Foreign
仕事に文句がないと言えば偽りの答えとなるが、俺、山中一輝は上司のラッセル イシカワに呼び出され、ラッセルの不敵な笑みの奥底で何を考えているかわからず、意図も読めずで、知りたくもないが知らなければならない現状が不服だった。
同じように呼ばれ、近くに座っていると言うか、厳密には部下だが夏川涼と牧野桔梗はと言えば、扱いなれていると言うか、順応した雰囲気で、年齢や経験不足も追従し俺は言葉が出ずため息だけが出た。
3人はと言えば全員俺よりも年上にもかかわらず最終的な判断は俺任せで、ラッセルはと言えばさあどうしてわたしがこんな不敵な笑みをしているのかと言う表情をしていた。
「アフリカの小国で日本大使館が襲撃される予定がある。CIAとNSAが裏でキャッチし、妨害に努めている。失敗した場合、間接的な日本人である俺たちは当日大使館に侵入しテロリストを排除する。第一段階はこれでいいな? ラッセル?」
「大使館には海外で働くPMCのPOへの任意の呼びかけをするよう圧力をかけ、日程を調節させている。君と言うか、君たちは表向きには一応招かれた客になるから侵入ではない。防止しても呼び出されていることは忘れるな?」
「第2段階は侵入したテロリストの確保または排除、そして脱出する。本社からの緊急呼び出しを受け、解雇が怖くて任意の呼びかけを途中で抜け出し全員急遽アメリカに帰った。これでいいか?」
話しを整理させてくれないかと言うように俺が聞くと、ラッセルはいいだろうと言うように返し、俺はそれならと言うように続けて聞くと、ラッセルはと言えばいいぞと言う表情をしていた。
「模範解答だ。日本で言うあれだな。HANAMARUだ。」
「それで? これほどめんどうな仕事なのにどうしてそんな笑顔を? 第2の故郷が傷つくのがそんなにうれしいとは思えんが真意は何だ?」
ラッセルは誉めてやろうと言うように返し、俺はと言えばその理由を教えてくれと言うように聞いた。
ラッセルに対し第2の故郷と言ったが、名前から聞いてわかるが、ラッセルは日系2世の男性で、俺たちがいるのは日本ではなくアメリカで、俺たちは英語で話している。
「サザンカ ペレス。」
「―――中東支社勤務の少尉、正確には元で、数か月前退職、退職後AGSの情報搾取、一部職員の引き抜き、そしてアフリカ系共産主義系過激派組織「レッドダガーズ」加入及び、資金援助。」
「そうだ。そして大使館を襲うのがレッドダガーズで彼女は襲撃隊長に就任しているそうだ。後はわかるな?」
理由をこたえなくてはいけないなと言うようにラッセルな言い、俺はそれはと言うように返す中で、ラッセルはこれを言えばわかるだろうと言うように返した。
「祖国を救え、会社にも恩を返せる。一石二鳥だろう? それに顔見知りがいるのが一番だ。キャプテン サムライ? オイラン? クノイチ?」
世に言う大義名分だが、自分にも他人にも利点は多くいやな仕事ではないと言えるが、ラッセルの不敵な笑みに言葉を返せず、俺は納得し軽くだが眼を閉じた。
内心激怒しているとは思っていたが、またとない好機が舞い込み、ラッセルはと言えば上機嫌だと言うことが理解でき、笑顔の理由も再認識できた。
仕事に文句がなく、きらいではなく、自分で選んでこの仕事を続けているが、いつの世でもと言うか、どんな仕事でも付きまとうのは対人関係で、これさえなければ完璧だが、完璧を望めないで、ここに努めて以来俺の悩みの種の1つだった。
夏川と牧野の2人はと言えば任せてくれと言う雰囲気で、俺はまたこの3人に振り回されるのかと思うと、嫌ではないが少し先が思いやられると思った。
PMC、PMASC、PMSCSとも言われ、Private Military Companyの略称で、傭兵派遣請け合い業者とも言われ、職員は傭兵に位置するが、プライベートオペレーター、POとも言われる。
主にアメリカなどに本社を置き、海外で軍事物資運搬こと兵站や、要人警護、施設警備を請け負う軍事などを代行する会社で、時には裏で法や業務内容、人道の範疇を超えた活動も行うことがある。
日本では民間軍事会社とも言われ、俺はその中でワシントンDCを本社に持つAGSに身を置き本社勤務のPOだ。
AGSはAdvanced Guard Securityの略称で、2000年創業、2010年には日本支社も経営方針が少し異なるが起業、資本や規模、社員数こそ中小規模だが、知名度は関係業者の大手にも知られる会社である。
「―――夏川少尉、牧野軍曹、状況が更新されました。」
「―――ぅ?」
「ぁ?」
ラッセルの呼び出しから数週間後、俺と言うか、厳密には夏川と牧野は言われたとおりにアフリカに来て、大使館襲撃妨害の成否を待っていが連絡が来て俺が2人を見に行くと、2人はだらしない格好をしていた。
部屋に突然入って来た俺も悪いと思うが、俺よりも年上の2人は女性として恥じらう精神が無いようで、蒸し暑い部屋の中で下着姿な上、俺が呼びかけてもだれか読んだと言うように中途半端な返事で扇風機にあたっていた。
2人して33の俺よりも年上だが、年齢不相応なのかわからないが外見も色も派手な下着姿をしていた。
「―――細かいことは無視して本題に入ります。」
赤道に近く、蒸し暑いと言うか、南半球で季節が逆転も原因だと思うが、俺はと言えば持ちこたえていると言うか、服装も普通で我慢できているで、言っても変わる物でもないし、俺は本題の説明に入ることにした。
エアコンもあまり効かず、食べ物も水もよくなく腹を壊さないことが幸いと言う領域で、安ホテル止まるべきではなかったと後悔もしたが、仕事の都合もあるで文句を言うのは極力やめることも考えていた。
「ハマーからの連絡によるとCIAとNSAの妨害工作は失敗に終わりました。明後日、我々はコード デジマでレッドダガーズを迎え撃ちます。時間は現地時刻10:30です。以上。失礼しました。」
聞くだけなら大丈夫だろうと言うように俺は報告した。
ハマーと言うのは夏川と牧野同様に俺の同僚と言うか、書類上の部下で、通信業務などを主にしている。
言い終えると俺は足早に彼女たちの部屋を出ていった。
仕事以外ではあまりよくは見えないが、部下と言えば俺より年上でその上優秀で、これまでの経験も踏まえ問題はないと思うが、あの姿を見ると当日本当に大丈夫か少し不安になった。
