表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輝いた季節へ  作者:
4/8

長雨の予感

いよいよやって来た5時間目。

先生が黒板に大きく座席表を描いた。そしてその中にランダムに番号をふっていった。

17と書かれたのは、後ろから3番目で窓際から2番目の席だった。

私は荷物をまとめると、そこへ移動を始めた。

その席へ近づくと、現実と思えない光景が近づいてきた。

私は手に握ったクジと黒板の座席表を何度も見比べる。

私の左隣、窓際の席は30番。そこには、もうイヤになるほど見慣れた顔があった。

「…ねえ、あんた本当に30番なん?」

そこに座っている男子に尋ねる。

「そやけど?」

私は彼の持っているクジを確認する。それは紛れもなく30番。

私は後ろを見た。後ろにいる3人も同じ班になる。

「あんた達も、本当にそこ?」

自分の班のメンバーを確かめる。

班は全部で5人。しかし男子が4人。女子は1人…私だけだ!

それに[うるさいファイブ]のメンバーが1人含まれている。

それは私の真後ろの席。しかも杉原。


右を見る。右側は別の班だ。しかし…右隣もその隣も!

私の前の列も、また別の班だが、そこにも二人男子が並んでいる。


「念のため聞くけど…あんた達もその席で間違いないよね…」

「当たり前じゃ〜ん」

私は単に男子に囲まれただけでなく[うるさいファイブ]にも囲まれていた…!!

「そんなぁ…」

こんな中で12月までいるなんて…めちゃくちゃだよ…。

私は力なく机に顔を伏せた。

「これから同じ班どうし、よろしくな〜、ゴトウンコ」

杉原が笑いながら言った。

「先生…席替えやり直そうよ〜」

さすがに私は助けを求めた。

「う〜ん、確かに少しかわいそうだけど、仕方ないね」

あっさり見放された。

「そうそう、オレはこの席気に入ったから、やり直したくないし」

杉原が言う。

「そりゃ私だって男だったら、こんな良い席ないけど!」

「ええやん、お前も名前に下ネタついてるんやし、男みたいなもんやで」

「それはお前らが勝手に呼んでるだけじゃーーーっ!!」

私はバッと立ち上がった。

「後藤さん、授業中なんだから座りなさいよ」

すかさず、先生にまったりした声で注意されてしまった。

教室中にどっと笑いが巻き起こる。

こっちは笑い事じゃないって…。私はフラフラと座りこんだ。

私の隣で杉原は声を上げて笑っている。私は杉原の顔を見たくないから反対側を向いた。

しかしそこには、[うるさいファイブ]の他のメンバー4人分のニヤケ顔が並んでいた。逃げ場はなかった。

恥ずかしい。悔しい。というか明日からどうなるんだよ…。

降りそうで降らない曇り空。でも私の中では、すでに晩秋の冷たい雨がシトシトと降りだしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