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第5話 家族

持っているスキルをエリィに説明した。


エリィ「鑑定に収納に剣術にその他色々…あぅぅ…私まだ20年しか生きてないですけど、そんなにもスキルを持ってる人なんて聞いたこと無いです…」


エリィは頭を抱えながら目をぐるぐるさせて困惑している。

そりゃそうだ、3つも有れば英雄にだってなれる世界で9つは異常すぎる。


祐樹「その…出来ればこの事は秘密にしてもらえないかな?」


エリィ「わ…分かりました。まぁ普通口で言っても信じて貰えないと思いますし、第一、ユウキさんは私の命の恩人なので絶対誰にも言いません!」


祐樹「助かるよ……てか、エルフってすごいな…まだ人間で言うと12歳くらいにしか見えないのに、まさか年上だったとは思わなかった…エリィさんって呼んだほうが良いです?」


エリィ「いえ!呼び捨てで大丈夫です!」


祐樹「じゃあ俺の事も呼び捨てで呼んでくれると嬉しいな。」


エリィ「はいっ…じゃなくて…うん、分かった。」


エリィは子供らしく笑いながら、頷く。

やはり子供には、笑顔が一番だ。

……年上だけどね!


祐樹「さて、お腹もいっばいになったし、そろそろ日が傾いて来たからとりあえず簡易的にテントでも作って今夜は野営でもしようと思うんだけど…」


エリィ「そうだね、夜の森は危険だし、この辺りには夜行性の魔物も居るから、今からむやみに動くのはあぶないかも…」


祐樹「よし、じゃあテント創るか。」


エリィ「じゃあ、私は薪を探すね。」


祐樹「頼んだ。」


エリィが薪を探してる間に、テントの材料になりそうなものがないかインベントリを確認する。


祐樹「ロープ代わりになりそうな蔦は少し有るけど、木や布が必要だな…そういや少し眠ったし、MP回復したかな?…確認するか」


ステータス画面を開く。




ハラダ ユウキ (15)


Lv1 無職    E 安物のスーツ

HP 20

MP 30

攻撃力 12

防御力 8

素早さ 9

魔力  11

運   10


・鑑定Lv1

・剣術

・魔法耐性Lv3

・毒物無効

・マッピング

・収納

・調理技術Lv2

・魔法適正

創造クリエイト


祐樹「え?…MP倍になってる?」


眠る前に確認した時は15がMAXだったはずだが、なぜか30に上がっていた。


祐樹「MPをほぼ使い切って眠ったからか…?それとも、この世界の食べ物を食べたからか…理由は分かんないけど、サ○ヤ人かよ…。」


なぜMPが倍になったのかは不明だが、とにかく布を造ってみることにした。


祐樹「3m×6mくらいのタープでいっか…よっし、創造クリエイト!」


創造クリエイトを使う。


祐樹「…よし、出来た。MPは…12しか減ってないな。」


何度か創造してきた事で、なんとなくではあるが創るもののMPの消費量について分かってきた。

最初に創ろうとしていた牛丼は材料が多いのだ。

少なくとも、米、肉、玉葱、醤油、酒、砂糖は使う。

対して、ナイフやタープやマッチは全て2種類の物質で作っている。

恐らく、創るものの材料の種類が多く、複雑であれば有るほど比例して消費MPが上がるのではないか?と推測した。


祐樹「よし、じゃあタープを張るか。」


木と木の間にタープを吊るし、両方から引っ張ると、それだけで屋根は完成した。


祐樹「あとは寝床だな。」


流石に地面にダイレクトで寝ると体温も奪われるし、何より硬くてまともに休めないので、葉っぱや枯れ草をあつめ地面に敷き、その上から余っているタープを掛けた。イメージで言うと草の上に横にした三角柱を倒した形だ。