不安とは言え彼女たちに言っても聞かないだろうで、俺は自分ができる限りの準備をしようと心がけることにした。
あらためてと言うように次の日と言うか、作戦前日に午前中に会議を開くと連絡し、部屋に来たのだが、2人はと言えばあまり変わらない様子で、本番に強いことはわかっているので昨日同様に簡単に話して終わろうと努めた。
夏川はと言えば話を聞きながらあくびをして、牧野の方は半塲寝ている状態で、声をかければ反応し、2人して前日と服装もあまり変わりなく、一応聞いていると言う表情なので話を続けた。
話しを続けるとは言え、現地に来てからすでに段取りは決めていて、最終確認で、2人は何度も言って聞かせないでよと言う表情をしていた。
「山中君、細かいことは抜き、始まったらアカどもぶったたけばいいんでしょう?」
「そーそー、後は偉い人たちに任せましょう?」
夏川も牧野もこれ以上は止めてと言うように言い、俺はわかっていますがと言う表情で眼を閉じ、少し考えた。
夏川の言うアカと言うのは共産主義者をどちらかと言えば非難して言う隠語で、悪い部分ばかりではないとも思い、意見も返したいとも思ったが、めんどうになりそうなので黙ることにした。
「ここ最悪、ショッピングもできないしできてもいいもの売ってないし、蒸し暑いし日本人はあまりうろつくなって言われるし―――」
「山中君。ありがとねー。当日までゆっくり休みましょう?」
夏川の言い分はわかるが、さすがにないなと思い、微妙にだが殴ってやろうかとも思ったが、仮にも女性で、牧野の言葉を聞き、心の中で言い聞かせ、俺は下がることにした。
「わかりました。状況開始まで静養を願います。作戦内容の再確認を忘れずに。」
「―――――」
「―――――」
細かいことを気にしているとも言われ、細かいとも言えないが、2人がそう言うならばと言うように返し、俺は失礼しますと言うように続け、部屋を出ていくことにした。
2人はと言えば俺のこれさえなければと言う表情で、俺はと言えばお互い様ですよと言う表情をして、変な意味の意地の張り合いと言うか、悪い習慣が続いているが、解決は難しいと思いながら部屋を出た。
部屋を出ると室内以上に蒸し暑く、エアコンが故障しているとは言え、一応は稼働していることを再確認しながら自分の部屋に戻った。
地元の大学卒業後自衛隊に入隊し、性に合わないと思い任期満了後除隊し、続けたい一心でフランスに渡り外人部隊に入隊するが仏語が覚えられずに辞め、その後米軍にも入ったが、これもどこかあわず、俺はそして現状に落ち着いた。
日本語を話せる人間を探していて、条件に適合し、就職したが、性に合っているか、職業適性があるかわからないが、危険な仕事が多いにも関わらず生きていて、頼りになる仲間も一応いるで、自分ができる限りのことはしなくてはいけないとも考えた。
身分相応かわからないが一応出世し、AGSでは階級を軍事階級とある程度同格に使い、俺は大尉こと、キャプテンに昇進し、ラッセルが言っていた、キャプテン サムライとは俺を意味している。
キャプテンと言えば海賊のような階級だが、会社で言うと課長や部長に位置し、階級的には中間だが、中間と言えある程度の責任は存在するで、俺は表向きの事情には参加するべきだとも思った。
海外へ渡航し、海外の軍隊への関与や傭兵として活動、そしてPMCに就職し、POとして就労する人間は近年増加傾向で、日本は警戒を強め、大きくは動いていないが、こうした活動を広めている。
報道や慈善活動、商業活動と異なり軍事に大きくと言うか、中心的に関わる業務で命の危険は大きいと言うか、最悪保証できないで、警戒を強めるのは無理もない話だが、ありがた迷惑なのもじじつだ。
世に言う小さな親切大きなお世話とも言い、結局は自己責任で、俺と言うか、一緒に来た2人も理解しているで、表向きには参加したが、裏向きには来て後悔していた。
「―――ようこそ、山中一輝さん。夏川涼さん。牧野桔梗さん。」
「どうも、山中一輝です。」
報告した通りの明後日こと、現在だが、大使館の中に入ると気のよさそうな男が出迎えてくれ、俺はと言えばはじめましてと言うように頭を下げた。
大使館と言うのは奇妙な場所と言うか、法的に言うと難解だが簡単に言うと出張所のような場所で日本と言うか、その国と同じ扱いを受ける場所で、外の本来の国とは違う情景だった。
空調が聞いているのか室内は涼しいと言うか、少い寒いほどで、出たら別の国だと思えないほど清潔で、日本人も多く、空気も変わっていると思えるほどだった。
「夏川涼です。」
「牧野桔梗です。」
2人はと言えば細かいことは無視し、本番だと言うようにあの時と違いサングラスにスーツ姿で、俺と違いネクタイはしていないが真面目な表情で、現状の立ち位置的に俺はまるで警護されている要人のような気分だった。
2人とも背が高く大柄で、俺はと言えばどちらかと言えば背が低く細身で、外見的には不相応な仕事をしているなと思った。
不相応に見え、年齢も年下だが、俺は上司で、2人のことは管理しなければとも再認識した。
歩きながら俺は携帯電話を通じて本社に現地へ到達したことを通達していた。
2人も同様で、最近の仕事は不便と言うか、AGSは社員を徹底的なIT管理をしている企業で、携帯電話で通信網が設けられ、機能が応用され、俺たち社員はいつでもどこでも、だれでも会社の援助をうけられていた。
代償に報告や監視体制が強化され、情報が過量になったが、科学に犠牲は付き物だと俺は使うたびに痛感していた。
海外の軍隊や映画でペンダントをしている風景が見られるが、名前や性別、血液型などが書かれ、ドッグタグとも言われる兵士個体の認識票で、俺たちにとってはこの携帯電話がドッグタグの代用となっていた。
系列会社が遺伝子や医学、生物の研究もしているそうで、健康管理や身体情報と言った書類では記載されない個人情報の管理もされている。
「な~に不満そうな顔してんよ? 山中君?」
「わっ!?」
「あいっかわらず低い声ね? 外見不相応で~? もっとボーイッシュな声だったらよかったのに~?」
メールを送り終え、予定が正しいならばあと半時間も経たないうちにここにテロリストたちが攻め込んでくるのかと考え、緊張している中で不意にどうしたのよと言うように言って夏川が頭をなでてきた。
