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第4話 轟音

少女「あの……えっと…起こしちゃってごめんなさい…」


半裸かつ上目遣いで涙目で女の子が謝る。

まだ見た目は幼いが、女の子とは無縁の前世を送っていた独身男性には破壊力が大きすぎた。


祐樹「あっ!いや…っ!?こちらこそごめんなさいっ!?」


突然の寝起きドッキリに声が裏返りなぜか謝り返してしまう。


少女「…っ…フフッ」


少女は祐樹の慌てっぷりに、笑みをこぼした。

そして、川で流されていた経緯を聞いた。


祐樹「…なるほど、君はハーフエルフで、里を追いやられ1人で旅をしていた所、魔物に襲われ崖から転落した、と。」


少女「…はい。」


少女は悲しげな表情で頷く。


祐樹「ひどい話だな…。」


どうやらこの世界のエルフ族は、他種族との混血は不吉の象徴として虐げられる存在だと言う。

少女の耳を見ると、確かに普通の人間にしては少し耳が長く、尖っていた。


祐樹「そういえば君の名前は?俺は原田裕樹。」


少女「エルミア…です。」


祐樹「エルミアかぁ…じゃあエリィって呼んでもいい?俺の事はユウキでいいよ。」


エリィ「…っ!はいっ!」


エリィは先程までとは打って変わって、満面の笑みになる。

そして祐樹はエリィに自分がここに居た経緯を話す。


エリィ「……なるほど、ユウキさんは遠い国から来たんですね。どうりで珍しい名前だと思ってました!」


一応、自分が異世界からの転生者である事は伏せ遠い国から来た、ということにしておいた。


ユウキ「うん、それで食べ物探してたらこの川を見つけて、とりあえず休憩してたらエリィが流れて来たって感じ。」


人工呼吸をしたのも伏せた。なんか気まずいし。


エリィ「あぅ…その、ごめんなさい…私魔法は使えるんですけど、戦いではなかなかうまく使えなくて…」


ユウキ「いやいや、気にすることないって。俺なんか魔力はあるもののまだ魔法1つも覚えてないし…」


エリィ「ユウキさん魔力があるんですか!?」


ユウキ「え?うん、少しだけね。」


エリィ「…すごいです!人間族で魔力が有るのは100人に1人程なんですよっ!」


どうやらこの世界では魔力のある人間は少数派みたいだ。

と、話が盛り上がってきたところで盛大にお腹の音が鳴った。


祐樹「そういや朝から何も食べてなかったっけ…」


空を見ると、太陽が傾いてきており間もなく夕方に差し掛かろうとしていた。


エリィ「お魚でも良いです?」


祐樹「魚?でも釣竿もないし、罠を仕掛けるにしたら時間が…」


エリィ「任せてください!」


エリィは、立ち上がると川に向かって詠唱を始める。


エリィ「天より出でし閃光よ、我が声に応え地を穿て! 雷槍ライトニングランス!」


すると目の前が光り、ドォォォォォン!!という轟音と衝撃波が同時に訪れる。


すると、突然の雷により仮死状態となった魚が大量に浮かんできた。


祐樹「えぇ…」


魔法を打ち終わったエリィは苦笑いしながら振り返る。


エリィ「えへへ…張り切り過ぎちゃいました…」


祐樹とエリィは浮かんできた大量の魚を集める終わると、乾かしていた服を着て魚を焼くことにした。


エリィ「ごめんなさい…こんなにも食べれないですよね…」


焚き火の側に山のように魚が積み上がっていた。


祐樹「いや大丈夫。食べきれない分は保存しとくよ、ありがとう。」


祐樹は収納スキルで魚を仕舞っていく。


エリィ「え?!ユウキさん収納スキルも持ってるんですか!?」


祐樹に「うん。他にもスキルいくつか持ってるよ。」


エリィ「…他にも!?」


エリィは驚いた顔でこちらを見る。


エリィ「すごいですね…普通ならスキル1つ有れば冒険者に、2つ有れば騎士に、3つも有れば英雄にだってなれますよ!」


祐樹「へ、へぇ〜そうなんだ…(マジか。だからあのロリ神様はあんなに慌ててたのか…)」


エリィ「他のスキルはどんなのです?」


祐樹「……えーっとね。」


エリィ「はい!」


祐樹「全部で9つ…有るんだけど。」


エリィ「……はい?」


祐樹「スキルが。」


エリィ「?なるほど、全部でスキルが9つ……………って、ええええええええぇぇぇ!?」


森にエリィの絶叫が響き渡った。


第5話へ続く。

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