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反転世界  作者:
21/66

転入

「やっと着いたか…」

そこまで長くなかったが、ついついやっとという単語が出てしまった。

「早く行きましょう」

「ああ、わかった」

わかったが、周りの視線が気になる。車が学校に着くと、一斉にこっちを向いた。そして車から降りるとものすごい視線を感じるのだ。

「あの、視線が凄いのですが…」

俺は小声でメイドの少女に言った。

「そうですか?瑛子様と一緒に登校する時はいつもこんな感じですよ。でも、いつもより若干見られてるかもしれませんね」

それは俺を見たことないからだろうか?まあ、表の世界に住んでいた奴だから、見たことないのが当然なのだが…。こうして俺は、表の世界から裏の世界へ転入してしまうことになった。ただ、転入と言う言葉であってるかどうかはわからないが…。

「ところで俺は今からどこに行けば良いんだ?」

「職員室です」

そうか、俺は転入生になっているわけだ。全く違う世界の人間なんだがな…。そのあと俺は、彼女が職員室に案内してくれると言ったので、着いて行った。

「ここが職員室です」

職員室という表札がかかっていた。もしかりに、ここが職員室でなかったのなら、何なんだって話になるが、言わないでおいた。

「俺は今から何をすれば良いんだ?」

さっきから同じような質問してばっかりだな。何か申し訳ない…。

「まずは担任との挨拶でしょう。そのあとに、担任と一緒に教室に来ることになるでしょう」

さすがメイドをやっていることだけあって、説明がとてもわかりやすい。

「そう言えば、君の名前聞いてなかったね」

「そうでした、すみません。申し上げるのが遅くなりました。私は仕原恵(まきはらめぐみ)といいます」

「仕原さんか、これからよろしくな」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

彼女は話し終えると、自分の教室がある方へ歩いて行った。俺はこの世界に来てから、初めてまともな人に会った気がした。斬谷さんもまともなんだが、なぜか話しかけづらい。でも、あっちは仕事でやっているのだから、邪魔をしてはいけないなとも思う。その点仕原さんは同い年くらいだし、礼儀はしっかりとしているが、きちきちという感じではないので、とても話しやすかった。やっぱ俺、あいつらだけだと精神的にもたなんだなと思ってしまった。


彼女と別れた数分後に担任と挨拶をした。そして俺は、なぜか通うことになった学校のクラスに向かった。別にクラスに入る前に緊張などはしなかったが、何で俺がこんな目に…と思っていた。そしてクラスに入って自己紹介をしていた。

「磯貝奏太です。これからよろしく…」

俺が顔を上げた瞬間に飛び込んできたものは、瑛子、愛姫、双子、メガネの少女、仕原さんだった。

「マジか⁉お前ら同じクラスだったのかよ…」

俺は瑛子と愛姫が同じクラスとは聞いていたが、まさか全員同じクラスとは…。

「あら、私が頼んでこのクラスにあなたをおいてもらったのよ」

瑛子は当然のように言った。だから、お前はどんな権力してるだよ、瑛子よ…。

「それはお気づかいどうも…」

これでは学校でも家でも全く変わらないではないか!いや、むしろ学校の方が疲れる。なんたって…

「お、転入生っヘッポコじゃないか!」

こいつがいるからだ…。俺の天敵め。

「だから、俺は磯貝奏太で、ヘッポコではない!」

ここで言っておかないと、大変なことになる気がした。クラスのみんなにヘッポコ扱いされる…。

「っていうか、お前ら双子は下級生じゃないのか?」

「磯貝くん、それはこの子たちに失礼よ」

俺を注意したのはメガネの少女だった。だか、見た目はどう見ても年下だぞ?身長も低いし…、何というか、ロリって感じだ。

「さらに失礼なこと考えてるのかしら?」

ダメだ。こいつには何もかも見透かされてるようだ。

「私たちは年下に見られることが多いんですよ」

こう言ったのは、双子の妹ちゃんだった。

「見るからにちっちゃくて可愛いもんね〜。ヒナとレイは」

愛姫も、参加してきた。

「身長だけで年下と判断するのは良くないですよ」

と仕原さんが言った。確かに俺は見た目だけで双子が年下と判断した。それはやってはいけないことだったのかもしれないと俺は思った…。そのあと俺は空いていた席に座った。もちろん周りは騒がしい。考えてみれば、この世界には学校が一つしかないのに転校はおかしいな。それでざわめいてるのか、それかただ俺の知ってる奴らがうるさいだけなのか…。

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