第9話 シロの不安
〔これまでのあらすじ〕
世界の終焉、〈神判の日〉まで残り1年。魔族の娘であるクロは世界を救う鍵となるオシリスの羊という存在の少女シロと出会う。クロを助ける為に騎士を殺したシロは、その罪を償う為にもクロと共に世界を救う旅に出たのであった。
マタニラを発ったシロ、クロ、パウクの3人は一日をかけて人魔境界線に到達した。そのまま壁沿いに進むと大きな穴を発見した。
「本当だ。かなり大きなわね。私の三倍はあるわね」
クロは背伸びをしながら穴を見上げた。
「クロ殿、シロ殿、これを見てくれ」
パウクが指差した先には、壁に刻まれたランドロティ族のマークがあった。飲み屋でもらった紙と見比べても確かに一致した。
「やはり奴らが人界に向かったのは確実のようだ」
「じゃあ私達も行きましょう。シロ?ぼさっとしてないで行くわよ」
「はい…」
シロはかすかに返事した。歩き出したクロにパウクが耳打ちする。
「何かあったのか?変だぞ、彼女」
「私が知りたいわよ…。あんな状態になるなんて初めて。どうすればいいのかしら」
3人は人界に足を踏み入れた。
五日後、三人は人界側の境界線近郊都市セントプリオースに到着した。
「おいそこのお前。なんだその鎧は」
到着早々、検問に捕まった。
「これは趣味だ」
パウクは答えた。
「趣味だと…?」
「私達はお使いでこの街に来たんです。ごめんなさい、兄は少し個性的でして」
すかさずクロが言った。
「所持している武器を出せ」
「ありません」
検問の人間の目がさらに鋭くなった。
「分かった。通行を認める。ただし面倒事は起こすなよ?」
「もちろんです」
三人はなんとか検問を突破した。
「個性的…?」
パウクは呟いた。
「人族からしてみればね。まずは宿を探しましょう。シロ、手伝って」
「…はい」
シロは二人の後に続きながらキョロキョロと辺りを見渡した。すると突然、視界が右手の路地裏に吸い込まれた。
――何か…ある…。
目を逸らそうにもぴくりとも動かない。
「シロ?」
クロの声で正気に戻った。
「は、はい」
「あそこって宿であってる?」
クロは左側の先にある二階建ての、階段が外についている建物を指差した。
「はい。看板にそう書いてます」
「ありがとう。行ってみましょう」
シロは振り返り、路地裏を一瞥すると、すぐさま二人に追いついた。
「まさかお金が足りないとは」
三人はオレンジ色に染まる街をトボトボと徘徊していた。
「すいません…お小遣いが少なくて…」
「しょうがないわよ。私も人界のお金は持ってないし」
クロはパウクを見たが、当然パウクも首を横に振った。
「格安の宿を探すか、最悪街を出て野宿ね」
「だがもう日が暮れるぞ。都合の良い寝床が見つかるか?」
「はぁ…お金が欲しいな」
シロは言いながら本で金を生み出すスキルがあるかどうか探す。
――ドンッ
本を読みながら歩いていたシロは杖をついたお爺さんにぶつかってしまった。
「あ、すいません…」
「ゴホゴホゴホゴホ、ゴッホゴホゴホ」
倒れ込んだお爺さんが咳き込む。
「あの…大丈夫ですか」
「ゴホゴホゴホゴホ」
咳が止まらない。シロは急いでページをめくった。
「あった。体内の邪なるものよ、滅殺せん。完全治癒」
シロの虹彩の縁が赤く輝く。お爺さんの胸に手を当てると、咳が落ち着いた。
「カッ」
お爺さんが目を見開く。
「体に力が溢れる…!治ったぞい」
「あの…大丈夫ですか」
シロが再び尋ねた。
「わしの祈りが通じたんじゃ!あなたが女神様であったか…!」
お爺さんはシロの手を取るとブンブン振った。その手はゴツゴツとしていた。
「こ、これは、大変失礼致しました」
