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徘徊  作者: ねぎポン
1/7

Vol. 1

 『“異”・日常的風景』に続く,雑文小説第2作目。今回も先の読めないハラハラドキドキのストーリー展開が続きます(予定)。

 実はこの作品には原作が存在します。それは2005年の文化祭で自分の所属する放送部が上映した同名の

「ホラー映画」

です。1作目との調整の為,会話や設定に原作との多少の差異はありますが,一応原作に忠実に書いたつもりです。

 内容に飽きずに最後まで読んでいただければ,これに勝るものはありません。

 8月11日。あの日皆は“彼女”に出会った――


 11時56分,2年A組教室。長田希代実(ながた・きよみ)春川結花(はるかわ・ゆいか)は窓側の前後席を向き合わせ,夏休みの宿題を教え合っていた。

「あぁ〜。もう宿題なんかやってらんないよ」

 長田はシャープペンを投げ遣りに机へと放った。春川もそれに同調する。

「ホント。もう無くなっちゃえばいいのに」

 少しの沈黙の後,長田が突然話を切り出した。「あ,そうそう。これ友達が言ってた話なんだけど,……見たんだって」

 長田の口調がおどろおどろしくなる。

「え?何を?」

「幽霊♪」

「うそぉ〜?!ありえないよ」

 春川が派手に驚く。

「ホントホント。なんか夏の11日になると,黒い布で身を隠した,刀を持った幽霊が出るんだって……」

「それって今日じゃない?」

「……もしかしたら出ちゃったりして……」

「ちょっと待ってよ……!」 明るく振る舞う春川だが,その内心ではかなり怯えている。

「大丈夫だって!」

 そんな春川を長田が慰める。長田は話題を転換した。

「ねえ,もうすぐ12時だし,お昼にしない?」

「そうだね。どこにする?」

「放送室がいいよ。あそこなら扇風機もあるし」

「賛成!でも開いてる?」

「大丈夫!きっと開いてるよ!」

 2人は宿題と筆記用具をまとめ始めた。

 放送室。ここは羽生南高放送部の活動拠点である。新年度となり,1年生が6名入部し,2年生が2名入部した。しかし約1名,高野康平(たかの・こうへい)が部の雰囲気に馴染めなかったのか退部,総部員数は14となった。顧問も替わった。織部徹(おりべ・とおる)先生は異動し,副顧問だった乙原英則(おとはら・ひでのり)先生が昇進。環境の大きく変化した中で,南高放送部は新たなる船出をしたのであった。

 その頃,校内図書館(図書室)には藤本光喜(ふじもと・こうき)小池咲(こいけ・さき)の2人が入館していた。2人は生徒会執行部所属の2年生と1年生だが,放送部員でもある。

「やっぱ図書館は涼しいなぁ〜」

「ちゃんと静かにしてて下さいよ」

 桃色の扇子を扇がせながらだれる藤本へ,小池の釘が飛んだ。図書館は生徒にとって憩いの場。冷暖房完備で常に温度が一定に保たれている。

「じゃ,私本借りて来ます」

 小池はそう言って館内の奥へ。藤本はふらふらしながら進行先にある椅子へ向かって歩き,腰掛け,目の前の机に思いっ切り突っ伏した。そして何の気も無しにただ視線を右へと滑らせていく。すると,その先に1冊の赤い古びた本が。藤本の右手が伸び,それを引き寄せる。結構厚目の本だ。藤本はその本のページをゆっくりゆっくりとめくっていった……。そして何の気も無しにただ視線を右へと滑らせていく。すると,その先に1冊の赤い古びた本が。藤本の右手が伸び,それを引き寄せる。結構厚目の本だ。藤本はその本のページをゆっくりゆっくりとめくっていった……。

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