表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/22

無意識生成文章

 私は私が見知らぬ農夫と共に、大邸宅の中で巨大な怪物から逃げるという小説を読んでいた。


 無数の死体を繋ぎ合わせたような緑がかった怪物は、私の背丈ほどもありそうな鉈を片手に迫ってきている。その体躯に見合った筋力は凄まじく、振り下ろされる鉈の一撃は大地を揺らし、私の頬にビリビリと空気の振動が伝わるほどだ。衝撃波だけでも吹き飛ばされそうなのに、直撃でもしようものなら私は肉片になってしまう。


 成程、対して面白くもなさそうだ。自分の与り知らぬ所で自分が危機に晒されているのは不愉快だが、所詮は小説に描かれた私でしかない。私の死は私を殺さないと、そう直感した。


さて、ここで奇妙な事が起こる。どこからともなく飛来した酸の雨が、農夫を襲ったのだ。


 農夫の皮膚が泡立ち、火で炙ったマシュマロのように溶けていく。黄色がかった脂肪、ピンクの肉、オレンジの臓物……それら全てが溶けあった様は、水彩絵の具のパレットを思わせた。


 問一、酸の雨を被った農夫の気持ちを答えよ。


 ここで眼が覚めた。珍しく一度しか中途覚醒せず、私にしてはよく眠れた。私の無意識が生成した文章……休日に相応しい、爽やかな朝だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