過去を知り…
いきなり部屋の扉が開いた。
「稔美さん!」
「はい、何でございましょう?お嬢様」
とても慌てている様子だった。何をそんなに焦っているのだろうか。
「あの男はどこですか?」
「俺のことか?」
「な、何であなたがここにいるんですか⁈」
とても驚いていた。当たり前か、気絶していてなぜここにいるかすらわからないだろう。
「んー、何でって言われても…」
「わたくしが招待したのでございます」
「え?稔美さんが⁈何でよ?」
これたま驚いていた。この状況で驚くなという方が無理があるか…。
「お前の過去の話を聞いていたんだよ」
「もしかして、話したの⁈」
「すみません、お嬢様が罪もない人間を裁くのは、親代わりのわたくしとしてはとてもできなかったのです。そのお詫びとして、なぜこのようなことになってしまったかの原因を、話していたのでございます」
はぁ、とため息をついたのは伊調瑛子だった。
「全部聞いたのね」
「ああ、疑問が一つ残ってるがな」
「疑問?」
ここは本人に聞くのが一番早いだろう。
「何で契約なんて面倒くさいことしたんだ?」
「え⁈それは…」
「なんだよ。早く言えよ」
とても言いづらそうだった。
「あなたが、あの時の表の人間とは違う目をしていたから…」
は?何を言っているんだこいつは?
「それにどうするかを見て見たかったし…」
やばい、こいつはやばい。絶対に関わると面倒くさいパターンだ。答えを知っていてそれを教えてくれない奴だ…絶対。
「お前、面倒くさいな」
あ〜、言っちゃったよ。何でこういう時に口が滑っちゃうのかね…。
「な、何よ!一日生かしてあげたんだから感謝して欲しいわ!」
「はい、感謝します…」
この世界には本当に変わってる奴しかいない。何で俺はこの世界に来てしまったんだ…。って張本人目の前にいるじゃん!
「くそっ、お前のせいだからな。こんなに面倒くさいことになったのは。お前が表の世界に、俺の前に現れなかったら、俺はこんな思いをすることなかったのに!」
「追っかけて来たのはあなたでしょ?5秒もすれば、ゲートは閉じたんだから」
ゲート?おっと、そうだった。俺は元の世界に戻らなければ…。いや、その目的無くなってないか?
「俺って殺されないよな?」
「もちろんでございます。そのようなルールはございません」
「な、何で稔美さんはそいつの味方になってるのよ!表の人間なのよ?」
何とも面倒くさい奴だ。諦めてくれれば良いものの…。
「お嬢様。この方はとても良い人です。絶対にあのようなことは起きません」
「でも…」
言いかけたとき、
「ここはどこだ〜?」
やばい、さらにこの場がややこしくなっていく…。
「あなたは煌田愛姫⁈何であなたまでもここに?」
「その方も連れて来たのでございます」
「いや〜、面白いよこの家。迷子になっちゃうよ」
笑いながら言っていた。
「って、あれ?表の世界の人だ!」
「よっ、元気か?」
「うん、うちはバリバリ元気だよ!」
数時間前にボコボコになっていた奴のセリフとは思えない…。
「わたくしはそろそろ夕食の準備をしてまいります。どうぞごゆっくり」
「えっ、ちょっと」
彼女は伊調瑛子の言葉を無視するように出て行った。
はあ〜、なんてこった…。唯一まともに話せる人がいなくなった。
「ね〜、この家探検しない?」
「まあ、やることもないし探検するか」
一応俺は乗っておいた。面白そうなものにしか興味の持てないこいつに逆らうと、危なそうだったから…。特に殴られると…。
「ちょっ、待ってよ。何勝手にどっか行こうとしてんのよ⁉」
「いいじゃないか。暇なんだし」
「面白いよ、この家。伊調瑛子もついて来たら?」
こいつは馬鹿だ…。ここは伊調瑛子の家なのに…。
「ここは私の家よ!勝手にどっかに行くなんて私が許さない!」
「そうなんだ…」
赤髪の少女は、そう言うとどっかに向けて歩き出した。俺はそれについて行った。
「どこ行くのよ。ちょっと、話し聞きなさいよ!」
伊調瑛子も走ってついて来た。結局俺たち三人でこの家を探検することとなった…。一人はこの家の者なんだが…。




