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先人たち

 一番確かなことは原因不明だが自分がその一人だと言うことだ。

 何がかと聞かれると、彼方たちが話していた神になれる噂に関係し、わたしこと、夏川雪乃が神の力だと思われる力を手に入れたと言うことだ。

 わからないのは何故わたしかと言うことと、いつのことかと言うことで、あることが要因なのではないかと心の奥底で非常に引っかかっていたことだ。


 ことが起きる数か月ほど前のことで、極普通に外を歩いていた時だった。

 朝が結構苦手な方で夜に長い時間働くと言う仕事を選び、職業柄平日の昼間中に銀行などの金銭や事務的な手続きをしなければならず、職業柄発生する昼夜逆転と言う事態で昼間に発生する必然的な睡魔と戦いながら歩いている時だった。

「―――?」

 どこかも解らない場所に迷い込んだ。

 解るのは海辺の公園のようなきれいな場所で、少し先に海と陸地の境界線を分ける少し長く大人の胸ほど長さまである柵と、遠くには大きく長い橋が見えたことだ。

「―――きれい………。」

 どこかは正確には解らなかったが、柵の前に近づき海と目の前の大きい橋を見て、思わず言葉を漏らしてしまった。

「―――?」

 人気がなく、誰もいないかと思ったが、左の方の少し先にスーツ姿の、正確には日本人ではない黒人の中年か初老だと思われるほどの男の姿があった。

「―――お邪魔でしたかな?」

「―――ぁ、いえ?」

 中折れ帽を被り、上品と言う言葉が一番似合っていて、視線に気づき、こちらを見ると帽子を取り、外見不相応と言えば失礼だが、映像越しに翻訳されたかのような非常に流暢な日本語で話しかけ、思わずおどろいてしまった。

「そうか、ならよかった。」

 帽子をとった頭の髪の量は年齢相応と言うべきか短く切り整えられ、短く少ないと言う様子はなく、ごく普通と言えるほどで、言うと軽く笑顔で言い、帽子を被りなおした。

「突然だが、少しいいかな?」

「………はぃ?」

 人付きのいい笑顔で男はいい、わたしは訳も分からず、思わず答えてしまった。

「唐突だが、後を任せた。」

「へ?」

「混乱するのも無理もない、わたしもそうだった………」

 何を言っているのかわからないが、男は言うと、こちらの言葉など聞く様子ないと言う状態で、帽子を被りなおした。

「だがさすがに限界だ。無責任とも言えるが、知らぬ間にわたしは任されたし、わたしはもう十分に職務を果たせたと思っている。」

「―――」

「悪いものではない、とてもいいものだ。気づいてもわたしを恨まないでほしいものだ。」

 何のことを話していると言うような様子で男は話し続ける中で、帽子を被りなおし終えると歩き出した。

「わたしも同じだった。どう使うかは君次第だし、どう見られるかわからないが、わたしは間違いではないと信じている。」

「ぁ………」

「君を信じているから伝え、賭けてみる価値があると思う。では、任せたよ………?」

 意味が解らないが、去り際の振り返った男の顔と物言いは生死を賭けたような、修羅場を乗り越えた後のような落ち着きと慈愛に満ちた物言いに圧倒され、一体なにかと聞くこともできず、男は去って行った。

 少しして普段通りの道を歩いていることに気づき、気のせいかと思ったが、何にしても、これがわたしのきっかけだと言えるのは確かだと言えた。


後で会うことになるが、名前に恥じないように明るく、飛び越えて元気で、人によっては腹が立つほど無邪気で人付き合いがよくて人が無意識に集まる空野彼方が心の奥底から嫌いだ。

 大人と言うよりも精神的に年寄りと言うよりもくそじじいの領域で、アクション映画の主人公みたいに意外に強く、なんでも知っていて落ち着いたと言うよりも世の中にあきれて期待もしていないような態度の山中一輝が嫌いだ。

 本人の前でも平気でこんなこと言うのかと聞かれたら否定する気もなく言うし、こんな自分は嫌じゃないとも思っているし、あの時のことはある意味思い出したくもない、わたし、入野遥香はそういう女だ。

 正確には彼方よりも1歳年上の13歳で、彼方たちと同じ中学生の少女で、同級生こと鈴と同じあの進学校に通っている。

 あのうわさの張本人かと聞かれたらまさにその通りだし、何が起きているかと聞かれると、神になれる噂の、神の力を彼方たちよりも先に手に入れた人間だ。

 後で彼方たちに会うことになるが、手に入れたと言うべきか、目覚めたと言うべきかと言う日のことを話す。


 ここ数か月前からはやり始めた神になれると言ううわさがあったことは確かだ。

 うわさは真実だと証明されたが、問題となるのはなぜわたしがこんな人間の力とは思えない能力に目覚めたかと言うことだ。

 心の片隅にある程度のことで、気にも止めず、別の問題を、中学校に進学し、いじめの問題を受けている時だった。

 生まれ持ったものだがほかの人間よりも成長か何かが早いようで、同じ年の集団の中ではいつもほかの子と比べると頭一つ分ほど背が高く、気も弱く、視力も悪く、気にして引っ込んでおとなしくしていたら小学の終わりごろになって急に餌食になってしまった。

