カエルを捕まえる
見知らぬ男と一緒に、私はどこかの沢にいた。素晴らしい大自然だ。見事な木々が青々と茂り、透き通る水が流れている。とても涼しく、居心地は最高だった。私と男はカエルを食べなければならない。
苔むした岩の隙間に水が溜まり、二匹のアオガエルが泳いでいた。可愛らしいカエルだ。フランスなんかじゃカエルを食べるそうだが、流石に生ではないだろう。私は生で食べなければならない。
カエルの動きは鈍く、簡単に捕らえられた。柔らかな体をぐっと岩に押し付けて、男に「よく見ろよ」と言う。
「首を切り落とすわけだ」
「残虐じゃないか」
私はポケットからメスを取り出し、カエルの首にあてがった。
「そもそもカエルの首はどこなんだ。こいつら寸胴みたいだぜ」
「ここだ、首はここ」
ぐっと力を込め、カエルの頭部を切断した。不思議と血は一滴も出ず、代わりに灰色がかった粘液が溢れ出る。これを……これを、どうするんだっけ?
不意に親指に鋭い痛みを感じた。見ると、骨が見えそうなほどざっくりと切れている。メスでうっかり切ってしまったのか。私はとてつもない不安感を感じ、痛みを気にする余裕を失った。
確か、カエルのような軟体には寄生虫が多く潜んでいるとかいないとか聞いたことがある。だとすれば、今の今までカエルに触れていた私は寄生されてしまったのではないだろうか。
私は絶望し、男の右目にメスを突き刺した。