プロローグ2
「着いた。さて、リーン草はっと。」
アイアンズベアを倒してから1時間程歩き山頂に着いたウィズは早速リーン草を探した。
「・・・あった。後は山を降りるだけだけど、もう日が暮れるな。」
空を見ると太陽は地平線に沈みかけていた。
「山頂は何故か魔物が近づかないし、ここで休んで明日下りるか。」
ウィズは近くに窪みを見つけると、腰を下ろし眠りについた。
ウィズが気がつくと宇宙の様な空間にいた。
「何処だここ?(夜空で覆われたような場所だな)」
周りを見回すと九つの石碑がウィズを囲むように置かれている以外何もなかった。ウィズが石碑の一つに触れると頭に響くように声が聞こえてきた。
『ほぅ、私を撰んだか人の子よ。』
「誰だ!?」
『今姿を見せよう。』
するとウィズの触れた石碑が砕け、目がくらむほどの光がウィズを襲った。光が収まると其処には一体のドラゴンがいた。銀色の身体に碧く深い瞳、その美しさにウィズは目を離せないでいた。
「ここは何処なんだ?俺はバーリオン山にいたはずだ。」
「此処は神域、神々の眷属の契約場であり世界の狭間で、監視場。」
「神域?お前は何なんだ?」
「私は覇龍、八の眷属を従え、八属性を繰る。汝、我との契約を望むか?」
「契約?」
「そうだ。主は私に魔力を与え、私は主に従う。」
「その前に幾つか質問しても良いか?」
「構わないぞ。」
「契約のメリットはなんだ?」
「私と私の眷属を何時でも呼び出し、使役する事が出来る。」
「眷属ってのはどんな奴が居るんだ?」
「それは契約すれば解る。だがどれもがお前達人の言うAランクの魔物以上の強さを持っている。」
「解った。デメリットはあるか?」
「お主の使える魔力が10分の1になるくらいだな。」
「そうか。(元々俺は魔法を使えないし問題無いか。)」
「じゃあ最後の質問だ。何故俺との契約を望む?」
「お主の魔力を気に入ったからだ。後は外の世界を見たいからだな。私は誰かと契約しなければ此処から出られないのでな。」
「解った、契約しよう。ところでお前の名前は?」
「私に名前は無い。契約したらお主が付けてくれ。」
「解った。でまずはどうしたらいいんだ?」
「上着を脱いで立ってくれ、後は私がやる。」
「これでいいのか?」
「ああ。」
ドラゴンは頷くと口をウィズの左胸につけた。
「くっ、」
ウィズは体内から魔力を吸い出され思わず声を出す。
ドラゴンは魔力を吸い終わるとウィズから口を離した。するとドラゴンの身体は光り出し徐々に光が収束していく。光が収まると其処には美しい女性が立っていた。
「ふぅ、これで契約完了よ。」
「なっ、お前さっきのドラゴンか?」
「そうだけど?」
「雌だったのか?口調も変わっているし、と言うか何で裸なんだよ!?」
「何を言ってるの?さっきまでは裸でいても平気だったじゃない。口調は人型に引っ張られた反動よ。」
「さっきはさっき、今は今だ。いいから服を着てくれ!!」
顔を真っ赤にして叫ぶウィズに対して仕方ないといった顔をして指を鳴らすとドラゴンは服を着た状態になった。
「これで良い?」
「あ、あぁ。それで大丈夫だシオン。」
「シオン?」
「お前の名前だよ。付けてくれって言ってただろ。」
「シオンか、気に入ったわ。良い名をありがとう、我が主。」
「主はやめてくれ。ウィズで良い。」
「ふむ、なら良い名をありがとう、ウィズ。」
「どういたしまして。それでどうやって元の場所に戻るんだ?」
「それは簡単。リターンエールと唱えれば戻れるわ。」
「そうか、ならリターン「ちょっと待って。」どうした?」
ウィズは戻ろうと唱えようとしたら、シオンに止められた。
「戻る前に眷属の使役を練習したほうがいいわ。此処は時間の流れが止まっているから、練習にはうってつけなの。使役方法は契約の時に流れ込んだでしょ?」
「ああ、コールの後に呼びたい奴の名を呼べば来るんだろ?で魔力のラインで思考を繋げて指示をだす。」
「その通り。此処で練習すれば周りを気にせず使えるからね。腹も減らず睡眠要らずで動けるし。」
「なら此処で鍛えれば相当強くなれるのか?」
「それは無理ね。ここで得られるのは知識と感覚。肉体は成長しないの。」
「それでも、強くなれることに変わりないか。よし、しばらく鍛えていこう。」
ウィズはこの後、一年鍛錬をした。