お爺さんがその場に平伏する。
「何してるのよ、シロ」
クロとパウクが引き返してきた。
「なんと言うか…」
「わしはギルマと申す宝石商でございます。余命いくばくも無くどんな腕のいい医者にも治癒は不可能だと言われておりました身でございますが、祈りの通り女神様がわしを治してくださった。なんと有り難きことか。なんと御礼をすればよいことか」
「そんな、別に大丈夫ですよ。そんな力は無いですし」
「寛大な御心までお持ちとは。では金ならどうでしょう。金ならあって困ることはない。わしは仕事柄、金だけはありますゆえ、どうかお持ちになってください」
ギルマは胸元から紙幣の束を四束取り出すと、その全てをシロの手の上に乗せた。
「こんなに頂けません!」
紙幣一枚は金貨100枚分、一束は紙幣100枚分。ちなみに宿代は一晩につき金貨5枚である。
「どうせ使うはずだった治療費分です。貢げるのなら本望ですよ」
ギルマは立ち上がると、持っていた杖を真っ二つに折った。
「力が溢れますぞい。それでは女神様、お達者で」
ギルマは高笑いをしながら夕陽の方角へ消えた。
シロはクロとパウクを見上げる。
「お金…手に入りましたね」
「なんというご都合展開ッ。怒られるわよ!」
「ではここは拙者が判断しよう」
パウクは腕を組み唸り出した。シロとクロが注目する。
「人助け…ご都合展開…」
パウクは顔を上げた。
「うむ…許せるッ!」
「まあ、パウクがそう言うなら」
クロも納得した。こうして三人は宿代を手に入れたのであった。
「いやー、確かに二部屋も確保できたし、お金があって困ることはないわね」
ベッドに腰掛けていたクロがそのまま大の字に身を倒す。
「シロ、人界とは言え、あなたは特に注意して行動しなきゃダメよ」
「分かってます」
「私はパウクと偵察に行ってくるから。シロはここにいてね」
「はい」
シロは書きかけの本に鉛筆を走らせながら答えた。
――コンコンコン
「クロ殿、よろしいか」
「今行くわ。じゃあ、行ってくるから」
「はい」
クロはシロの方をチラリと見ると部屋を後にした。その間もシロは俯いたままだった。
――バタン
音を立てて扉が閉まる。
――やっぱり、クロさん怒ってるのかな。こうやって私を一人にするし。パウクさんと何をするんだろう。帰ってこなかったらどうしよう。
鉛筆を握る手が止まる。
――そういえばあそこ…。
シロは道中で見かけた路地裏を思い出した。
――行ってみよう。
シロはポシェットだけ肩から下げると部屋を出た。
「ここか」
その路地裏はすぐ近くにあった。シロは中に入る。
そこには通りに門を構える店の壁が切り立つばかりだったが唯一路地裏に入り口のある店があった。シロはその前で立ち止まる。
「看板もない。なんのお店だろう」
シロは中に入ってみることにした。店内は薄暗く妙に乾燥していて空気が冷たい、そんな感じがした。縦に伸びた店内で両脇に身長の倍はある棚がずらりと並んでいた。向かい合う棚の間隔はパウクの鎧の肩幅程しかない。一本道の先に店主らしき人が座っている。
シロは店内を見回した。中古品を取り扱う店だろうか、年季が入っている武具や大小様々な壺、謎の木箱など多種多様な品物が陳列されていた。
そこでシロはふと視線を感じた。よく分からないが何やら禍々しい念のような力を背中で感じる。シロは意を決して振り返った。
そこにはちょうどシロの目の位置に、丸まった2本の角を持つ白い羊のぬいぐるみが置かれていた。
『やあ、初めまして。シロ』
シロは驚いて、危うく棚に背中をぶつけるところだった。しかしそうならなかったのは、優しい声に敵意を感じなかったからか。
