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02 私、お金持ち……?

 ちゅんちゅんと鳴く小鳥と共に爽やかな朝を――なんて夢見てました、はい。けれど現実は甘くない。まさかカエルのゲロゲロと共に目覚めるとは……ここぱっと見二階だよ?それにまだ露の季節じゃなさそうだし。カエルちゃんどこから来たの?早く帰りなよ、もういないけど。あ、目覚まし係お疲れさん。


 背伸びして、ゆっくりベッドから降りるが、なんかベッドが高い。降りるときぴょんってなったよ。床に足届かないなんてお金持ちは違うなぁ……嘘です、私が縮んだだけなんです!ええ、そうです。腕も足も手も体も、ぜーんぶ縮んじゃったんです!ああ、幼女ってベッドから降りるだけでも不便。泣きたい。あ、涙出た。


 未来は女優かな~なんて考えてたら鏡を見つけた。そして自分の顔を見た瞬間、尻餅をついちゃったのは仕方ない。だって、だって、私の黒髪が、黒目がぁ……ピンク色の髪と赤い瞳になってるんだよ?!違和感がやばい。確かにお父様は黒髪じゃなかったけど、ワンチャン私は黒髪だったかもしれないじゃん!それにお父様効果のせいで私、可愛いかもしれない……。日本にいたときは中の中、すなわちド平凡な顔だったけど……今は上の下ぐらい。ツーランクアップ!やったね、おめでとう、私。


「ていうか寝巻きさらっさらじゃん。やば」


 ついつい声に出しちゃうのも仕方ないと思う。だって下手したらそこらのブランド品より質がいい。本当に金持ちの家だったのかよ……。


 部屋のドアを少し開けて廊下を覗く。


「あ、絶対お金持ちだ……」


 お金持ちってこんなに沢山のメイドさんがいたんだ?大きな財閥ってこれを普通だと思ってるんだよね、尊敬するわ。皆忙しそうにせっせと働いてるし、ちゃんとコスプレみたいなメイド服!しかも皆顔面偏差値高すぎる。


――あれ、もしや私ここでは中の中なのか……?


 今すぐ日本に向かう飛行機に乗せてくれぇ!私は一度でもいいからちょっとだけチヤホヤされてみたかったんだよ!夢叶わねえじゃねえか!くそー!畜生!なになに、口が悪いって?気のせいです。ええ、気のせいですよ?


「あ、お嬢様!お目覚めになられたのですね!今すぐ旦那様たちにお伝えしてまいります!」


 現実逃避してたらメイドさんに見つかってしまった。それにお嬢様って、私の事だよね?ヤバいなんかむず痒い。それに他のメイドさんたち!「え、お嬢様が……?」「ついに起きたかー」「また悲劇が……」とか全部聞こえてますけど?!私そんなヤバくないよ、普通の社会人だよ?カイリーンちゃん、一体どんな子だったの……?突き刺さる視線が痛いです。私に注目しないでぇ!

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