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ミウ、また捨てられる?

 気がつくとミウは真っ暗な所にいた。

 四方が壁に囲まれて狭い所にいるようだ。

 ざわざわと木の葉が風で鳴る音が聞こえる。

 見上げると、雲の陰から月が出ているのが見える。

 ここはどこだろう。

 ミウは立ち上がった。


 足元でカラカラと音をたてたのはキャットフードだ。

「アッ」

 ミウは思い出した。

 前にもこんなことがあった。

 ダンボール箱に入れられて、おじさんに山に捨てられた。

 あの時も、見上げると月が見えてキャットフードがカラからと音をたてた。

 あたし、また、捨てられたんだ。

 ミウは、恐怖で立ちすくんだ。


 でも、どうして・・・。

 だって、みんな、あたしを可愛がってくれたじゃない。

 初め、あたしのことをいじめてたムンキチもコタロウも、今は仲良くなったじゃない。マトマだってあたしのことを抱っこもしてくれるようになったし、フジエ婆さんは最初から優しかったけど、アメリもモンジも・・・。


 あんなに優しくしてくれたじゃない。モンジ・・・。

 アメリ・・・。迷子になったあたしを探してくれた・・・。

 モンジもアメリも大好きなのに。

 二人ともあたしのことを嫌いになったの?

 あたし、悪い子だったの? だったらこれからは良い子になるよ。何でも言うこと聞くよ。

「だから、捨てないで!」

 ミウは叫んだ。


 叫んだつもりだったけど、口から出たのは、言葉ではなくニャアーという猫の声だった。

 あれ? あたし・・・。

 足元を見ると、ミウは二本足で立たないで、四つん這いになっていた。四本の足先まで毛むくじゃらで、人間の手と足はない。

 柔らかな肉球の感触が地面から伝わってくる。


 座って顔に触れてみると、ツルツルだった肌がフワフワの毛になっていた。

 ああ、あたし猫に戻ったんだ。

 猫っだったころ兄弟で遊んだことや、三毛猫母さんに甘えた懐かしい記憶がよみがえった。

 また、みんなで楽しく暮らすことができるんだ。追いかけっこをしたり、母さんにひっついて眠ったり。

探しにいけばきっと見つかる。

 でも、でも・・・。


 あたし、人間になりたかった。人間になって今一緒に暮らしている人たちと楽しく過ごしたかった。

 コタロウやムンキチと一緒に学校に行ったり、コタロウみたいにアメリが作ったドレスを着て、お葬式に行ってみたかった。

 だけど、もう、だめだ。ネコに戻ってしまった。だから、捨てられたんだ。

 でも、ひどいよ。

 前は、人間になってきたからって捨てられて、今度は猫に戻ったから捨てられるなんて。

 あたしは、いったいどうしたらいいの?

 ミウは鳴いた。

 ニャアー、ニャアーと。



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