらい終わってるんだ?」

「半分くらいかな」

半分かよ!今までの時間で半分って…。単純計算してもあと一時間はやることになるのかよ…。

「も〜できないよ〜」

そう言いながら愛姫は、机に顔を伏せた。まあ、気持ちはわかる。俺もできないことをやれなんて言われたら、やる気すらなくなってしまう。だが、自分に与えられた仕事はしっかりとこなさなければ。

「おし、やるぞ」

「そーくんがあとはやっといて〜」

顔を上げずに愛姫は白旗を振っている。完全にやる気がない。仕方ない、これでやる気が出るかわからないがやってみよう。

「終わったら、表の世界の話をしよう」

どうだ…………。

「……………、わかった。面白い話を聞かせてくれるんだもんね。頑張るよ」

ふぅ、何とか頑張ってくれるようだ…。あのままだったら、一生生徒会室から出れなくなるところだった。

「やるか」

「うん」

俺たちはやっと作業に取り掛かった。ペース的にはそこまで変わらなかったが、愛姫のモチベーションが違った。

「おし、やっと四分の一になったよ。あと少しだね!」

「そうだな。もう少しだ、頑張ろう」

愛姫はどんどんペースを上げていった。それは終盤になるにつれて早くなっていった。

「おし、これでラスト一枚!」

やっとここまで来れた。瑛子たちが帰ってから五十分は経っていた。だが、瑛子たちがいた時よりはだいぶペースが早かった。

「終わった〜!」

愛姫が両手をぐんっと上げ、喜びを体全体を使って表していた。

「お疲れさん」

「うん、久しぶりに生徒会の仕事をやった感じがあるよ〜」

前、学校に行っていたときはこいつは仕事をしていなかったのか?まあ、今日は頑張ったし褒めておいてやるか。

「よく頑張ったよ、愛姫」

「うん!面白い話のためだからね!」

あ〜、そうだった…。俺は愛姫に仕事をやらせるためにそんなことも言ってしまったような…。やってしまった…。

「ねえ、早く話してよ」

「帰りながらでいいんじゃないか?」

俺は少しでも話す時間を短くしたい。

「そうだね。帰りながらでいいっか」

よしっ!これで適当に話を伸ばせば何とかなるか…。良かった…。俺たちは帰る支度をして、生徒会室をあとにした…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