おどろいている中で夏川はと言えばお気楽な雰囲気で、俺はこんな時にと言うように眼を向けたが、夏川はと言えばどうしたのと言う表情をしていた。
「桔梗さん? いや、牧野軍曹、涼さん、夏川少尉を何とか言ってくださいよ?」
「言ってもむだよ? それに、あなただって階級は上でも年齢とかそう言うものは偉くはないけど大切だとか言ったのはあなたでしょう? ほら、嫌そうな顔しない? 大尉殿? それにあなたが子供っぽいのは事実なんだからね?」
「そうよ~? 大人のお姉さんなんだから~? それに女の子っぽいし。」
頭をなでて髪は乱れ、言っても聞かないで、悪くは思わず、多少の落ち着きは必要だが、何か違う気がし、牧野に頼むが、彼女はと言えばわたしには無理と言うように返し、夏川はと言えば後ろから抱きしめてきた。
「俺ももう30過ぎてんですが? おっさんに抱き付いて何がうれしいんですか!?」
「わたしが中高生だった時あなた産まれたでしょ~? お姉さんのストライクゾーンが広いことに感謝しなさ~い? と? あら?」
言う通りで、俺は現在33で、夏川と言うか、牧野もだが俺よりも5歳以上年上で、このような状況は仕事中によく起きていた。
会話もだが俺の外見は2人と比較してと言うか、一般的にも小柄で、少し女顔だが声がかなり低く、夏川が変な好意な態度を見せるのはそのためでもあった。
2人はと言えば身長175Cmほどで女性としては片幅も広く大柄の筋肉質で、単体でも俺よりも体重が重く、俺はと言えば165Cmは超えているが170Cmは超えておらず、少し細身で体重も55Kgは超えていないほどだ。
仕事中と言うか、会えばいつもこの調子で、止めろと言うように返すが夏川は続ける中で手を止め、俺も何かと眼を向けると厳重な検査用の機械を持った人間たちが近づいてきていた。
「―――検査なら入る時にしたと思いますが?」
「警戒ですね?」
「ええ、最近物騒で、アメリカの大使館にも火炎瓶が投げつけられたそうで―――」
金属探知機かと思っている中でオレたちに向け、牧野がそれは前にもと言うように返すが俺は用心に越したことはないがと言うように返すと、案内している男は申し訳ないと言うように言う中で探知機の感知音が鳴った。
「―――腕時計だ。サスの金具、サイフの硬貨、どれも一般のものだ。液体は所持していない。」
現地入りする前から一応情報収集し、治安が悪いと聞いていて、物価も上昇中で外を歩けばシンナー中毒者やストリートチルドレンや暴動、現地の軍人の闊歩を見ていた。
テロも半塲日常茶飯的で裏で麻薬取引も多いそうで、衛生環境もよくは見えず、見た以上にこれから悪くなりそうだとも思いながら俺は変なものは持っていないと言うように返した。
夏川と牧野も反応したが、同じように違うと言う様に返していた。
「―――触らないでくれ、前の仕事で骨折したんだ。固いのはセラミックで固定具だ。」
「―――――」
「触ったらひどく痛い、それと利き手だ。大切にしてくれ。」
調べている屈強な外見の男は厳重にと言うように身体検査を始め、俺の左腕に何かがあると気付き、調べかける中で俺は止めろと言うように返した。
男がそれは何だと言う表情をしていたが、こんなことでうそを言うかと言うように返すと、男は納得ができないと言う表情をしていたが一応は引きさがる中で、俺は夏川と牧野に眼を向けた。
守備は万全と言え、骨折も虚偽で、俺たちは武器を持ち込むことができた。
最悪の事態への備えや作戦案、二手三手はすでに用意済みだが、一番の問題は練習と本番が違うことで、世に言う現場の判断が必要になることだ。
現場の判断が必要だが、仲間からの指示も無視はできないで、ここまでは順調だと考えている中で、携帯に差し込んだイヤフォンからモールス信号が送られてきた。
本来の形式とは違うコードが使われていると言うのは無視し、仲間のハマー アレンからの連絡で、夏川と牧野も聞いていると言う雰囲気だった。
『―――3人とも、聞こえている?』
『聞こえている。作戦は順調、現在10:05だ。』
『あいかわらず君らしい正確な解答だね。』
君たちなら大丈夫だよねと言う意図が感じられ、俺も問題ないと言うように返し、ハマーはそれならよかったと言うように返した。
『オシアナスのおかげだ。』
『BANZAI! SAIKOU! URESHI!』
『熱を入れ過ぎだ。集中しろ。』
正確なのは俺ではないと言うように返すと、ハマーは感心するぞと言うように返し、俺はと言えばここまでにしようと言うように返す中で、偉い人間がいる部屋の前に案内にされていた。
オシアナスと言うのは俺の腕にしているCASIO製の電波ソーラー腕時計のブランド名だ。
作戦開始まで後20分となり、それまでに終わるか、話しを長引かせるかと言う細かいことには現場の判断が必要で、夏川と牧野に頼みますよと言うように眼を向けると、2人は任せろと言う表情をしていた。
一寸先に死が待ち受ける時が迫っていた。
歳を重ねると辛気臭くなり、話しが長くなり、説教になることが多いと言われ、俺も歳を重ねて実感しているが、世代を1つか2つ超えると余計で、通された部屋の男が始めた話はと言えばそう言った話だった。
時間は身体でもわかる後少しに迫り、予定より早まる可能性や、裏側を爆破した後、爆音を合図にと突入すると言うこちらが仕入れた情報通りの計画を進行しない可能性も存在し、話しを聞く内心肝が冷え切っていた。
簡単に済ませると出だしに言われて、立ったままで聞き10分以上が経過していた。
「それにしても、大使館と言えば久々の日本はいいものでしょう?」
「―――随分と楽観的ですね? 現在でも本国は数多くの問題を抱えていますよ? 隣国とのおつきあいは?」
一時閑話休題と言うように男は俺たちに聞き、俺は聞かれたことに関し、そうでもないと思うと言うように返した。
「辛辣だね? アメリカ、いや、アンクルサムの近くで見る日本はよく見えないかい?」
「輝いて見える。だが中は汚染されている。お前らもその1人だと思うが?」
「山中君―――」
男はと言えば部外者みたいに言うが君も例外ではないだろうと言うように聞き、それなら俺も言いたいことは言わせてもらうと言うように返し、牧野が軽く止めに入った。
男の言ったアンクルサムと言うのはアメリカ合衆国を少し批難した言い方だ。