「あなたは…一体なに?」
『ボクはキュビネ。神の遣いさ』
「羊のぬいぐるみが?」
『ボクに肉体は無い。だからこうして物体を介して話しかけているんだ。このようにね』
ぬいぐるみの右腕が動いた。
「それで…私に何か用?」
『もちろんさ。シロ。君を助けたいんだよ』
「助けるって…。どういう意味?」
『そのままさ。シロ、当てよう。君は今、クロに嫌われていないか不安だよね?』
シロは目を丸くした。
「どうしてそれを!」
『当然分かるさ。ボクが力になってあげる。クロの本音を教えてあげる』
「…本当?」
『本当だよ。信じてくれていい』
「……どうするの?」
『スキルの本を開いて。最後のページだよ』
「最後のページって、禁忌の呪文!」
『そう、本来人間にも魔物にも扱うことのできない秘術。その力を使ってクロの頭の中に入る。彼女の気持ちが知りたいなら、直接聞いてみればいいのさ。何を考えているのか、ね』
「クロさんの…気持ち」
シロは最後のページを開いた。
『最初の呪文を、クロの枕元で囁いてごらん。そうすれば全て、上手くいくよ』
ぬいぐるみの右手が垂れた。それきりキュビネの声が聞こえなくなった。シロは店主に怪しまれる前に、逃げるようにして店を出た。
クロとパウクは街で一番大きな酒場に入った。時間も時間で、流石に店内は騒がしい。
「祭りの準備の進捗は?」
「おい見たかよ、今月のデュアルパレス。またイグニス・ヴォクユが勝ち上がった」
「ウチは順調だよ。今年もうまくいくといいね」
「若けぇのにようやるよな。最高連勝記録だっけか」
「桜もしっかり咲いてくれたし大丈夫けろ」
「次回大会も参加を表明しているってよ」
「あんだけばかすか人を殺してもまだやるとは、相当の肝っ玉だね」
「すんませーん、こっちおかわりー」
「俺達の賭けは外れねぇから助かるけどな」
「はーい、今行きまーす」
「「「ギャハハハハハハ」」」
二人は手配書の掲示された板の前に立った。
「なるほど」
用を済ますと店を後にした。
「どうやらここまでは私達の情報は回ってないみたいね。これで少し肩の力を抜けるか」
「人界を移動するなら、地図も必要だな」
「そうね。明日色々揃えましょう。シロも待っているし、夕飯買って戻りましょう」
クロとパウクが宿に戻ると、シロは言いつけ通り留守番をしていたのでクロは安心した。
三人で晩ご飯を済ませると一階にある風呂に入り、その後は早々に眠りについた。
シロはクロに背を向け、窓の外の月を見つめていた。何分そうしていただろうか。次第にクロの静かな寝息が聞こえてきた。
シロは体を起こした。月明かりの下で本の、裏表紙の隣の、最後のページを開く。
――ちょっとだけ…。ちょっとだけクロさんの頭の中を覗くだけだから。禁忌なんて、そんな危ないことはないよね。
シロは自分を納得させると、『禁忌ノ呪文 唱エルベカラズ』という文言の下にある呪文を読み上げた。
「力を求める獣よ、我が下に顕現したまえ。狂獣召喚」
シロの虹彩の縁が赤く輝く。本が激しく発光した。光を直視したシロは気を失いクロの腰元に伏せるように倒れた。
次にシロが目を覚ました時、そこはクロの頭の中であった。
辺り一面、真っ白な空間。シロの他には何もなかった。
「使ったね、禁忌の力を」
キュビネの声がして真横を見ると、足元に羊のぬいぐるみがあった。
「あなたはずっとその姿なの?」
「ここは頭の中さ。物理法則は通用しない。ましてや物質なんてものは存在できない」
「じゃあなんで…」
「要はイメージの世界さ。シロはあの店で、ボクを羊のぬいぐるみとして知覚した。そのイメージが、今のボクの姿を作り出している。君の体もそうさ。無意識下のイメージによって、シロはシロの肉体を保っている」