祐樹「こんなもんでいいだろ。」


布団を創るか迷ったが、またMP切れで倒れては洒落にならないので、今日は我慢する。

幸い火もあるし、気温も夕方で体感20℃前後と言ったところで低体温症になる恐れはないだろう。


簡易的なテントが完成すると、丁度エリィが薪を抱えて戻ってきた。


エリィ「ただいm…えぇー?!」


エリィは20分程度で完成していた横幅3m、高さ2m程の立派なテントに驚愕していた。


祐樹「おかえり〜ごめんな、重かっただろ?」


エリィ「いやいや!それよりもいつの間にこんな…」


祐樹「俺の国の知恵ってとこかな?簡易的だけど、雨風は凌げると思うよ。」


よく趣味で観ていたサバイバルとかキャンプ動画で培った知識だが、役に立ったようだ。


エリィ「…もう驚きません。」


そして時間は流れ…



ー夜。


エリィが薪を集めるついでに集めてくれていた魔物が嫌う匂いがするという植物を焚き火に焚べながら、テントで交代しながら休むことにした。


祐樹「……思ったより冷えるな。川が近いからか…?」


テントで眠るエリィにスーツの上着を掛けてやる。


エリィ「おかあ…さん…」


祐樹「…寝言か。」


エリィは薄っすらと涙を流しながら寝ていた。

そりゃぁ自分の住む場所を追われ、たった1人で孤独に生きていたら泣きたくもなる


祐樹「……一応この世界では年上ではあるけど、まだ子供だもんな。」


祐樹は起こさぬように、優しくエリィの頭を撫でる。

サラサラとした金髪はとてもしなやかで、月夜に照らされすごく美しかった。


祐樹は撫でながら見惚れていると、エリィと目があった。


エリィ「……?…ぅ…ん…?…ーっ!……え!?」


最初は寝惚けていたエリィだったが、覚醒するうちに、顔が赤くなる。


祐樹「あ、悪い。起こしちゃったか。」


エリィ「えっと…?!あっあっ…あの…!なんで私、撫でられてるんでしょう…?というか、なんで撫でてるの…?」


エリィは困惑しているようだが、あえて撫でるのはやめない。というか、何故かやめられない。


祐樹「うーん…?なんか撫でたくなったから?」


エリィ「その…寝ている女の子を触るのはどうかと思うんだけど…」


エリィはジト目でこちらを見る。


祐樹「確かに。」


でも撫でるのをやめない。


エリィ「いや、そう思うならやめ……って、なんでユウキが泣いてるの…?!」


祐樹「え?あれ…気付かなかった。」


急いで涙を拭う。


エリィ「その…なんで泣いてたか…聞いてもいい?」


祐樹「…別に面白くもなんともないぞ?」


エリィ「聞きたいの。」




…俺には妹がいる。


いや、居たと言うのが正しい。


まだ俺が大学生の頃、12歳の妹が居た。


名前は原田永莉。


活発な子で、俺にもよく懐いていて歳が少し離れているからか、昔から仲が良かった。


でも、中学生に上がる頃急に倒れ、入院がちになり、そのまま帰らぬ人となった。


悪性新生物…いわゆる小児がんだった。


あの明るかった妹が急に居なくなり、俺は実家に居るのが耐えられなくなった。


幸せだったあの頃を思い出すと、心が耐えられなくなりそうだったからだ。


それ以降大学を卒業した俺は、逃げるように東京に行った。


そして、数年後自分も事故で死んだ。




祐樹「…という感じ。 ゴメンな、遠い国から来たなんて嘘ついてて…。本当は俺一度死んでるんだ。神様の気まぐれで生き返らせてもらってこの世界に転生して今日、始めてエリィに出会ったんだ。」


エリィ「………いいよ。」


祐樹「?」


エリィ「じゃあ、私がユウキの妹になる。」


祐樹「えっ!?」


エリィ「ユウキは死にかけていた私を助けてくれた。今度は、私がユウキを助けたいの。」


エリィは優しい顔でこちらを見つめる。


祐樹「でもそんな…エリィはまだ若いし…第一、今日会ったばかりの見ず知らずの男だよ?」


エリィ「確かに寝てる幼い女の子を触る変態かも知れないけど、私もハーフエルフだし里にも帰れないし、もう両親も家族も居ないから…」


祐樹「そっか…あと変態は余計だ。」


エリィ「あはは」


二人で笑いあう。


いつぶりだろうか、久々に心から笑えた気がする。


祐樹「じゃあ、これからよろしくな、エリィ。」


エリィ「うん、ユウキお兄ちゃん。」


祐樹「………もっかい呼んでくれ」


エリィ「なんかヤダ、やっぱりユウキって呼ぶ」


祐樹「そんな殺生な…」


二人の笑い声とともに、夜は更けていった。



第6話へ続く。

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