「言ってもどうせわかりませんよ。神髄は。国を出たからこそわかる真実があるだろうに―――」
「そうだけど―――」
「このことだけは礼儀やお膳立てや建前を設ける必要なんてかけらもないですよ。日本人はウサギ小屋には住んでませんしね。」
止めたが俺はと言えば続け、牧野が言われると確かにと言うように返す中で俺は続けた。
過去に日本は海外からウサギ小屋に住んでいると書かれていると言う話があったが、これは単語の翻訳間違いで、本来はマンションやアパートメントと言った集合住宅や借家住まいが多いと言う意味だった。
「―――まあ、とにかくだ。これからのわたしたちの国は―――」
「―――――」
起点と終点の見えない話と言うのは本当に聞いていて退屈で、聞いていても意味がないように感じられ、男も気分転換や不満の発散、言ってもむだだが仕事として言うだけ言ってと言う気持ちもあると思った。
演説として演出や声色、思考の伝達力に欠け、俺もある意味似てるとまでは言えないが、大組織の指導者には不向きだと思った。
「―――確かに職業選択の自由が存在し、国籍だった意見も存在する。君たちはまさに自己責任で現在の職に落ち着き、活動し、現在に至っている。だけどだ。君たちの行為は―――」
遠まわしと言うべきか、回りくどいと言うべきか、便宜的と言うか、よいとも悪いとも明確には言わないが、仕事辞めてこっちに帰って来いと言う意志が丸見えない言い方だと思った。
「それにだ。山中君。君は若い、そしてまだ無知に近くこの世界の現実を知らない、第一に君は―――」
速く終わらないかと言うか、不謹慎だが始まらないかと思って聞いている中で、少し遠くから大きな音が聞えた。
「―――始まったな。」
「そうですね?」
「It s Show Time!」
男が音に反応し、なんだと言う反応の中で、俺が待っていたと言うように言って音の方向に眼を向ける中で牧野が言い、夏川がこれは楽しみだと言うように言った。
「おい、何を―――」
「ふせてろ。」
意味が解らないと言うか、お前たちかと言うように聞く中で、俺は男に対し黙っていろと言うように言い、床に少し強引にふせさせると、夏川と牧野が入って来た扉の横側に移動していた。
「―――な、何を? 突然―――」
「証拠隠滅にあなたは消されかけている。」
「隠め―――」
扉の向こうでは悲鳴が聞こえ、状況を確認する声と同時にだれかが勢いよく走る音が聞え、男が意味が解らないと聞く中で俺は事情を説明し、わかるように言ってくれと言う中で、扉が突然開いた。
「―――っう!?」
「!?」
入って来たのはどう見ても武装したテロリスト2人で、軍服を着て、銃を持ち、顔を覆い隠し、俺が来たなと思っている中で、2人の内1人のあごに夏川の持っていたナイフが差し込まれ、もう1人の顔面には牧野の強烈な飛び蹴りが入った。
『SHITSUREISHIMASU、が抜けてるはよ?』
『BUREIMONO。』
1人が激しく痙攣していたが、ナイフを抜かれると絶命し、残りは勢いで倒れ、起き上がる寸前のテロリスト1人に、2人は手慣れた動きで倒れたテロリストから武器を奪い、拘束し、結束バンドで親指を縛っていた。
本来は電気のコードなどを集めるための道具だが、拘束力が非常に高く、警察も手錠の代用としても使用し、俺も持ち歩いている。
英語で言いながら日本の礼儀作法を知らないのかと言うように夏川は言い、牧野も続けて冷たく言った。
「少尉、極力殺さない手はずです。ここは日本の領土です。」
「正当防衛。それなら銃刀法違反。撃とうとしてた。それと同じ判断したでしょう? だからナイフ持ってきたんでしょう?」
殺すのは困りますと言うように俺は夏川に言ったが、夏川はと言えば仕方ないと言うように返し、ナイフに付着した血をふき取っていた。
ナイフと言うが金属製ではなくセラミック製で、俺も腕や服の中に隠し持ってきている事実がある上言われたらその通りで、反論ができなかった。
『ハマー、こちらキャプテン サムライ、KIKZARUを守った。オイランが1人始末、クノイチが1人の拘束に成功した。』
『了解、IWAZARU、MIZARUの安全確保後AKABAの確保に向かってくれ。』
『了解。』
夏川の言葉に反論もしたいが、第一陣は乗り切ったと言う状況で、ここからが本題だと言うようにハマーに無線で報告し、ハマーがわかったと言うように返し、言うまでもないけどと言うように指示を伝え、俺は了承した。
「山中君!」
「―――どうも。」
「M4? AKじゃないの? どこで手に入れたのよ?」
予定通りに行くかと考えている中で牧野がテロリストから奪った拳銃を渡し、俺がたすかりますと言うように返す中で夏川は変だと言う表情をして奪った小銃を見ていた。
夏川の言う通り彼らの持っていた銃はこう言った発展途上国で出回る純正かの判別もできないAK系ではなく、米国コルト社製のM4と思われる銃で、ライトやレーザーサイトなどが装備されていた。
渡された拳銃はと言えば米軍が正式採用しているM9で、共産主義を目指すにしては異様に資本主義的な銃を選択したなと思った。
「細かいことは抜きにして―――」
「君たち? これはいったい? 何が起きているんだ?」
渡された銃に対し、俺が弾丸を装填すると言うか、確認しながら夏川に対し一応武器は手に入ったからと言うように言おうとする中で男が説明してくれと言うように声をかけてきた。
「これは人殺し―――、う?」
「正当防衛。」
俺はと言えばサプレッサーは何のかと思っている中で、男はまずいことだぞと言いかける中で夏川が銃を向けると、黙りなさいと言うように返し、俺はと言えば持っていないだろうなと思いあきらめた。
「―――――」
「それと大使館の情報流したのアンタでしょ? 証拠隠滅で消されかけてたのよ? それをたすけてあげたの。」
「忙しいの。自分で考えなさい。わかってるでしょう? いきましょう? 山中君? 涼さん。」
考えなくてもわかるだろうと俺も言いかけた中で、夏川が説明し、牧野も同様に言うと部屋を出ていき、涼も出ていった。
「―――大人しく、そうですね。机の下にでも隠れといてください。後は我々が何とかしますので。」
「―――――」
