愛姫の本当の姿⁉
やっとのことで瑛子の家に辿り着いた。流石に学校からはキツかった。何より会話がないのが一番キツかった。俺はもう部屋に戻っていた。
「そーくん、いる?」
何だ、もう愛姫も帰っていたのか…。まあ、俺は部屋に入ってから、ただボーとテレビを見ていて、気づいたら一時間が過ぎていたから同然か…。
「ああ、いるぜ。双子の姉は見つかったか?」
「うん、見つかった。思ったより元気だったよ」
「それは良かった」
だいたい予想はついていた。あれくらいで、毎回心が折れていたら、もうとっくにこの世にはいないだろう。いや、ここは死んでいるだろうと言わないと、表の世界にでも行ったと俺が思ってしまう…。
「ゲームセンターでね、いろいろやって来たよ。メダルゲームとか、クレーンゲームとか」
お前はどっからそんなにお金が出てくるんだ…。
「お前、家出してるんだよな?どっからお金が出てくる」
率直な疑問だった。
「家出はしてるけど、カード持ってるから」
カードだと⁈それはもしかして…。
「マネーカードか?」
「そうだよ」
愛姫は普通の顔で言った。こいつ凄いな。いや、最近の子供は持っていてもおかしくはないか…。俺は持っていないが…。
「そのカードでいつでもお金出せるんだよ〜」
「どんくらいあるんだ?」
「ん〜、……わかんない」
わからないのかよ!こいつの親は大変だな。勝手にお金がなくなっていって…。
「ちょっと見せてみろ」
一応気になったので、金額を知っておきたかった。愛姫は俺に、はいっとカードを渡してくれた。
「おい…、これ…」
「どうしたの?もう全然入ってないの?」
いや、それの全く逆なんだが…。俺は今までに見たことのない数字にびっくりした。ゼロがたくさん…。とにかくそれ以上考えると頭がパンクしそうだった…。
「ご飯できたって」
そこに瑛子が来た。
「おい、愛姫の家ってもしかして…」
「どうしたの?」
「金持ちか?」
念のために聞いておいた。
「そうだけど、それが何?」
やはり…。何ということだ。これまで俺と対等だと思っていた子が、金持ちのお嬢様さんだったなんて…。俺は深く落ち込んだ。
「大丈夫〜?」
愛姫が尋ねて来たが、俺の中での関係が一気に崩れた。初対面にいかにもマズそうな店を紹介するくらいの女の子だぞ…。金持ち、金持ちのはずがない!もしそうだったら…。
「お前本当に金持ちの家に産まれたのか…?」
「ん〜、多分そうだと思うよ」
「じゃあ、あのマズそうな料理は何だったんだ?」
言葉を間違えたと思ったが、俺の心はそんなことどうでも良かった。
「マズそうってなんだよ!美味しかったじゃないか!」
うん、そうなるよね。そうなるよ。君の反応は正しいよ。
「いや、美味かったんだが、金持ちの家に産まれたんだったら、この家みたいに豪華な食事が毎回出るんじゃないか?」
「そんなことないよ。うちの家はこんなにおっきくないし、豪華な食事が出るわけでもないよ」
それぞれの家の事情があるんだなと俺は思った。
「私の家は特別なのよ」
瑛子が自慢げに言った。
「あのお店は隠れ名店なんだよ!」
「あ、ああ。そうか…」
瑛子の言葉は無視しておいた。あれに突っかかると、面倒くさい予感がしたからだ…。俺は夕食ができている事を思い出した。
「ご飯食いに行こうぜ」
「それもそうね…」
「ご飯だ、ご飯。豪華なご飯〜」
瑛子のテンションは無視したことによって、とても下がっていた。反対に、愛姫のテンションは最高潮に達していた。また、豪華な食事が食べれると思うと自然とテンションが上がってしまうのだろう。俺も少しどんな料理が出るのかが楽しみだ。