「よく…分からない…」
「そうだな、じゃあクロとの出会いをイメージしてごらん」
「出会い…」
シロは思い出した。舗装された一本道、周りに広がる草原。遠くに生えた木々、さらに遠くに聳える山々。
シロはそこにいた。
しかし、目の前にもシロがいる。シロは困惑した。何故今、自分は自分の上に乗り、自分と唇を重ねているのか。
『あ、あの、えっと、一応聞くけど、女の子…だね…?』
飛び退き、唇に手を当て、口から自然と言葉が出る。その言葉はクロの声だった。
次の瞬間、シロはクロの中から離れ、二人の言動を眺めていた。
「そう。これが二人の出会い。イメージによって復元された思い出だ。クロは今眠っているから、シロのイメージに引っ張られて復元されている。ただまあ、ここはクロの頭の中だから、クロの目線だったけどね」
キュビネはそう言った。
〈恥ずかしい…!〉
どこからともなく、いや空間全体にクロの声がした。
「今のは?」
「いわゆる心の声ってやつだね。クロはこの時そう思っていたらしい」
「じゃあ今みたいに思い出を辿っていけば…!」
「そう、その時クロが何を考えていたのかが分かる。シロの知りたいことがね」
突如、目の前が再び真っ白な空間に戻ると、地面が裂け、そこから小型のペガサスが、しかしそれは顔の中央に一つだけの目を有し、耳からは人間の腕が生えた奇怪な化物が、現れた。
「ギイヤアアアアアアアオオッッ!!!」
化物が吠えた。
「こ…コイツは…!?」
シロはキュビネに尋ねた。
「黙示録の獣。奴は力を求めて人間の、魔物の、あらゆる生物の頭を自在に行き来できる。頭の中に入られた者は獣に自由を奪われる。何せ頭は全ての行動の中枢だからね」
「そんな…」
シロの声は震えていた。
「クロの頭の中に入るには奴の力を使うしかなかった。これは仕方のないことだ。シロは気にしなくていい。奴の対処はボクに任せてくれ。シロは自分のやるべきことをして」
「どうしてそこまでしてくれるの」
「ボクは神の遣いで君はオシリスの羊。それだけで充分でしょ?」
キュビネは空間を切り裂くとそこにシロを押し込んだ。
「タイムリミットはクロが目覚めるまでだ。大丈夫、クロが目を覚ます前に獣を追い出せばいいだけのこと。心配しなくていい。シロ、いつかまた会おう」
キュビネが言い切ると同時に空間の裂け目も閉じた。
方法の分からないシロにはどうすることもできなかった。キュビネの言った通り、今はここに来た目的を遂行するしか他にない。
「クロさん」
シロが呼びかけた。
「教えて、あなたの気持ち。次は、私が迎えに行った時のことを」
「ギヤオオオオンッギヤオオオオンッ」
獣は発狂しながらクロの頭の中を駆けていく。獣だけが感じることのできる、クロの秘めた強い力。その力に引きつけられるように一直線に進んでいた。
そして漆黒の球体の前で立ち止まる。それは真っ白な空間の中で明らかに異様であった。
「チカラヲ!チカラヲ!」
獣の耳の位置から生えた両腕が球体に触れようとした時、その腕は切り落とされた。
「ギャンッ!」
「クロに手出しはさせないよ。獣よ、君はここから失せろ」
「我ハチカラヲ欲スル者ナリ。ソレハ目ノ前ニアル」
――魔王の、服従の血の力のことか。
「長い眠りで感覚が鈍っているようだな。その力は完璧ではない」
「ナニィ?」
「クロの外を嗅ぐといい。君の求める力があるはずだ」
「イヤ、今ハコノチカラヲ…」
獣の腕が再生し、再び球体に触れようとした瞬間、漆黒の球体は無数の鉄格子に囲まれた。
獣は振り返る。
「それともまた封印されるか?」