ハマーとの連絡通りで後2人を守り、全員を確保する必要があるで、俺も行きますと言うように言って部屋を出ていき、男のそんなと言う表情が一瞬見えたが、長く見て話し合っている場合ではないのは明確だ。
2人はと言えば急いでと言う表情で手招きし、俺ももうしわけありませんと言うように合図し、後に続いた。
状況を踏まえればわかると思うが、大使館の職員の一部が情報を漏らし、あの男もその1人で、俺はと言えばたすかったとしても最悪自主退職でいいことはないだろうなと思った。
RDの計画はAGSから引き抜かれたと言うよりも、裏切ったふりをした社員によって情報が漏洩し、俺たちは彼らと言うか、彼女たちがこれから何をするかと言うことが半分以上わかっていた。
簡単に言うと大使館の情報を売り、侵入の手引きをした人間を証拠隠滅に殺した後、職員を一か所に集め共産主義への思想変換宣言を強制、受け入れない人間だけを殺害し、撤退すると言う内容だ。
妨害が失敗した以上、俺たちで食い止めるしかないで、計画がつぶれ始めたなと思いながら進んでいる中で先頭の牧野が丁字路で足を止めた。
「―――――」
耳をすませると大使館の職員とは思えない上等な靴の音ではない足音が近づいて来る音が聞こえ、牧野が任せてくださいと言うように合図し、俺はわかったと言うように返した。
「―――――」
十数秒後牧野が右方向に勢いよく移動した後、争うような声が聞こえたかと思うと、鈍い音と乾いた音が入り混じったような嫌な音が周囲に響き渡った。
「―――もうしわけありません。強く抵抗して、殺すしかありませんでした。」
「―――作戦通り1度3手にわかれましょう。夏川少尉はMIZARUを、牧野軍曹はIWAZARUの安全確保を願います。俺はこのまま中央にいきます。」
「了解。」
どちらかの悲鳴も一切聞こえず、殺したなと思っていると牧野が姿をあらわすと俺にあやまり、音の方向に眼を向けてみると白目をむきかけていると言うか、左右の眼が別の方向を向いた死体が見えた。
首も医学的に見てどう考えても向いてはいけない方角に向いていて、直視するものではないなと思っていると、死体は壁に背を預けていたが、重みに耐えきれなくなったか倒れた。
夏川が言った通りで一応は正当防衛が通用するかもしれないで、迷っている余裕はなく、指示を出すと2人はその通りだと言うように返事を返した。
牧野とはあの丁字路で別れ、夏川とは途中までが一緒で俺が前に、夏川が後ろを進むことになった。
テロリストもだと思うが大使館内部の地理と言うか、見取り図は把握していると思われ、俺たちも把握はしているが、数は彼らの方が多いで、十二分以上に警戒して進む必要が存在した。
危険が多いとは言え、悲鳴なども少なくなり、銃声などの大きな音が聞こえず、職員を集め、後は残りを探している状況なのかと思っていると少し遠くで人らしき声が聞こえた。
「―――――?」
「やけに流暢な英語発音ね? ネイティブの職員でも来てるのかしら?」
「細かいことは抜きです。助けを求めているようです。」
聞いて見れば英語で、英語とは言うものの日本人とは思えない流暢過ぎる話し方で、夏川は奇妙ねと言うように言い、俺はと言えばその声がたすけを求めていることが理解できた。
「―――」
「―――――アメリカ人ね? それに好都合、MIZARUよ?」
「細かいことは無視です。たすけます。」
安全を確認し、見るとテロリストに銃を向けられ腰を抜かした2人組で、1人は日本人だがもう1人は日本人には見えず、その日本人に見えない男と声で、テロリストの怒号が聞こえない状況だった。
テロリストはと言えば簡単な英語で立って歩け静かにしろと言っているが、日本人に見えない男はと言えば待ってくれ撃つなたすけてくれと言うようなことを叫んでいた。
夏川は見て見ればと言うように言い、俺は言う通りに考えているひまはないと言うように返した。
「―――ぁ?」
「―――っぐ!?」
「―――?」
気づいていない状態で、手か足にでも撃ち込むかと思っていると夏川が飛び出し、待てと言いかける中で引き金を引く中で銃声と重なって普通とは違う音が銃本体から聞こえた。
引き金を引いていると言うか、動かしている状態で排莢不良を起こしたなと思いながら俺は銃口の先に眼を向けた。
「―――――」
「―――っく!」
「え? ちょ?」
テロリストの背中には重傷が見え、血が流れ出しているが、こちらへと振り返りかける中で俺は夏川から銃を奪い取り、勢いよく投げつけた。
銃本体が正規品でなく、途上国で造られた粗悪品のため性能が悪いか、整備を怠るか、部品の摩耗による寿命化など、排莢不良の問題なんて探せば多いが、排莢してもまた怒る危険があるで、俺はこれが一番いいと判断した。
銃本体が投げつけられた上命中すると言うことは視野に入れていることなんてあまりないで、テロリストがひるんだすきを狙い俺は駆け、腕の中に隠していたにナイフに手を伸ばした。
投げてきたのは銃かと考えているように見える中で俺はナイフで首を切り裂いた。
「―――――」
身体が反射的に動いた状況で、殺すのはまずいと思ったが、切り裂かれた首からは血があふれ、テロリストは首を切られたのかと言うようなうめき声をあげ、床に倒れ、俺は顔に軽くだが返り血を浴びたのほおに生暖かい感触が走った。
『―――山中君? IWAZARUの安全を確保。』
「―――」
倒れ、血が流れ出し、このままでは長くて数分、短くて数十秒でたすからないなと思いながらほおをの生暖かい感触を服の袖でぬぐっていると牧野が通信を入れてきた。
『大丈夫?』
「問題ありません。ありがとうございます。MIZARUの安全も確保、サザンカ ペレスの確保に向かいましょう。」
『―――了解。』
問題の1つを片付けてくれたようで、俺はと言えば黙っていて、牧野が心配し、俺は考えている時間はないと言うように指示を出すと、牧野は少し間を置き、気になる部分があるがそれならと言うように返事を返した。
MIZARU、IWAZARU、KIKAZARUと言われたが、俺は3人の安全が確保できたんだなと思う中で、日光東照宮の3匹の猿の名前が当てられたのだなとも考えた。
返事を返し、夏川に行こうと言うように合図し、近くで腰を抜かしている2人を無視し進んでいく中で俺の携帯電話にメールが来た。
