独りで生きていけるほど異世界は甘くない
コンセプト:同じ世界の転生者が次第に惹かれ合う物語
アリサ…異世界転生した少女。特に能力もない普通の女子高生。気が強く、前の世界ではヒエラルキーの上位に君臨し下位のタツミを虐げていた。
タツミ…同じく異世界転生した男子。髪が長く寡黙で反撃をしないせいかイジメの的になっていた。だが彼は女装趣味のおかげでイジメに対し気にしていなかった。女装の時は性格が真逆になり明るく饒舌になる。
アリサは突然異世界に放り込まれ、奴隷商人に捕まり黒髪が珍しいと言う理由で多額の値で貴族に売られる。が、女子高生に貴族の慰み者など勤まるはずがなく一週間で返品。その貴族の噂で買い手がつかないまま1ヶ月たった。
ある日、店に来たフードを被った怪しい人が来店。以前からの予約があったのか商人が一人の奴隷の繋がれていた鎖をはずし始めた。その間に他の奴隷を見て回っていたところ、ふと視線が合い、その人は驚いた。
「君は、橘アリサさん?」
フルネームで呼ばれたアリサは驚き何者かと聞き返す。フードをとったその姿は前の世界でイジメの対象にされていたタツミだった。男の癖に髪の毛は相変わらず長く、陰険そうな雰囲気も健在だった。
アリサはとっさに彼に私を買うよう大声を上げた。彼はしばらく考えた後、商人と交渉しアリサを買った。
奴隷二人を連れた彼は都市を出て地方の街に移動した。そこは冒険者の割合が多く活気が溢れていた。程なくして目的地に到着。そこは酒場で中に入ると様々な亜人が接客をしていた。
「君たちが真の自由を手に入れたいのなら、ボクが払った金額分をここで働いてもらうよ」
彼はそう言うと、店員に向かって「ただいま」と告げた。