キュビネは獣の一つ目を睨みながら言った。
「オモシロイ。デハ次ノ機会ヲ窺ウトシヨウ。貴様ノ言ウ更ニ強イチカラガアルノナラソレデヨシ、無ケレバ再ビ奪エバイイダケノコト。セッカクノ復活ヲ楽シマセテセテモラオウカ」
獣の真下に空間の裂け目が開く。その先はシロとクロが泊まっている部屋に繋がっていた。
「ケハハハハハハ」
獣は高々と笑いながらクロの頭の中から消えた。
「そう。君はこれでいい。……黙示録の獣は野に放たれた。いよいよ始まるよ。お姉ちゃん」
キュビネは漆黒の球体を一瞥すると、新たな裂け目からクロの外へと出た。
『あの…クロさん…』
背後から、自分の声が聞こえる。やはりいまだに妙な感覚であった。
『すいませんでした』
ドクン、と、シロの心臓が大きく跳ねた。忘れるはずもない次の言葉が口から出れば、全てを知ることになる。
――やはり、怖い。
それでもシロは振り返り、じっとシロの目を見た。クロから見る自分の姿はひどく怯えているように思えた。
〈ここで強い言葉を使えば、シロは落ち込んでしまうかもしれない〉
シロには知らないクロの声がした。心の声だ。
『バカ』
――ドクン。心臓の鼓動が苦しい。シロは耳を塞ごうとした。
〈違う。もっと別の言い方があるはず〉
頬の横まで伸びた両手が止まる。
『あなたはオシリスの羊なのよ?』
〈だから私が守らなくちゃいけない。…でもそれはシロがオシリスの羊だから?…わからない〉
『もう少しそのことを自覚しなさい』
〈シロは時々危なっかしい。だから心配になる。そう簡単に投げ出していい命ではない。確かにシロにはそのことを自覚してもらいたい。…でも、そこまでキツく言う必要はあった?〉
クロはシロに背を向けて歩き出す。
〈やっぱり言い過ぎた…?フードでよく見えなかったけど、シロ…泣きそうじゃなかった?〉
場面が変わる。横に長く伸びる壁が見えた。
『何かあったのか?変だぞ、彼女』
耳打ちするパウクの声。
――あの時、そのことを話していたんだ…。
『私が知りたいわよ…。あんな状態になるなんて初めて。どうすればいいのかしら』
〈本当にどうしよう…。もしシロに嫌われてしまったら?オシリスの羊は替えが利かない。逃げ出されでもしたら、多分二度と顔を合わせることもできない…!〉
――クロさんにとって、私はオシリスの羊で、それだけ。
〈シロと離れ離れはイヤ〉
――でも、それでもいい。今はそれでいい。私はクロさんと一緒にいたい。それだけ。
全ての光景が消滅し、真っ白な空間に戻った。そして自分の体が消えかかっていることに気づいた。
――クロさんが目を覚ます。
シロは叫んだ。
「ありがとうクロさん。あなたの気持ちを教えてくれて。私もあなたと離れ離れはイヤ。これからは迷惑掛けないように…心配にさせないようにするから…だから…だから私と一緒にいてください!」
〈もちろん〉
そう聞こえた気がしてシロは辺りを見回した。声の主は見つけられなかったが、シロの顔には笑みがあった。
シロはクロの頭の中から消えた。
「んー…シロ…?」
クロは目を擦りながら上半身を起こす。そしてベッドの縁でうつ伏せに眠るシロに気づいた。
「え、なんでこんなとこにいるの!?」
肩を指でつつくが一向に起きない。
「全く…」
クロは苦笑交じりにシロの首を太ももの上に乗せた。
「なんか、変な夢を見たよ。シロが出てきたな。…そうか、私、シロに謝りたかったんだ」
シロの後頭部を優しく撫でる。
「ごめんね、シロ」
太陽が昇り、朝日が窓から飛び込んできた。
〈神判の日〉まで残り344日
この話はフィクションです。実在する個人、団体、出来事などとは一切関係ありません。