メールが来た瞬間は走っていてみることはできなかったが、作戦が正しければ、AGSからの緊急帰国命令で、一応は手順通りに事が進んでいると思った。
From AGS WDC
Title 緊急帰国命令
本文
至急出社願います。
牧野と合流し、メールを確認し、後はこれだけですねと言うように顔をあわせた後、俺たちたちは大使館職員が集められた場所を見下ろしていた。
職員が集められているのは大使館ホールで、俺たちはと言えばその2階から見下ろしている状態で、職員はテロリストに包囲され、少し遠くから出わかるほど恐怖に脅えた顔をしているのがわかった。
始まってそれほど時間は長く経過しておらず、数人が仲間と連絡が取れないで混乱しているような反応をしていた。
『―――なぜだ? 連絡が取れない?』
『殺された? そんな馬鹿な? ありえない?』
『だけど、可能性がある。調べに―――』
連絡が取れないのは間違いなく俺たちが処分した仲間なのは確実で、俺が話を見て聞いていると牧野が声をかけてきた。
「あれ? 写真で見たけどよくわからなくて、実際に見たあなたなら―――」
「はい。そうです。」
「嫌そうな声の女ね? アカ丸出し。」
連絡が取れないとか言った女がサザンカかと聞いているようで、俺はそうですよと言うように返す中で夏川は早く捕まえようと言うように言った。
『―――時間がない!』
『わかりました。』
俺たちに見られていると知らない中で彼女たちは軽くだが言い争いを始めていた。
連絡が取れない仲間を確認しに行くか行かないかで、最終的にサザンカがダメだと言い、近くにいた女性兵士があなたがそこまで言うならと言うように言って黙った。
「手順通りやりますよ?」
「はい。」
「OK」
黙る中で、いかないと不味い頃合いだなと思い、2人に確認すると牧野が少し早かったが、双方問題ないと返す中でサザンカは職員に話しかけていた。
『―――資本主義を捨てる時が来たのだ。わかるだろう? これは罰で、我らはその代行人だ。だが神ではなく、罪なき人間たちのだ。宣誓しろ。資本主義を捨て共産主義となること―――』
「NO!」
『!? だれだ!?』
演説に近い話し方で、最後にと言うように言う中で、俺が叫び、上から聞こえたとサザンカが頭を上にあげ、呼びかける寸前に俺は飛び降りた。
『―――!?』
見上げたサザンカの目線からは人間が飛び降りてくるのが見えたと思うが、俺は手に持っていた物体をサザンカに勢いよく向けた。
向けたがこれは銃ではなく、消火器で、勢いよく消火剤が噴出され、サザンカに降りかかり、降りた俺は周囲にばらまき、テロリストのなんとも言えないと言う反応の声が聞こえたが、俺は放射を続ける中で夏川と牧野も降りて来て消火器を振り回した。
消化器と言うのは普段使用されないからわからないが、噴射力が非常に高く、武器としても十二分な威力を発揮する。
勢いよく消火剤を振りかけられたテロリストはと言えば、サザンカをふくみ完全に意気消沈した上消火剤に塗れ、振りかけた張本人の俺が言うのも悪いと思うがみじめで、サザンカはこんなことでと言う表情をしていた。
全員を結束バンドで拘束し、サザンカに置いては念入りに手と足をあわせて拘束し、後は日本政府とかが何とかするだろうと言う状況にしておいた。
大使館職員が縛られているが、ほどくとあれこれ言いそうと言うか、すでに何か言っていて無視している状態なので放置し、俺たちはここを去ることにした。
『―――山中、だろう? どう言うことだ?』
『情報が漏れていたんだ。運が悪かったんだ。悪く思うな。』
背を向ける中でサザンカが待てと言うように英語で俺に話しかけ、俺はと言えば返すまでもないだろうと言うように返した。
『悪く思うな? そうは言うが親身に話を聞いてくれただろう? それなのに? きさまも結局資本主義の犬なのか? 革命が必要なことがわからないのか?』
『俺はAGSのPOだ。社畜とも言うかもしれないが、心までは売っていないし売る気もない。国家や主義、権力に振り回されるのには懲りているんでな。』
2人が急げと言っている中での会話で、サザンカはお前はと言うように続け、俺はお前の長話をする気はないと言うように言って背を向けた。
『忙しいんだ。お前の話を聞く余裕はない。SAYONARA。』
『待て!? 山中!? 山中!? 山中―!?』
続きは無いぞと言うように俺は言うと2人に続いて走りだし、サザンカが待てと言うように叫んだが、俺は振り返りもせずに走り続けた。
走り抜けると一気に大使館を脱出し、俺たちはその後すぐに現地の空港でアメリカ行きの便へと搭乗し帰国した。
運良く帰れたと言うもので、途中で止められることもなく、数日後には本社で事件のことを新聞で見られるほどに落ち着いた状況だった。
思いがけないことが起きると実感があまり持てないことが多いもので、俺はと言えば事件のことも絵空事のようになっている中で、事件と言うか、仕事に置いての処遇が決まっていた。
大使館への呼び出しと出向くのはあくまで任意であり、テロリスト撃退は殺害もふくみ正当防衛が一応通ったが、会社からの命令で突然帰ったことは問題だと本社に来た日本の代表から俺たちは注意された。
アメリカ政府はと言えばPMCのPOの任意の行動であり問題なしで日本に任せると判断し、AGSも同様で会社の命令に従うのは止むを得なく、彼らの行動は仕方のないものだと十二分に弁護してくれた。
現地の国も政情が不安定だが大統領までが俺たちの行動に感謝の意を述べ、仕事として一段落したと思ったが、これからが問題だった。
「日本政府も、この国もあの国も、そして本社も問題ないって言ったのに、それで? これはどういうこと? あの国は大統領まで感謝してくれたのよ? 次来るときはあなたたちにいい国ですねって言われることが目的だって新聞に書かれているのよ?」
「夏川少尉、落ち着いてください。」
「山中く―――」
夏川は机をたたいてラッセルに意見具申するが、近くにいた俺は待てと言うように言い、だけどと言うように返そうとする中で、俺はあなたには問題ないでしょうと言うように眼で合図した。
「だけど、山中君に、いえ、大尉、いや、これも違って少佐にだけ―――」
「これも権力のなせるわざでしょう? 職権乱用の公私混同、国家の横暴よ!? 強制帰国命令と言うようなもんでしょう?」
「―――」
