脱出方法は⁈
俺は彼女にお礼を言ったらすぐに脱出方法を探し始めた。脱出と言ってもどうやってここに来たかがよくわからない。あの子の後を追っかけたら、穴に落ちたって感じだった…。ってことは、上に出口はあるのか?だが、上を見ても真っ黒で全くわからない。そこでふと思ったが、白と黒以外に緑が見えるようになっていた。ここは地球の裏側と言っていたが、単に色がない世界ではないのか?俺にはそう見えた。いやいや、今はここから出ることが大切だろう。なんたって明日までに出れなかったら殺されるのだから…。
「くっそ〜、全くわからん!どうすればいいんだ!」
ついに俺はキレて大声で叫んでしまった。
「あの〜、どうかしたんですか?」
弱々しい声が聞こえた。僕はイラついていたので、空耳だろうと思っていた。だが、一応答えておいた。
「表の世界に戻りたいんだよ!その方法を探してるんだ!」
「私知ってますよ、戻り方」
声が小さくて聞こえなかった。だからもう一回言ってみた。
「表の世界に戻りたいんだよ!その方法を探してるんだ!」
「だから、私知ってます!」
今度ははっきり聞こえた。声のする方を恐る恐る見てみた。そこにはツインテールにしている少女が立っていた。身長は僕よりも低くかった。
「あの…。戻り方を知ってるって言った…?」
「はい、言いました。正確には戻る方法が書いてあるかもしれない本がある場所を知ってます」
「ほ、本?」
俺は不思議に思ってつい尋ねてしまった。
「そう、本です。表の世界から来た人ですよね?」
「ああ、そうだけど。何で方法が記された本があるんだ?」
「こっちの世界から表に行くために必要だったからですよ。こっちの人間は自由に行き来できるんですから」
「ほ、ほう。で、その本はどこにあるんだ?」
とにかく早く方法を知りたかったので、ある場所をすぐに聞いた。
「私もその場所に用事があるので、ついて来たらその本を見つけれると思いますよ」
「おう、わかった」
少女はそう言うと歩き始めた。
どんどん街に近づいていった。まあ、俺には白黒にしか見えないので、街かもわからないのだが…。
所々に緑が見えたのが来てしまったときよりの唯一の成長だった。
「ねぇ、君は街の色とかわかるの?」
「はい、もちろんです。表の世界にいた人は慣れてないから、初めは白と黒の世界に見えるそうですよ」
「へ〜、詳しいんだね」
「表の世界に出るためにいろいろと勉強してますから」
見た目も可愛く、勉強もできて、さらに笑った顔が可愛い。非の打ち所がないと言うのはこの子のことを言うのだろうと思った。一番初めに会った子には殺すと言われているから、なおさらそう思った。
「そういえば、何で俺が表の世界の人間ってわかったの?」
「それはですね…。あなたがとても怒っていたからですよ」
「あ、ああ。確かにあのときは怒ってたな。いきなりこの世界に来て、明日までに表の世界に出れなかったら、殺される契約されたからな」
「それは大変でしたね」
少女はお見通しという感じです言ってきた。
「君は全然そんなこと言わないんだね」
「はい。仲良くしたいですから」
これまたニコッと笑った顔が可愛かった。もうすぐ萌え死にしそうな勢いだった。