墓ピクニック 1
いつもの夜。もう遅い時刻。
「明日。ピクニックに行くぞ」
急にモンジが思い出したように言った。
もう寝ようかとテレビと電気を消した時だった。
「ピクニック?」
ミウがベッドで布団をかぶりながら言った。
「うん。アメリがピクニックに行くと言っていた。明日はピクニックだ。楽しいぞ。ふわーあ」
モンジが大きなあくびをした。
ミウは、母猫の声が聞こえて、家から飛び出して以来、この家からでたことがなかったので、どきっとした。
「タノシイ? ピクニック ッテ ドコニアル?」
ミウがワクワクしてきいた。
「なあに、すぐ近くだ。廊下をずっと進んで・・・・・」
「ロウカッテ アノ クライロウカ? ズット ススンデ?」
「進んだらあるんだ・・・グウ・・」
モンジは寝てしまったようだ。
ミウは天井を見上げて考えた。
暗い廊下の先にはピクニックがあるんだ。怖いとこに続いているのかと思っていたけれど、違うんだ。
ピクニックってどんなところだろう。モンジは楽しいっていっていた。テレビで見た遊園地みたいなところだといいなあ。ミウは思った。
朝、今日はピクニックに行くというのに、モンジは仕事に行ってしまった。
ミウは、今日、モンジは仕事に行かないで、この前みたいにのんびりテレビでも見て過ごすんだと思っていたから、なんだかがっかりだ。
でも、すぐに帰ってくるのかもしれない。早く帰ってくればいいのに。
落ち着かない時間が過ぎて、午後になり、コタロウとムンキチが帰ってきた。きっと、モンジももうすぐ帰ってきて、みんなで出かけるんだとミウは思った。
しかし、コタロウとムンキチはかばんを家に置くなり、また、外に遊びにいったようだ。
みんな、何をしているんだろう。もしかして、ピクニックにはもう行かないのかもしれない。ミウは悲しい気分になった。
ミウがウトウトとしている間に外は薄暗くなっていた。ぼんやりしていると、もんじがやっと帰ってきた。
「モウ ソト クライ。キョウハ ピクニックニ イケナイ」
ミウがしょんぼりして言った。
「暗くても大丈夫。今から行くんだよ。さあ、ピクニックだ。ごちそうだ」
モンジは作業服を脱いで言った。
「ピクニック デ ゴチソウ ヲ タベルノ?」
「そうだよ。ごちそうを食べるんだ。お酒も飲めるし、会いたい人にも会えるんだ」
モンジがこないだと同じスーツにそでを通した。
「アイタイヒト ニ アエル?」
モンジは大きく頷いて、ミウを抱き上げた。
「さあ、行こう」
モンジがにっこりと笑った。
部屋から出ると、おいしそうな匂いが漂っている。
階下のダイニングでは、マトマがタッパーに詰めたごちそうに、ふたをしていた。
「手伝うよ」
モンジがタッパーをダンボールに入れる。
「ありがとうございます」
マトマの顔が赤くなった。
「もうみなさん、あっちに行っていますよ」
最後のタッパーをモンジに渡して、マトマが言った。
「急ごう」
ダンボールを台車に乗せ、モンジが押す。
廊下に出て少し歩いてから、モンジがパチンと廊下の電気をつけた。
薄暗い電灯が廊下に灯った。あんなところに電気のスイッチがあったのだ。
長い廊下の突き当りにドアが見える。まさか、あのドアの向こうにピクニックがあるの?
ミウはモンジの顔を見上げたけれど、モンジは気づかないで、真面目な顔で台車を押している。
突き当りのドアに着いた。モンジがドアを開けると、明るい電気が灯っていた。
廊下の床と壁はコンクリートに変わって、下っていくゆるやかなスロープになっていた。
マトマが用意してくれていた靴をはいて、スロープを下る。
平道になって、その道をしばらく歩くと、今度は上りのスロープだ。
そのスロープを上がりきると、また、ドアがあった。
あのドアの向こうは、何かある気がする。ミウはドキドキしながら、ドアを開けられるのを待った。
モンジがドアを開ける。すると、冷たい空気が入ってきた。