夏川があなたが言うなら仕方ないと言うように座る中で牧野がこれはと言うように言い、夏川はと言えば気に入らないと言うように言い、俺はと言えば腕を組み、軽く眼を閉じ、考えるように姿勢を変えた。
大使館の一件は多少問題があるが一応問題なしと言われたが、新しい問題が起きるで、その問題は俺だけに起きていた。
夏川の言う通りで簡単に言うと強制帰国命令で、俺は細かくは理解していないが、これだけでは片付かないようで一度日本に帰って来いと指示されたのだ。
「君たちは年上とは言え書類上部下で彼は責任者だからね。聞きたいことがたくさんあるんだろう。それに、山中君も少佐へと昇進だ。報道記事から引用して、Samurai Surviverと呼ぶべきかな?」
「―――試験にも合格して前から決まっていたことだ。辞令交付が事件後と重なった。ラッセル。何か企んでないか?」
「さて、どうだろうね?」
ラッセルはと言えば数週間前の不機嫌ながらの不敵な笑みと違い、普段通りの温和と言うか、人を軽くだますかのような笑顔で言い、俺は関係してと言うように聞くが、ラッセルはそれはわからないと言うように返す。
「ネットもお祭り騒ぎ。いえ、炎上してるは? それにわたしたちは無視されてる。全部山中君の功績?」
「LineとFacebook、それとTwitterも賞賛やらヘイトやら一杯。もーっや!」
「だから本名開示してやるなと言ったでしょう?」
牧野は改めてと言うように携帯の画面を見ながら言い、夏川は面倒なことになったと言う表情の中で、牧野はそれは仕方ないでしょと言うように返した。
夏川はある意味朱鷺の人間となった影響か携帯には先ほどからメールが大量に来ているようで、俺はと言えば本名で登録することが無くてよかったと思いながら携帯で情報を仕入れていた。
『日本大使館をテロリストが襲撃、邦人死傷者なんとゼロ、現地活動中に訪れていた邦人3人が見事撃退!』
『SAMURAI KENZAN!』
『ヤマナカ カズキさん、ナツカワ リョウさん、マキノ キキョウさん、漢字不明の3人が大使館に侵入したテロリスト推定10人以上を撃退。現在彼らはアメリカに戻っている。』
事件はそれほど大きくはないが、数多くの波紋を起こしているようで、俺はと言えばその渦中にいると言う自覚があまり持てない状況だった。
自覚がないと言うと言いすぎだが、広まりすぎたと言うか、大きくなりすぎて、全体が把握できないと言う状況に近かった。
『情報を提供した3人の邦人に帰国勧告及び、事情聴取、そして逮捕状を請求中。ヤマナカ氏にも帰国してもらい事情を聞く方針。』
『当日偶然現地に職務で来ていたアメリカ大使館職員の証言によれば、「悪をKIRISAKU、SAMURAIを見た。」と発言。眼の前でテロリストを刃物ようなもので殺害するなど、彼らの人道的精神が問われる。』
『犯行はアフリカ圏に本拠を置く共産主義系過激派集団「レッドダガーズ」の1人、サザンカ ペレスはヤマナカ氏が働いていてPMCで就労歴あり、背後にAGSの陰謀説が存在するが真実は不明。』
記事に眼を通して行けば真実に到達できることはなく、意中の俺たちも絵空事のようで、俺はラッセルの方に改めてと言うように眼を向けた。
「それで、君はどうするんだい?」
「―――帰りますよ。一段落したらこっちに戻りますよ。有給の申請を―――」
「それなら調度いい。有給はとらなくていい。日本支社の本社査察団にも加わってくれ。」
牧野たちが話す中で、少し間が起きたがラッセルは続け、肝心なのは君だろうと言うように聞き、俺はと言えば嫌ですが仕方ないと言うように返そうとすると、ラッセルはたすかると言うように即答した。
「少佐昇進が決まるのと同時に上の方で決まっていたんだ。君ほどの人材がいってくれないと困る。日本支社との関係を知っているだろう? それに少尉と軍曹にも同様の命令が出ているんだがどうする? 君たちは無論白紙にできるが―――」
「いきます。」
「いきます。」
仕組んでいただろうがと言うように眼を閉じてひきつった笑顔をしている中でラッセルはと言えばそんなことはないぞと言うようにさらりと返した。
返した上、このタヌキおやじめと考えているとこれだけではないと言うように2人に言い、2人は考えるまでもないと言うように返した。
俺はと言えばため息を吐きだすしかなく、ラッセルはと言えば眼を向けると期待しているぞと言うよう眼を向け、俺はと言えば心の中で最善は尽くすが期待はするなと言うように毒づいて返した。
帰れとは言われたが、飛行機や船と言った公共の乗り物を乗り継いでいく場所で、こちらでの手続きもあるで、すぐには帰れず、帰りたくないで、期日も近いが俺はと言えば数日後、帰る数日前の日に気晴らしに本社の射撃場にいて銃を撃っていた。
一般にも開放されているが、朝早いからか人の姿はなく、俺はと言えば社員だからある程度優遇して使えるで、よく来て撃っていた。
撃ちながら後回しにするのはよくないが、気が向かないと言うか、帰りたくないのは事実だと考えていると、不意だれかが頭のイヤーテクターを取り上げた。
「―――?」
「やっぱりここにいた。」
「少尉―――」
だれだと思い銃を置き、振り返ると探してたんだけどと言うような雰囲気の夏川が見え、その通りだと言うように言い、俺は夏川のことを階級で呼んだ。
「機嫌が悪いといっつもそれ、階級で呼ぶ―――」
「それで? 何の用ですか?」
「いら立っているはね? 話しを聞くまでこれはお預け。」
夏川はあなたはと言うように言い、俺はと言えば用がないなら返してくださいと言うようにイヤーテクターに手を伸ばすが、夏川はダメだと言うように言って手から遠ざけ上にあげた。
「―――それにしても、あいかわらずの好成績ね? バイアスロンとかクレーもやってたんでしょう? オリンピックも目指せたでしょうに?」
「趣味の範疇として楽しみたいんですよ。スナイピングも好きですが乱射だって嫌いじゃないんです。バズーカも好きです。好きこそものの上手なれとか言いますけど、仕事との両立はむずかしいですからね。ほめられるのはうれしいですけどね。」
「分別ある子ね?」
銃をおいたんだからと言うように言いながら夏川は射撃の的の方に眼を向け、見事だと言うように言い、俺はと言えばたいしたことはないと言うように返し、夏川はもっと誇ってもいいのではないかと言うように返した。
