任原恵の夢
「まだ終わらないのか」
「ん〜、まだ終わらないな〜」
かれこれ手伝い始めて二時間は経つ。俺にはさっぱりわからないが、変な書類に目を通しているらしい。
「少しは片付いた?」
瑛子に言われた。俺は慣れていなくて、ほとんどやれていなかった。
「片付いたって言えるレベルかどうか…」
机の上にはまだ山積みになった書類がどっさりと乗っている。俺はそれを見て言った。これはいつになったら終わるのだろうか…。
「多過ぎて終わんな〜い」
愛姫は仕事を投げ出しそうになっていた。無理もない。二時間で終わったのは五分の一程度しか終わってないのだから…。
「愛姫、まだこっちもあるから」
そう言って瑛子はこれまた山積みになっていた書類を指差した。
「え〜、これも〜」
愛姫は魂が抜けそうになっていた。瑛子も鬼だ。復帰早々にこの量をやれとは…。
「瑛子も手伝ってよ〜」
「私は自分の仕事がありますので」
彼女は会長と書かれた机に座って、自分の作業を再会した。こいつもいろいろと大変らしい。
「お茶です」
「あっ、ありがとう」
任原さんがお茶をいれてくれた。そういえば、生徒会での役職を聞いてなかった。
「任原さんは役職は何をやってるの?」
「私は書記をやっています。主に雑用ですけど」
そうか…、ここでも雑用をやらされているのか…。この子は偉いな。家でもメイドで雑用をやり、学校でも、雑用をしているなんて…。
「苦にはならないのか?」
俺だったら絶対にとっくにもう辞めている。
「いえ、全然苦にはなりません。真のメイドとなるためならどうなこともできないといけませんので」
なるほど、将来はメイドになるのか。今でも十分頑張ってメイドをやっているが、これからも頑張ってくれと人ごとのように思った。
「恵は稔美さんに憧れてるのよ」
瑛子が仕事をしながら言った。斬谷さんに憧れてか、確かにわかる気はする。何でも一人でこなせるし、メイドとしても素晴らしいと思う。言ってみればメイドの鏡と言えるかもしれない。
「斬谷さんは凄いからな」
「なるみんはホント凄いよ。そーくんの部屋の鍵持ってるし」
なぜいろいろと凄いことがあるのにそれが出てくるんだ…。ある意味俺とは違う思考回路をしている。倉田さんは天才って言える回路だが、愛姫はバカって言える回路だ。
「私も早く稔美さんみたいになれるように努力します」
「頑張ってな、応援してるよ」
「はい、ありがとうございます」
任原さん軽く頭を下げた。




