第6話 大団円
「さあ、お主らには約束していた報酬をはらおうではないか。
我が娘、ヴィクトリアを伴侶とするがよい」
え! いったい何の話ですかい、それ!
赤いじゅうたんが敷かれた絢爛豪華な王城にて。
玉座に座る金の冠をか打った王様が、床でひざまずいている俺たちに向かって、契約を履行すると切り出した。
俺たちが聞いた話では、王様が望むものが可能なら何でもさしあげるという話だった。
しかし、上のものと、下のものとの間には情報の格差があるらしい。
まさか、報酬に戸惑うばかりだ。
しかし、これは願ってもない条件だ。
元々俺は後ろ盾が欲しくて姫様の救出に参加したのである。
予想外と言えば予想外だが、それでも、この展開は悪くない。
「ぜひ」
「いや、その」
条件を知らなかった俺はチャンスだと思い受けると言い。
条件を知っていたマーサさんは、もともと他人事とあきらめていたからか戸惑っていた。
ライバルが、今まさに辞退した。
これは、決まったか。
「では、エドガーよ。貴様はなぜ、我が娘との婚約を望むのだね」
いや、それはあれですぜ、へへ。
後ろ盾が欲しいからですと言いかけたのだが、それを実の父親の前でいうことはできない。
どう説明するかを考えた上で、自分がやりたかったことをオブラートに包んで話すこととした。
「俺はそう、病院を開きたい!
お……私には異能レベル、物語に出てくる聖人と同レベルの治療魔術を行使できます。
ですが、その能力をむやみに使えば争いが起きてしまう!
ですが、王の、あなたの庇護があれば、その危険を排除して、多くの人を救える!
だから、私は、ヴィクトリア様と結婚し、あなたの庇護が欲しい!」
「ふむ……」
王様は機嫌よさそうなずいてくれた。
どうやら、合格点はもらえたらしい。
さぁこい。来てくれ。
王様が口を開きかける。
ゆっくりとした動きが、今の俺には延々のように思えた。
「お持ちください。
結婚に関しては、妾の意志もまたある」
これで決定という瞬間に、もう一人の主役が声をあげた。
「マーサよ。お主は、妾に水を譲ったな。
いったいどうしてだ。もしや、近場に他の冒険者がいるという計算があったのか」
「有りません。ぼ、私はただ、姫様が苦しそうだったから。
だからこそ、思わず手を伸ばしたのです!」
と、こうして、俺たちはそれぞれの思いを語ったのである。
――コツコツコツ。
姫様がこちらに近寄ってくる。
その足音が止まる。どちらと結婚するのか、今まさに決定する。
選ばれたのは、マーサだった。
「な、なぜ」
「正直な話。規格外の回復魔法と、規格外の付与魔法。
どちらかが欠けていたのならば、妾は帰らぬ人になっただろう」
「なら」
「功績は対等。ならばこそ、より多くのものをささげた、マーサを選びたい」
そのプロポーズに、俺以上に、なんか隣にいた、マーサーの方が驚いてる。
「その、僕があなたを助けたのは考えなしの無鉄砲な行動です。
これから何かやりたいこともない。
それなのに、しっかりとした目標を持ったフリードではなく、僕を選んでもいいのですか」
「それ以上言わせてやるな、息子よ。
愛というのはそういうものだ」
王様の一言で、新たな夫妻が生まれたのだった。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
家に帰ると、いつも通り、温かな笑顔が俺を出迎えてくれた。
その笑顔を見えうだけで、胸の中に積もったもやもやが奇麗に溶けていくようだった。
まぁ、美女は手に入らなかったけど、後ろ盾は手に入った。
なんだかんだで、当初の目的は果たしたのだ。
これ以上望むのは欲張りというものだろう。
「エレナ、準備を進めてくれ。今から引っ越しをするんだ」
「それにしても、さすがご主人様です。
迷宮の中に取り残された、お姫差を救い出すなんて、まるで、物語に登場する王子様みたい」
どうやら、もう噂は広まっているらしい。
退屈な事務作業よりも先に、武勇伝を聞かせろとエレナは迫ってくる。
ある意味で、人間らしいな。
でもやめてくれ。
曇りなき瞳が、容赦なく、俺の心の中の柔らかい部分を攻め立ててくる。
どうにもこうにも、家を出て行く際に、これで何でもかんでも好きなものが手に入るんだと自慢していたのが悪かったらしい。
「街中で噂になってるんですよ。ご主人様が王女様と結婚するかもしれないって」
どうやら、時間の経過とともに、断片的な情報から、正確な情報にアップデートしたらしい。
「残念だけど、そうはならないよ」
「えっと、それはどうして?」
「俺は選ばれなかったんだよ」
「そんな、どうしてご主人様が!」
俺のことを聖人だと思っている彼女は、その選択が信じられないのだろう。
断られたのが俺なのに、憤慨している。
「気にしなくてもいいさ。なんたって、これから俺は王国が後ろ盾をやってもらえるんだ。これからは隠れて、治癒魔法を使う必要なんてない」
「でも、そんなうすいつながりで本当に大丈夫人ですか。
もし、相手の気分を害しただけで捨てられるかも」
それはそうだが、お前が気にすることではないだろうと、俺はそれ以上の発言を静止した。
「でも、よかった」
「いや、何が良かったんだよ」
まぁ、この国の王様のところにもう少しで婿入りだ。
色々と面倒ごとがあって、それをきらったという事だろうか。
正直、理解できなくもない。
と、そういう風に言うと、こいつはどうしてか溜息をつく。
態度悪いぞ。
「こういうことですよ」
そういって、近寄ってくると思えば、俺たちの唇がか阿なりあった。
えっ!
「ご主人様、私はあなたをお慕い申し上げています。初めて会った時から、今も、そして、これからも」
これにて完結です。
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