 背丈のことをよく言われ、確かに成長したい部分もあるだろうが、こちらは逆に成長したくなく人並みでいたかったなどとも言えず、余計に何も言わずに、心を閉ざし、せっかく進学した学校を休み、引きこもりがちになりかけている時だった。

 親は父母両方いて進学校に入れるほどであり、わたし自身人前であまり見せないが運動を含め成績もよく金銭面でも円満だが仲が悪く、わたしも時期が悪い時に生まれ嫌われ、家には一人に近い状態の暮らしだった。

「ぅ、く………?」

 ことが起きたのは彼方と会う一月前ほどのこと、食べるものも家の中になくなり、近くのコンビニに行き適当な食べ物を買った帰りだった。

 何が起きているかと言うと、突然空から降って来た巨大な恐竜のぬいぐるみにうつぶせに押しつぶされているのだ。

「ぅぅ、ん………!」

 信じられない事態だが、これが現実な上に、ぬいぐるみは子供の絵本で見たような鳴き声を上げ、踏み潰してご満悦な様子だった。

 眼の前には衝撃で壊れてひびが入ったのか眼鏡を視界が変になっている上に、先ほどコンビニで買ったものが散らばり、食べ物の中にはもう食べられないものも存在していた。

「………いい、加減に、―――」

 踏み潰されている中で、少し遠くから鳴き声が聞こえる中で、猛然と言うべき怒りが心の奥底から、湧き上がり、心の奥底で燃え上がり始めていた。

「―――しろぉおぉおお――――――――――っ!?」

 生きている中で苦しいや嫌なことなんかたくさんあるし、あったけど、ぬいぐるみに踏み潰されるなんてこと絶対に納得がいかず、声を勢いよく上げて立ち上がり、衝撃でぬいぐるみは安定を崩し、地面に勢い良く倒れた。

「―――――?」

 後ろが異様に明るく熱い気がして振り返ると、倒れたぬいぐるみが勢い良く燃えていた。

「………なに?」

 死ぬ前に上げる声を、正確には断末魔だと言えばひどく感じるが、ぬいぐるみは地面に倒れ弱弱しい鳴き声を上げながら炎に焼かれていた。

 何が起きているかわからないが、突然の事態で訳が分からず、思わず逃げ出してしまった。


 遥香とは対照的に、ぬいぐるみの怪物に襲われることはあまりなかったが、わたしはあの謎の男と会った後、奇妙なことが自分のまわりに対して起きていた。

 桃子と鈴が感じたプレコグニション、言わば未来予知が多いが、何にしてもうわさも広まり始め、理解できたのは自分が関係していることと、遥香のような仲間が存在知ること、世界が滅ぶかもしれないと言うことだった。

 世界が滅ぶ、壊れる、表現がたくさんあるが、人間絶命など、何にしても現実では意味不明の事態の光景が見えていたのだった。

解決方法を探さねばと動き始め、夜は仕事、昼は寝る時間を削り、家の中を資料で埋め尽くし、熟読している時に、遥香の存在に気づき、遥香にあったのだ。


 雪乃は会ったと表現したが、正確には会いに来たと言うべきで、意味不明の事態を理解できず、何にしても一度家に戻り、ふと食べるものがないことに気づき、別のコンビニへと言えば変だがもう一度行き、簡単なものを食べて一休みしている時だった。

 一休みと言うが、家に急いで戻り、食べ物がないので意味も解らずもう一度別の場所へ買い物へ行くと言うある意味度胸の据わった偉業を成し遂げ、ベッドで眼を開けたまま横になっているだけだった。

 部屋の電気を消し、陽が沈んでいるために暗い部屋の中で、夢だったのかと思い始めた時で、突然眼の前の、視線の先の、正確には6階だてマンションのベランダの窓をたたくような音が数回聞こえた。

「―――――?」

「入野遥香、ちゃん?」

「―――――?!」

 雨でも降って来たか、風にでも乗って小石がぶつかったか、先ほどのことのように夢でも見て続きでもあるのかと思う矢先、窓の向こうから女性の声、正式には雪乃の声が聞こえ、思わずおどろいて起き上がった。

「あ? ごめん? おどろかないで? とても変だけど、怪しい者じゃないの? あなたの味方なの?!」

 初対面の雪乃は会の力をある程度使いこなし始め、ここまで瞬間移動してきたようで、窓の向こうを見ると、確かに怪しさとは無縁な寝間着だと思われる明るい色のジャージを着た大人の女性がいた。

