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06 私、ヤバいのに目をつけられた……?

「カイリーン、あなたの冗談は質が悪いわ……」


 お兄様が正常に戻った後すぐにお母様が目を覚ました。もしや、お兄様が戻るまで寝たふりを……なんてあのお母様がするわけないか。綺麗だし。高貴オーラ半端ないもんね。


「すみません、寝ぼけてまして……。そもそも私が大切な家族の事を忘れるわけないじゃないですか」


 しれっと嘘をつく私。罪悪感ヤバいな……。ま、そんな事は命に比べたら安いもんだけどさ。


「そうよね……。まあ、アドラー家の血が流れてるのよ。相手を騙すなんて子供でもできるわよね。迂闊だったわ」


 騙すことが普通なのかよ、この家族。それにしてもアドラー家、よく人間不信にならなかったな。いや、挨拶みたいな感覚なのか?うーん、慣れるには時間が必要っぽい。


「それでは、お母様も大丈夫そうなので私は失礼します。」


「カイリーン、夕食は後で食べられるかい?」


「問題ありません、楽しみにしております」


「了解だ」


――お父様との会話もすませたし、私は情報集めでもするか。とりあえず、図書室みたいな場所があればいいんだけどなぁ


 私は廊下を歩きながら図書室を探すが……なんか全てのドアが一緒に見える。これ絶対覚えるのに時間かかるな。というか看板とかあってもいいと思うんだけど。皆、心の中でそう思ってるよ。明らかに不便。よし、絶対に一人では見つけられないし、メイドさんにでも聞くか。


「あ、メイドさん!図書室ってどこにあるのか分かります?」


「え?えーっと一階の金色のドアノブの部屋ですよ」


「ありがとうございます!」


 やばい、メイドさんの笑顔が心に染みる。なんてったって、家の家族はヘタレイケメン、腹黒美人と病んでる兄よ。なんか心が浄化される……汚されてないけど。ああ、メイドさんって素晴らしい。メイドさん様様なんて思ってたらいつの間にか金のドアノブの目の前に立っていた。


「っと、ここかぁ」


 うわ、なんかドアノブが輝いてるんですが。これって本物の金……ってことは……無い……よね?うん、落ち着け、私。これが本物の訳ないじゃないか。ドアノブに金を使うのは王族ぐらい。それも中世ぐらいの。ここはどちらでもないから大丈夫。大丈夫、だよね?


「えーい!当たって砕けろぉお!」


 ドアノブで手こずるなんてダメダメ。カイリーンはそんなことを絶対にしない。うん、大丈夫、大丈夫。


「カ~イリ~ン♪何してるの?」


「ひょえええええ!!」


 え?何なに?なんかドアを開けた瞬間急に後ろから声がしたんだけど。しかも家族一危ないやつの。私何も悪いことしてません!だけどすみません~!!だから私にかかわらないで!!


「お、お兄様こそどうしたんですか?」


「うーん、カイリーンの後をつけてきたんだよ」


 ヤバいヤバいヤバい。ぜんっぜん気づかなかった……。何か変な発言とかしてないよね?てかさらっと後をついてくるって怖っ?!お母様の仇をとるの?!それに対してはごめんって思ってるよ?!だから許してー!!


「そ、そうですか。私はこれから図書室で読書をしようかと思っていたのです。なのでお兄様が心配することは何もありませんよ?」


「そっか♪じゃあ僕も一緒に読書していい?」


「え……?」


「……いいよね?」


 怖い。仮にも家族なのに、本能が警戒してるって何?なんか逆らった瞬間殺されても絶対におかしくないってレベルでこいつはヤバい。部屋に帰りたいよぉ。だが私は大人、そうこんな子供に屈したりしないのだ!


「も、もちろんです!お兄様と一緒なんて嬉しいですわ」


「ありがと、カイリーン」


 笑顔引きつってないかな?バレて無いよね?今日は情報収取、無理そう。明日開始しよ……。そう思い私は兄に見つめられ、数時間気まずい雰囲気の中静かに読書をしていた。ちなみに内容は全く入ってこない。


 私なんでこうなってるんだろ……。

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