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お葬式

 何日かして、近くの葬儀屋で近所のおばあさんのお葬式があった。

 そのおばあさんはいつも家の前をほうきではいていて、アメリがそこを通る度、愛想よくにっこり笑って、頭を下げてくれた。

 ただ、それだけの知り合いだったけれど、アメリはいそいそとコタロウを連れて、お葬式に行った。


 アメリとコタロウはお葬式が好きだ。

 アメリは、上等な布で自分で作った、ゴージャスで上品な喪服のドレスを着られるし、コタロウは長い髪のかつらをかぶり、アメリが作った、これもゴージャスで上品なドレスを着ることができる。


 コタロウは女の子のかっこができるのが嬉しくてしょうがない。

 ドレスを着た華奢なコタロウはどこから見てもかわいい女の子にしか見えない。

 コタロウのことを知らない人が

「かわいいお嬢さんね」

 とほめても、アメリは

「男の子なんですよ」

 と、平気な顔で答えた。学校の友達もコタロウの女装のことはみんな知っているので隠す必要もない。


 コタロウはほめられるのがうれしい。いつも、鏡に映った自分の姿にうっとりと見とれた。

 そんなコタロウを連れて歩くのがアメリも楽しかった。

 他の人たちが二人を見て振り返るのを、アメリは優越に感じるからだ。


 しかし、今日のアメリは他人の目など考えなかった。この姿をハロルドに見せたいとだけ思っていた。

 アメリは腕時計をちらりと見た。

 来ると言っていた時間になっても、ハロルドが来ないのでアメリはソワソワしていた。

 もう、お焼香する人も途絶え、お経も終わりそうになって、やっとハロルドはやってきた。

 いつもの格好のハロルドは、礼儀正しくお焼香を済ませ、アメリの横に座った。

 お互い、顔をみあわせてそっと笑う。

 出棺も終わり、お開きになった。


「今日は一段とお美しい。コタロウくんもすごくかわいいよ」

 ハロルドが二人を交互に見て言った。

「ドレスはアメリ、あなたが作ったのですか?」

「そうよ。私が作ったの。このドレスは特別なの。だから、ハロルドに見てほしかったのよ」

「なるほど。わかります。本当にきれいだ」

 ハロルドが眩しそうに目を細めて言った。

「そう? ありがとう」

 アメリはポーカーフェイスで答えたけれど、頬がいつになくピンクに染まっていた。

 



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