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テストの一週間戦争

作者: 右下
掲載日:2010/03/07


この前見た戦争の映画と、現在テスト真っ盛りの自分を題材に、両者をミックスしてみた何ともくだらない短編小説です。


この小説をクリックしてくれた読者様に、多大なる感謝を!

世の学生達はテスト前になると、己の手によって徴兵される。




各々が確固たる目標、意志を抱き、今度こそこの戦いに勝利せんと企む。


学校せんじょうでは己の全てをかけて特攻する突撃兵士になり、家では絶対なる策を考える参謀兵へと変身する。


だが大概の者は定期的に行われるこの戦争の来襲により、意志薄弱、自己嫌悪、と言った症状が表れるのものだ。




勉強などやりたくないが、とりあえず机に向かっておこうとする意気込みを胸にし、早歩きで学校せんじょうから帰還。


自宅で、いやこの世で一番寛げる場所『自分の部屋』に閉じこもる。


まずは堅苦しい制服を脱ぎ棄て、動きやすい自宅専用のラフな格好になる。


そして『テストの三種の神器』である、『筆記用具』『ノート』『教科書』を、散らかった机の上へと淡々と並べる。



幾度も共に戦場を歩んできた愛用の武器シャーペンを持ち、進級する度に生まれ変わる教科書のページを開き、すでに何十代目かもわからないノートから白紙のページを用意する。



戦争へ打ち勝つための全ての準備が整った。



眼球を動かし教科書を横目で見つめ、武器シャーペンから生み出される字を、白紙のノートの上に滑らすように配置する。さながら、どこに兵を配置すれば勝てるかを考える策士のように。




が。




十分もしない内にすぐに手は止まった。





突然の来襲、いや奇襲とも言えるお母さんの登場。


何気ない用事で、自分の部屋の扉をノックもせずに入ってくる。入る際はノックしろと、一体何度言えば覚えるのか、いつも頭が痛い。多分一生覚えないだろうが。


本当にどうでもよい用事なので、多少の怒りを含めて『今は勉強中だから邪魔しないで』と言い放ち、お母さんも素直に退散する。



勉強机に目を戻し、教科書を覗く。


しかし、もとより集中力のない自分だ。この予期せぬ親の介入により心の陣形は一気に崩れる。


『何か部屋汚いなー』

『あれ? 前に借りた本どこに置いたっけ?』

『結局あの映画の結末どうなったんだっけなぁ・・・』

『あーお腹空いたなー』

『それに喉も乾いたなー』

『あ、昨日のドラマ録画したんだった』


こんな風に、一気に色々な事が気になりだした。





結果、自分はその『気になる事』を、無意識のうちに最優先させ解決しようとする。


普段はやらない部屋の掃除を快く行い。


なくしかけた物の存在が今までに類を見ない焦りと絶望に変わり、頭の中の情報を元に必死に見つけ出し希望を得る。


普段ではどうでもいいような内容を忘れたら、何としてでも調べ尽くし、多少の爽快感と一緒に思い出す。


喉が渇き小腹が空いたら兵糧庫リビングに行き、食べ物を強奪し己の渇望を沈める。


いつもなら山積みにしておく録画内容も、異常なまでに中が気になりだし、最悪の場合一から見直す。





最終的にはテスト勉強など二の次三の次。先程までの意気込みはどこへやら。


戦争に対する対策もしないまま、夜はすぐに更けていき、現状にある己の知識ぶきを手に学校せんじょうへと向かう。


それはさながら、壊れかけた銃器を持って戦場に行くが如く。そのような装備で戦場に向かうなど愚の愚、待っている結末など言わずとして知れている。


必然的な無条件降伏あきらめ、圧倒的な火力差むずかしさテストの未知の兵器もんだい、体力と精神の枯渇。




そして待つのは親が激昂する未来だけ。


先程まで抱いていた『でも、何とかなるであろう』とゆう愚かで陳腐な幻想は消え失せ、武器シャーペンはいつものように字を産み出さない。


周りを見ると自分と同じ境遇の人は多い。顔を見ればすぐ分かる、同じ死線を潜りぬけてきた仲間たちなのだから。


『明日のテストこそ必ず!』と、昨日よりも激しい想いを胸に秘め、家へと帰還する。


ここで立て直す人もいるだろう、だが立て直せない人もいる。


テスト最終日に待つのは勝利の余韻に浸りながら帰還するか、はたまた、哀愁漂う背中を背にし帰還するか。


自分がどちら側の人間なのかはよく知っているつもりだ。





いつか、この一週間戦争を勝利に収める時が来るのを夢にし、私は今日もまた学校せんじょうへと向かう。





さて、アナタはどちらでしょうか?勉強をちゃんとする派?一夜漬け派?はたまた何もしない派でしょうか?


自分は勿論一夜漬けです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一夜漬け派でよかった。もし、カンニング派なら、しゃれにならないと思っていました。作品の狙いは面白いですが、よくある話の域をでないかも。でも、文体がちょっと森見登美彦みたいで素敵だ。 学校のテ…
[一言]  お久しぶりです、白井雪です^^  一週間戦争……ほんとにその通りで!!  テストなんて先進国の戦争ですよね。私はいつも催眠ガス(眠け)に襲われています。  読みながらとても共感できたし…
2010/03/08 19:55 退会済み
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