バイアスロンやクレーと言うのは銃を使ったスポーツ競技の1つで、俺は軽くだが経験があると言うか、射撃の腕はいい方で、ほめられるべき部分もあり、うれしくもあるが話したいことの本筋が読めなかった。
「それで?」
「あなたの真意が読めないから。それを聞きたいの。早急に答えなくてもいいけどね?」
射撃の腕のことを聞きに来たのではないだろうと言うように聞くと、夏川は聞いてと言うように返した。
「真意?」
「男の子って嫌なことや悪いこと、変なことがあるとすぐ黙っちゃうからね。それに、桔梗さんもだけどあなたの眼を見ると不安なのよ。あなたのことが。」
「不安?」
本筋が読めないと言うように聞くと、夏川はそれはと言うように返し、俺はと言えば余計に意味が解らないと言うように返した。
「あなたの眼、傭兵の眼よ―――」
「傭兵?」
「あなたは信じてるものがない。神も、国も、人も、お金も、そして、自分自身さえもね? 傭兵は戦場を渡り歩き世界を見て回る。そこで似たようなことが繰り返される惨状を見て焦燥感に包まれる。そして眼が生気を失うが濁りを見せない眼になる。」
夏川は聞いてと言うように言い、俺がどういう事だと聞くと、夏川は真剣な表情で話した。
「自分自身が生きているのか死んでいるのか、そして何だったのかもわからなくなり始めながらも戦い続ける。死ぬまでね。そんな眼をしてる。そうは言っても、知ってると思うけどこれはラッセルの祖父、石川さんからの受け売りよ?」
「―――そうですか―――」
「山中君。日本に帰って一度心を休めるべきよ? 自分の人生を見つめ直して荒木君と向きあうべきよ? 家族とも会って来なさい? 桜華さんだった?」
あなたはまずいことになると言うように言い俺はと言えばそう言われてもと言うように返す中で、夏川は日本に帰る言い頃合いだったと言うように返した。
「それと、ソマリアの時の件忘れてるでしょう? 上海の件もだと思うけど。」
「?」
「捕虜虐待疑惑は潔白だと知っているから置いておき、上海でも言ってないからわからけど、聖歌さんの件、娘さんと会う約束してたでしょう? ほら、やっぱり忘れてる?」
夏川はこれもと言うように続け、何のことだと言う反応中で、これだから困ると言うように続けた。
「―――ぁ、いえ、あの―――?」
「もう決まったことなんだから、連絡先も聞いたんでしょう? ついでに行ってきなさい。13歳になる一人前になった魔女とあってきなさい?」
「―――」
言われて見ればと言うように俺が思い出している中で、夏川は思い出しならならと言うようにわたしに眼を向け、俺はと言えば考えていた。
「あなたみたいな子はたくさん入って来るし、たくさん死ぬからわたしたちは失いたくないの。話はこれで終り。」
「―――」
「ハマーがあなたのおかげでアーミッシュだって告白して心を開いたみたいに。あなたも心を開くべきよ? それじゃあね?」
考えている中で夏川はここまで言えばと言うようにイヤーテクターを俺に渡し、俺が受け取る中で歩き出し、首にかけた中であなたには期待していると言うように言い、去っていった。
夏川の言ったアーミッシュと言うのはアメリカの宗教組織の1つで、キリストの教えを厳格に守り生きている人間たちで、ハマーは元はその1人だ。
去っていくのを見届ける中で、ハマーのことも少し考えた後、俺はと言えば少し大きく息を吐きだしていて、本気で向き合わないといけないことが多くあると考えた。
考えたが、嫌なことは事実で、俺は射撃の的のように簡単に片付かないかと考えて的に眼を向けると、的は変化もせず、銃痕だけが残っていた。
真登はと言えば先ほどと距離が変わらないが、スコープを使って狙撃することが多いからか、それとも暗い静寂な空間から感じる空虚さか、それとも精神的な影響なのかわからないが、少し遠くに見えた。
考えるべきこと、向き合うべきこと、離すべきことは多いが、時間は有限とは言え十二分にと言うか、一応存在するで、俺は十分ほど考えていたが止めて、射撃場の床に座ってビールを飲んでいた。
飲んでいるとは言うが一缶で、軽くと言う予定だったか、先ほどの話もあってか悪酔いしているような気分で、これ以上はいらないなと思い、飲み干すと足元に適当に置いた。
前には射撃場で背中には壁、足元にはここに来た時持ってきた荷物に先ほど飲み干したビール、そして銃をおいていた。
タバコでもあれば世も末と言う雰囲気により近づくが、俺はと言えば吸わないで、人間として中途半端かなと思いながら身体に悪いから吸うものではないと思いながら少し大きく吐きだした。
「―――――」
楽しいと言えば違い、苦しいとも言えず、続けたいと言えばはいと答えられるが、長く続けられる仕事ではなく、精神面への影響も強く、俺も自分自身が疲労していることを自覚していた。
5、6年もすればと言うか、もうすでにおじさんと言う年齢で、10年もすればと言うか、この仕事を続けられるかと言う不安も感じ、生涯幻影黄な無理だが後進教育の教官には不向きだよなとも考えていた。
年齢的には夏川と牧野はそう言う年齢だが、2人して俺よりもと言うか、後で入って来た俺よりも階級が下で、俺も優遇されたものだと思った。
階級なんて書類上だけで、給料もそれほど上がらず、雑用を押し付けられとも言えるが、望んでこの仕事を始め、日本で言うブラック会社でもなく、生きてはいるで文句も言えないなとも考えた。
「―――――」
銃を手に取り、少しの間前に向けていたが、俺は少しして銃を自分のあごの下に向けていた。
弾丸が装填されている状態で、引き金に指をかけると言う危険な行為だが、俺は死ねばある意味この疲労から解放されるだろうとも考えていた。
引き金を引けばよくて即死して脳漿が床にばらまかれ、仮にたすかったとしても意識のない植物状態のように眠り続けるで、最悪ではあるが、この現実からの解放と言う上では悪くない選択だとも思った。
周囲に人の気配はなく、軽くだが時計を見て見ると夏川が去ったのは20分ほど前で、俺は酒を飲んで悪酔いし、自覚こそしているが酷いことをしていると考えた。
だれか来たら速攻止められて最悪殴られ、怒られるなとも思ったが、だれかが来るまでか、それとも安心するまでは辞めることはできそうになかった。