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明晰夢

 長い苦悩とベンゾジアゼピンで私の脳は破壊されてしまったらしく、ここ一年あまりは殆ど明晰夢のような調子で生きている。特に前頭葉は酷く、日常生活はガタガタ軋みながらもどうにか動く機械仕掛けのようだ。時間の大半は前日の再生産に費やされている。


 私の関心は自分の内から外へ向いたのだと思う。

 世界が美しく、輝いて見えるようになった。具体的にはコントラストが高くなった。世界すべての。

 陽の光や雨音、蝶々の羽ばたきに涙するほど胸打たれ、その晩には不作法な隣人に凄まじい憎悪を覚える。


 私の人生の意味とは即ち、人生を生きることそのものだった。そう思えるようになっただけ幾分回復したのだと思う。


 ウィリアム・ブレイクが言ったように、私は一粒の砂に世界を見、ひと時のうちに永遠を感じていたい。虚実を排せば世界の美しさに涙が流せるようになるはずだ。


 私は狂いつつあるのかもしれないが、沈黙を語ることもできなければ示すこともできない。出涸らしになった私の器を生存への渇望で満たしたい。


 幸福に生きよ!、ということより以上は語りえないと思われる。

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