「………だれ?」

 隣の部屋と壁越しにだが続いており、隣の部屋から来たのかと言うように眼を向けたが、雪乃は違うと言うように首を軽く横に振り、施錠されていたベランダの窓の鍵を手を触れることなしに開け、窓を開けてきた。

「―――ぇ、っう?!」

 この時はまだ自分があのぬいぐるみを焼いたとは気づかず、突然の事態におどろく中で、雪乃は窓を開け、怪しくない、悪い人じゃないと言うかのように愛想笑いを見せ、手を振って見せた。

「あの、何か、変なこと、起きなかった? た、たとえば、変な怪物に、襲われたとか?」

「?!」

「あ、あのね? 落ち着いて?」

 突然窓を開けられ怪しさ満点だが雪乃は悪い人間には見えず、何にしてもこちらは落ち着いた様子だが、雪乃は慌てている様子だった。


 人の力とは思えない力が手に入った。

 恐竜のぬいぐるみのような怪物に襲われるようになった。

 神様になれると言う奇妙なうわさが最近広がり始めている。

 何にしても雪乃を一応は招き入れ、話し合い、お互いの情報を交換し、お互いにわかったことはその程度のことだった。

 確かなことは雪乃とわたしは状況的に違うが、身体にいきなり神のものだと思われる力が手に入り、怪物に襲われるようになったと言うことだ。

「それでこれからどうするのよ?」

「―――――」

「何とか言いなさいよ?」

 質問するが雪乃は答えず、なんとも言えないと言うような顔をしていた。

「―――いい加減にしてよ?! 毎日毎日1人にいじめに身体のことまで言われる! その上ぬいぐるみの足蹴にされて変な力手に入って突然あなたまで来て?! 冗談じゃない!」

 思った通りの言葉をわたしは雪乃に対して口にした。

「―――」

「―――わかったわよ、なら全部ぶっ殺してやる。ボロボロのメタメタのギッタンギッタンにしてやる。」

 支離滅裂かもしれないが、勢い余り、感情に任せて言葉を出してしまったが、何にしてもこの後戦うことになり、雪乃とも協力することにもなり、彼方たちと出会うことになったのだ。


 物語は1つではないことは確かだ。

 ほかの誰かの話もあるが、同じことを言っている人間もいるかもしれないが、1番大切なことはこれで、人1人1人に物語が存在し、話初めは一見関係ないように思えるが、徐々に関係が明らかになり、密接に、重厚に関わっていくことになる。

「雪乃? いる?」

 会ってから数か月後した後遥香は戦士と言うほどの成長し、逆にこちらの、言わば雪乃ことわたしのマンションの部屋に来るようになった。

 どこから手に入れたのか、力を使ったのか、法律などお構いなしに剣と銃と言う物騒な武器を持ち歩き、暇な時などに怪物狩りをしているようだった。

 神になれるうわさをネットで調べてみたが、眼の前の遥香が一番の話題で、背が高く、内向的な少女だと言われていたが、遥香はあれ以来、真実通りに勢いの強い少女へと変貌し、少々年齢不相応の身長も手伝いかなりの覇気に満ちていた。

 彼女はあまり話さないが、ほかにも人間外の怪物が存在しているようで、修羅場慣れしてきたとも言えた。

「相変わらず汚いわね?」

 遥香が避難して言う、わたしこと、雪乃の部屋はかなり散らかっていた。

 なぜかと言うと、事件のことを調べるため、古い文献や骨董品などを買い集め、片づけることが苦手で部屋の中は物があふれていた。

「何のためにPCとたっかいスキャナー買ったのよ?」

 高さもそれほどなく、物の浸食が迫りかけているベッドで横になり、毛布にくるまって文献を見ていると、やって来たと言う状況だった。

「スマホ反応してるでしょ? たまには手伝ってよ?!」

 身体も神経を集中すればできる場合もあったが、スマホがセンサー代わりになる。

 最初に気づいたのはわたしで、怪物たちが近くにいると携帯こと、スマホが意味もなくヴァイブレーションを起こし、適当に操作すると消えると言うことがわかり、遥香はヴァイブレーションが起きるたびに怪物狩りに出かけているようでした。

「―――」

「解ったわよ。わたし一人で行く。」

 何も言わずに文献を読んでいると、遥香は勢い良く返して部屋を出て行った。

 ベランダを飛び出すと人間とは思えない速度で空を飛んで行った。

 手伝わないとは言ってないが、一人で行くと言ったし、邪魔になりたくもないし、面倒だし、何にしてもただ戦うよりも前に、わたしは何か解決法がないかと様々な情報を集めている状態だった。

 遥香は怪物たちと戦い、わたしは大量の情報の中から必要な情報を手に入れようと、上方の海、と言うよりも宇宙の中で戦っていた。


 宇宙と言う表現をしたが、後で納得するが、一番妥当な表現だと言えた。


 この後少しして彼方たちと、出会うことになる。

 

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