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05 私、ヤバい兄がいるの……?

「カイリーン、君の奇行は収まったんじゃなかったのかい?」


 お手洗いという文明の素晴らしさを改めて実感した私に、お父様はおずおずと聞いてきた。


「奇行?今まではそうだったかもしれませんが、今はそのようなことは一切ございませんよ?私は変わりましたから……」


 そう。私はお父様が愛しているカイリーンちゃんじゃなくなったのだ。カイリーンちゃんの6、7歳?分の記憶も全くと言っていいほどない。それに日本人の私の記憶もほぼ無いと思う。考えようとすると靄がかかったような感じで、うまく思い出せないのが現状。


――ああ、私は一体誰だろう……。


 少し不安になるが人生気楽に、楽しんだもの勝ちだ。うん、きっといつか思い出すでしょ、多分。


「ふむ……。元に戻った……のか……?いや、何か違うような……うーん……」


「お父様?」


「え?いや、何でもないよ!と、とりあえず母様の元に行こうか」


 なんか難しい顔してたけど、考え事かな?あ、私の事か。という事は……バレないためにもカイリーンちゃんの振りをするのが得策。お父様が言ってたように奇行に走ったり、花瓶をたまに割ればいいのかぁ。なんか気が引けるな。いや、でも別人ってバレたら牢獄にとらわれたり拷問……うん、私は今日からカイリーンちゃ、いやカイリーンだ。よしっ。


 両親の寝室に向かうお父様の後ろを歩きながら私は小さくお父様に謝った。


「ごめん、お父様。奇行やっぱ続くかも……。いろいろ迷惑かけるよ……ほんとすまん」


 あ、ついでにお母様もごめんね?これからもよろしく♡



 部屋に入って私は一瞬で悟ってしまった。マザコン野郎がいると。


「お母様、目を覚ましてください。僕を置いていかないで!愚昧のせいで死ぬなんてダメだよ!お母様が逝くんだったら僕も行くよ……」


 これはヤバいやつだ。なんか勘違いしてない?普通にお母様生きてるよ?めっちゃスヤスヤ眠ってるやん。それに私言霊の能力とか無いから。私を人殺しみたいに言わないで。それに私たちがいるの気付けよ……。


「あー、アルヴィン?おーい、おーい!……あれはダメだな。完全にスイッチが入ってる」


 何のスイッチかな?ヤンデレ化か、それともメンヘラ化?それかマザコン化?どれにしてもめんどくさいな。お父様と目を合わせ、健闘を祈るという意味を込めて頷いた。がんば。


「なんだ、カイリーンがアルヴィンの目を覚ますのか?それは頼もしいな。じゃ、よろしく~」


「え?」


「がんば~」


 いやいや、何言ってくれてるの?!目がイっちゃってるじゃん!それからそういう意味で頷いた訳じゃ無いから!それに私のセリフをパクるなや。


 しぶしぶお兄様のもとに向かう。あーやだやだ。後でなんかご褒美請求っと。


「あの~、お母様生きてますよ~」


「ああ、僕がいけないんだ……そうだ……もっと妹をきっちり……」


 肩をトントンしながら声をかけるが、兄のブツブツは止まらない。怖っ!妹をきっちり何……?いや、ごめん聞いちゃだめな気がする。


「お兄様ー??」


 今度は頭にチョップしながら呼びかける。あ、反応なしか。よし、次だ。


「おーい、兄さん」


 頬をペチペチ。やっぱダメか~。


「兄よ、すまん」


 椅子に座ってるお兄様を椅子から突き落とした。流石に気づくだろ……。


「?!」


 お?お母様から離れたし、なんか正気を取り戻したっぽい。私ナイス。


「カ、カイリーン?さっきまで廊下に……あれ?僕は一体……」


 めっちゃ困惑してるよこの人……。無自覚ってことか。怖いわ。


「家の子達が怖すぎる……」


 え?何か言いましたか、お父様?お兄様と比べて私は無害。そう、可愛い幼女ですよ?

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